2023/01/10

【大学受験】国公立大学出願手引き「中後期試験について考えよう」

いよいよ共通テスト本番が迫ってきましたね。受験を控えている皆さんは本番に向けて仕上がってきているでしょうか?自信がある人も最後まで気を抜かず、不安でいっぱいの人も最後の最後まで伸び続けると信じて、ラストスパート精いっぱい走り抜けましょう。

今回はタイトルにもある通り、国公立大学の出願、特に中期・後期の出願にフォーカスしてお話していきます。

▼index

国公立大学の入試概要

中期・後期試験の重要性

受験校の選び方

終わりに

国公立大学の入試概要

まず、国公立大学の入試概要について簡単に説明していきます。国公立大学の一般選抜における合否判定は、1月に実施される共通テストの結果と、各大学独自の試験方法で行われる二次試験の結果を総合して行われます。その国公立大学への出願は共通テスト受験後の共通テストリサーチの結果を基に検討していきます。共通テストリサーチとは、各々が自己採点結果を通っている高校に提出することで、全国の受験生の自己採点集計結果から自分の志望校への判定や、志望者の中での立ち位置を知ることができる制度です。共通テストリサーチの結果は共通テスト実施後1週間以内に返却され、1/232/3の間に大学に願書を提出します。

ここでのポイントは、3つあります。

まず、1つ目は国公立大学の出願時に頼りになるのは自分の自己採点のみ、ということ。正式な点数は大学入試が終わってしばらく経ってからしか開示されないので、自己採点に誤りがないように気を付けましょう。判定はA判定だったのに、マークのずれで実際は全然違う点数だったということも起こりえます。

2つ目は、共通テストリサーチの結果が分かってから、出願の締切まではあまり日がないということ。そのため、共通テスト受験前から実際の得点率を想定して、目標点をこれぐらい下回った場合はどの大学に出願しようか、といったこともしっかりと考えておきましょう。受験前からマイナスなことを考えるのは良くないと思う人もいるかもしれませんが、目標に達しなかった場合も受験する大学があると思えることで、心に余裕が生まれ、いい結果が出やすくなることもあります。

3つ目は、前期・中期・後期の出願がすべて同じタイミングであるということ。前期が不合格だったから、中期や後期に出願しようというのはできません。出願期間は私立大学の合格発表よりも早いので、いろいろな場合を想定して、中期や後期もしっかりと出願するようにしましょう。そのためには、2つ目のポイントと同様にあらかじめどの大学に出願するかを考えておきましょう。

中期・後期試験の重要性

続いて、中期・後期試験の重要性について話していきます。第一志望は前期の大学だから、中期・後期は受けたくない、受ける必要はないと思っている人や中期や後期受けるぐらいなら、私立大学の滑り止めでいいという考えの人もいるかもしれません。ですが、上でも触れたように私立大学の合格発表が出るころには国公立大学の出願は締め切られています。そのため、私立を滑り止めにするから、と前期しか出願していなかった場合、ふたを開けてみれば私立大学も国公立大学も不合格というようなこともあり得ます。なので、できる限り合格をつかむ可能性を上げられるように中期や後期も出願しておきましょう。

また、中期や後期は公表される倍率は高くなりがちです。そのため、こんな高倍率で受かるわけないと思って、出願に後ろ向きになる人もいると思います。ですが、実際は前期で受かった人は受験しないため、実質倍率はそこまで高くなることはありません。例えば、京都工芸繊維大学では後期試験の欠席率が45%以上というデータが出ています。なので、最後まで粘り強く戦い抜きましょう。

受験校の選び方

 では、どのように受験校を選定すればよいのか、についてお話します。考慮すべきことがたくさんありますが、重要なのは、共通テストの得点率、共通テストと二次試験の配点比率、二次試験の難易度です。これらの要素を基に合格最低点を越えることができるのかを検討してみてください。

例えば、あなたの共通テストの得点が70%、C判定(合格可能性40%以上)でボーダーが72%だったとします。このとき二次試験の配点比率が4割の大学と6割の大学では、どちらの方が合格の可能性が高いでしょうか。この場合は、後者の二次配点比率が6割の方が合格を見込めます。なぜなら、共通テストで不利な状況に立たされてしまっているため、二次試験で挽回する必要があるので、二次試験の配点が高い方が挽回のチャンスが広がるということです。逆に、共通テストでボーダーより下回った場合に二次試験の配点が小さい大学に出願することは挽回が難しく、リスキーであるといえます。

前期でもちろん第一志望に合格するのが一番望ましいことなので、前期は思い切った挑戦をするという選択もあると思います。その場合はより慎重に、中期・後期の受験校を選定し、確実に合格が狙えるようにしましょう。

受験校の設定の一例をあげてみます。

入試区分

大学

学部学科

共テボーダー

二次比率

前期

神戸大学

工学部建築学科

73%

63%

中期

大阪公立大学

工学部 海洋システム工学科

72%

67%

後期

山形大学

建築・デザイン学科

70%

11%

まず、

・前期は志望校にこだわり、第一志望の神戸大学を受けるとします。

この場合、ボーダーよりは下回っていますが、二次配点が6割を超えており、挽回の余地もあると考えられます。ですが、この場合は中期・後期を慎重に設定する必要があると思われます。

・中期は入試が実施される大学が少なく、建築学科は厳しいと思われたため、学科を変更して出願します。

・後期は二次配点が低く、共通テスト逃げ切りタイプの大学を設定しました。実際は過去の合格最低点や過去問での得点率なども考慮して決めていきましょう。

 

出願校の決め方についてなんとなくイメージできたでしょうか。このように決められたら、共通テストの得点率と過去の合格最低点から二次試験での目標点を算出し、二次試験に向けた対策に取り組んできましょう。

 

 また、受験が遠方になる場合は、雪での交通状況なども考慮してゆとりの持てる旅程を立て、宿の予約も忘れずにしておきましょう。大学によっては大学生協などが用意している受験生応援パックのようなプランも用意されているので、必要があれば確認してみてください。

終わりに

 国公立大学の入試について少しは理解が深まったでしょうか。今まで前期しか考えていなかったという受験生も中期・後期試験の必要性についてもう一度考えてみてください。第一志望がダメなら浪人しようと思っている人も中期や後期試験を受けてマイナスなことはありません。ひとつも合格なく終わるのと、ひとつでも合格を勝ち取った状態で2年目の受験に挑むのとでは、やはり気持ちの面で大きく違います。去年の実力でもあの大学に合格できたから、今年こそは志望校に合格できる、今年こそは去年より上のレベルにいけるというような自信につながります。

 ここまで、中期・後期試験についてお話してきましたが、もちろん第一志望に必ず合格するという強い気持ちを持って挑んでください。中期・後期はその第一志望に合格するための保険だと思ってしっかりと選んでみてください。入試本番まで残りわずかですが、自分を信じて全力で頑張りましょう!

〈文/開成教育グループ 大学受験専門館 高槻教室 原明穂〉