2025/05/12

【大学受験】英単語・英熟語勉強法の完全ガイド

 今回は英単語・英熟語勉強法について記述します。英単語・英熟語が暗記できていないと長文読解問題や過去問を解く際に文章が理解できず、直前期に焦って暗記するということになってしまいます。そうならないために今から英単語・英熟語を暗記してこれからの長文対策に備えましょう。私自身が実際に行っていた勉強法も記述していますので、是非最後まで読んで役立ててください。

INDEX

■英単語・英熟語学習の基本と重要性
■効果的な英単語の暗記方法
■英単語を効果的に覚える方法
■大学受験生向けの勉強戦略
■おすすめの学習ツールと教材
■注意しておきたいNGな勉強法
■まとめと効果的な英単語・英熟語学習の実践

 

■英単語・英熟語学習の基本と重要性

なぜ英単語を覚える必要があるのか

 受験勉強を進めていく中で英単語は必須といわれていますが、なぜ英単語を覚えなければならないのかと思う人もいるかもしれません。そこで英単語を暗記することのメリットをお話します。主なメリットは単語を暗記していると長文が読めるようになるということです。難しい長文を解いているとわからない単語が出てくるかもしれません。しかし知っている単語が多ければある程度推測することができます。単語を理解することで長文を理解するスピードがどんどん早まり問題を解くスピードを上げることにもつながるでしょう。

効率的な英単語学習の基本

・目標設定と計画作り
 大学受験に必要な英単語は約2000語あります。この2000語の英単語を効率よく網羅するためには目標設定、目標達成に向けた計画作りが重要になります。たとえば夏休み前には単語帳にある単語を全て暗記するという目標を立てたとすると、1冊分を暗記するためには単語帳を何周すればよいのか、そのために毎日何個ずつ暗記をして、どのくらいの頻度で確認テストを実施するのがよいのかを具体的に計画する必要があります。このように目標達成に向けた計画を立てることで"今何をするのか"が明確になり、単語を暗記するモチベーションにもつながります。

・音声教材の活用とシャドーイング
 音声教材やシャドーイングと聞くとリスニングの対策だと思う人も少なくないと考えます。しかし、音声教材やシャドーイングは単語の知識を定着させることにも活用できます。音声教材やシャドーイングでの演習を重ねると意識して暗記しようとしなくても語彙や使いまわしを効率よく暗記することができます。

英文読解を通じた語彙力アップ

・長文読解で得る単語との接触頻度向上
 長文読解の問題を解いていると多くの単語と触れ合えます。そこでこれまで単語帳で学習した単語の定着の確認ができたり、単語帳には掲載されていないが長文の中で重要な役割を果たす単語と出会えたりと語彙力の向上へと繋げられます。

・文構造理解との組み合わせ効果
 単語を覚えることは文構造の理解にもつながります。たとえば、動詞の意味や使い方を知っていればそのあとに続く文の形も自然と汲み取りやすくなります。語彙の知識があることで、主語や述語の関係も把握しやすくなり、文構造の理解が見えやすくなります。

英熟語とはなにか?その重要性とメリット

 英熟語とは複数の英単語で構成され、ある特定の意味に慣用される語彙です。この英熟語は英語の自然な表現に欠かせない要素です。"give up"や"look into"など単語を単独で訳すだけでは意味が分からない表現が多くあります。これらを覚えることで会話や長文の理解がスムーズになります。熟語力をつけることで文全体の意味をすばやくつかむ力が向上し、読解・リスニング・ライティングの全てに効果があります

 

■効果的な英単語の暗記方法

 ここまでよく使われている英単語帳や効果的に学習する方法を紹介してきましたが、ここから先は暗記方法には具体的にどのようにすればよいのかについてまとめていきます。

スキマ時間を活用する方法

・通学時間の活用術
 電車通学をしているみなさん、通学時間は何をして過ごしていますか?友人と話をしたり、風景を見たり学校の小テストの勉強をしたりとさまざまな過ごし方があると思います。その毎日の通学時間で単語を暗記してみてはいかがでしょうか。毎日片道15分、1か月20日間電車で通学しているとすると1か月あたり10時間の勉強時間が確保できます。毎日のうちのほんの少しの時間ですが積み重ねると大きな差になります。電車通学の方は是非今日から実践してみてください。

・寝る前と起床後の学習サイクル
 英単語は覚えるタイミングによって記憶の定着度が変わるといわれています。具体的には寝る前にインプット、朝に軽くアウトプットという流れを日々の学習へ取り入れることで、効率よく語彙力を高めることができます。寝る前に新しい単語に目を通しておくと睡眠中に脳がその情報を整理し、長期記憶に残りやすくなります。特に他の情報が少ないタイミングなので、記憶が混ざりにくいという利点があります。そして翌朝同じ単語を復習すると記憶がさらに強化されます。朝は脳がリセットされた状態で集中しやすいため、前日に覚えた内容を思い出すのに最適です

五感をフルに活用する暗記術

・発音と結びつけた記憶法
 単語を覚える際に、つづりや意味だけではなく発音とセットで記憶することは非常に効果的といえます。発音することで記憶を聴覚情報と結びつけることができ、「音」「意味」「スペル」が関連付けられ、記憶が強固になります。また発音を知っていることでリスニングやスピーキングの際にもすぐに使える語彙として定着しやすくなります。

・画像やビジュアルを活用した方法
 単語の暗記方法には画像やビジュアルを活用した方法も存在します。文章化された描写は具体的な風景を思い描きやすくなります。その風景を具体的に描いてみて「視覚化」すると、いっそう記憶に定着しやすくなります。文章化された描写を紙に描く必要はなく、頭の中で静止画または動画として思い浮かべてみてください。そうすることで情報量が増え思い浮かべる内容が鮮明に具体的になります。この方法は前置詞のように抽象的で概念的な要素を把握する手がかりとしても有効です。イメージで覚えることで日本語の助けを借りずに把握できるため、日本語と英語のギャップから生じる祖語を免れやすいのです。

文脈と関連付けた暗記法

・例文や長文を使ったトレーニング
 英単語は単独で覚えるよりも例文や長文の中で覚えるとより深く記憶に定着しやすくなります。1つの英単語には複数の意味があることが多く、文脈によってその意味が変わるため、実際の文の中で単語を覚えることで意味の幅を理解することができます。また長文を通して学ぶことで、単語がどのように他の単語と結びつくか、文法的にどのように使われるかも自然と覚えることができます。

・コロケーションで覚える方法
 単語を暗記する1つの方法として"コロケーション"というものがあります。"コロケーション"という言葉を初めて聞く方も多いと思います。"コロケーション"とは英語のネイティブスピーカーたちが普段用いる英語表現の中で頻繁に使用される2つかそれ以上の単語同士の組み合わせのことです。また伝えたいニュアンスや、音声の響きがしっくりとくるというのが特徴です。単語同士の組み合わせと聞くとイディオムと同じだと思う人もいるかもしれませんが、イディオムは単語を組み合わせて新しい意味を見出すのに対してコロケーションは単語を組み合わせて1つの意味を表すという違いがあります。

 実際にネイティブスピーカーたちが用いている表現であるためコロケーションは単に単語を覚えるのではなく、単語の使われ方を学ぶことができます。また長文を読むときにも文の意味をより正確にとらえることができます。コロケーションに基づいて単語同士の関係を理解することで、文全体の流れや意図がわかりやすくなります。

効果的な復習のテクニック

・忘却曲線を活用した復習サイクル
 学習した内容は時間とともに忘れやすいとされていますが、その特性を理解し、忘却曲線を意識した復習計画を立てることが重要です。新しく覚えた単語を「数時間後、数日後、1週間後」に復習することで記憶が定着しやすくなります。先ほども述べたように就寝前と起床後に単語を見る癖をつけて効率よく暗記をすすめていきましょう。

・適切な復習ペースと完璧主義の回避
 英単語を効率よく復習するためには適切なペースがあります。適切ではないペースで進めるとせっかく復習をしていても効果が現れにくくなってしまいます。そうならないために英単語の復習期間はあまり時間をおかずに短期間繰り返し復習しましょう。復習するまでに時間があいてしまうと先ほど述べたように1度記憶した英単語を改めて記憶し直すのに必要な時間が長くなるほど、脳が重要なものではないと判断してしまい、また1から覚えなおさなければなりません。英単語を暗記した翌朝、数日後と短期間で継続的に復習をしていきましょう。

 また、英単語を暗記していく上で完璧主義は逆効果です。完璧主義の方であれば少しでも覚えられなかったことに対してストレスを感じてしまうかもしれません。しかし、言語学習では繰り返しの復習が重要です。完璧に覚えられなくても定期的に復習を繰り返すことで記憶を定着させられ、効果的な学習へとつながります。

 

■英単語を効果的に覚える方法

間違った覚え方と改善策

・丸暗記を避ける
 英単語を暗記する上で丸暗記は効果的ではありません。すでに何度か述べていますが、英単語は文章の中で暗記するとより深く記憶に定着しやすくなります。

・アウトプットを取り入れる
 英単語を暗記していく上でアウトプットは必須です。よくアウトプットが大事と言われますが、なぜでしょうか。それはアウトプットすることで最も上達が見込める部分が、イメージや自分の伝えたい事を英語に変換する力を培えるからです。話すや書くなどのアウトプットをすることによってインプットした知識を実際にどのように使うかを理解することができます。インプットした単語をより長期的に記憶として定着させるためにもアウトプットを取り入れた勉強法を実践してみてください。

効果的な覚え方

・背景や成り立ちを理解する
 英単語を暗記する際に背景や使われる文脈を理解することが記憶を深く定着化させることへつながります。1つの単語に2つの意味がある場合、そのことを知っていれば文脈に応じた適切な使い分けができるようになります。単語の背景を理解することで意味をより深く把握し、自然な使い方ができるようになります。

・エピソード記憶法の活用
 英単語や英熟語を覚えるときにエピソード記憶法を活用することで記憶が一層強化されます。この方法はすでに書いていますが、単語を覚える際に「ストーリー」や「具体的な状況」を結びつけるものです。エピソードを伴った記憶は感情や具体的なイメージと結びつくため、忘れにくくなります。単語をただ暗記するのではなく、その単語を使ったシチュエーションを想像することで、実際の会話や文章に応用しやすくなります。

毎日の継続的な学習のコツ

 英単語を毎日継続して勉強することは簡単なことではないと思います。そこで実際に私が実践していた勉強法を紹介します。

  • 毎日短時間で集中する

 部活動や学校の勉強でなかなか時間がとれないこともあると思います。それでも毎日必ず10分はやると自分の中で決めて、空き時間を見つけて単語帳を見るようにしていました。ノルマの設定が高すぎないことは重要だと思います。

  • 週末に小テストを実施して点数を記録する

 1週間で覚えた単語の範囲を週末に小テストを実施していました。理解度を図れる上に点数の推移がモチベーションにもつながり毎日コツコツと学習できました。

 

■大学受験生向けの勉強戦略

試験にターゲットを絞った単語対策

 大学受験に向けた英単語の学習は試験範囲に特化した内容を重視することが重要です。まずは、過去問や模試を確認し、出題レベルと頻出単語を把握しましょう。そのうえで、単語帳を選ぶ際には、受験に特化したものや特定の大学の傾向にあった教材を選ぶといいでしょう。毎日の学習スケジュールに組み込み、目標数の単語を設定して、計画的に進めることが大切です。また、先ほども述べたように例文をつかって文脈で単語を覚えることや忘却曲線を意識した復習方法を立てることでさらなる効果を見込めるでしょう。

 

■おすすめの学習ツールと教材

人気単語帳とアプリの選び方

 英単語帳やアプリは数多く存在しますが、自分に合ったものを選ぶことが最も重要です。それぞれの特色をまとめたので現状の学力やこれから目指す志望校のレベルなど自分のニーズにあった単語帳を見つけましょう。

人気単語帳・アプリとその特徴

・ターゲット編集部 編『英単語ターゲット1900(旺文社)』
1900の単語を入試に出る順で学べる1冊です。英単語帳と連動するアプリや、別売りの実践問題集などもあり、共通テストから国公立2次試験・難関私大レベルをカバーしています。

・『システム英単語(駿台文庫)』
全2180語の単語を頻出順に学べる1冊です。配布している高校も多く難関大の受験にはもちろん、英検やTOEICといった英語系の検定の勉強にも広く活用できます。

・『速読英単語 必修編(‎Z会‎)』
「英文を読むことを通じて英単語を学習する書籍」として、長文を読んでいく中で、単語の知識を身につける形式の英単語帳です。すでに、長文読解に取り組めるレベルにある方におすすめです。

・『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁(KADOKAWA.)』
毎年400人以上の東大合格者を輩出している学習塾「鉄緑会」が監修した、東大などの難関大を目指す方向けの英単語帳です。

・mikan(※一部有料版あり)
mikanは、東大生が制作した英単語アプリです。「英単語ターゲットシリーズ」「速読英単語」など、140冊以上の単語帳が収録されています。

・レシピー(※一部有料版あり)
レシピーは英単語の学習だけではなく、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング・文法の英語学習に必要な6大要素を網羅しているオールインワンアプリです。

・Duolingo(※一部有料版あり)
Duolingoではモチベーションを維持できるようにゲーム性を取り入れたりかわいいイラストを用いたりと、楽しみながら学習ができる工夫がされています。

ノート術とルーズリーフを使った暗記法

  • 手書きが生む記憶定着のコツ

手書きで書くと、1文字ずつが「完全に自分オリジナルの文字」になるため、その独自性によってデジタルのフォントとして文章を見るよりも、記憶に残りやすいといわれています。実際の入試でも手書きで文字を書くため、手書きで暗記することをおススメします。

  • 復習しやすいノート作りのポイント

わからない単語をやみくもにノートにまとめても非効率的です。単語の定義だけでなく、実際の例文を見たり、使用シーンを考えたりすることで、文脈の中で単語を理解することができます。また、関連する単語や反意語、同義語をセットで学ぶことで、より深い理解と記憶の定着が促進されます。

代表的な英熟語参考書とその使い方

・『速読英熟語(‎Z会‎)』‎
英熟語を英文の中で覚えていこうという英語の参考書です。速読英熟語は載っている熟語や構文が多く、問題演習よりはインプットに適しています。

・『システム英熟語(駿台文庫)』
英熟語のイメージを手助けする図やイラストがあるので、常にイメージをもって勉強することができます。しかし理解にフォーカスした英熟語帳であるため初心者向けの英熟語帳といえるでしょう。

・『英熟語ターゲット1000(旺文社)』
英熟語と意味が載せてあるシンプルな英熟語帳です。この英熟語帳を網羅するためには目標の設定が不可欠です。一日何熟語ずつ進めるや1カ月で1周する等1日あたりどのくらい進めるのか明確にした目標を設定しましょう。

目標設定後は書いて覚えるや読んで覚えるなど自分に適した方法でインプットしていきましょう。インプットができたら英熟語が記憶として定着できているかどうか確認テストを実施します。間違えた英熟語はチェックをいれていき、この印がなくなるまで何度も繰り返し暗記しましょう!

・『ユメジュク(アルク)』
ユメジュクでは熟語を例文で暗記します。例文で熟語を覚えていくことで、熟語の「使われ方」に意識的になり、定着度が上がります。

・『解体英熟語(‎Z会‎)』
解体英熟語はかなりレベルの高い英熟語帳です。そのため、1冊の英熟語帳を終えて、さらに英熟語帳を勉強したいという人におすすめです。特に熟語力が問われる大学を受験する人やこの1冊で全てを網羅したい!という方におススメです。

長文読解や英会話で英熟語を自然に学ぶ方法

 英熟語は英熟語帳を用いることだけではなく長文読解や英会話を通しても学ぶことができます。問題を読んでいるときや会話をしているとわからない表現や新しく出会う英熟語があると思います。実際に長文問題や会話の中で使用される熟語は入試問題でも使用される可能性が高いです。そのためわからないものを是非辞書を使って調べてみてください。

 

■注意しておきたいNGな勉強法

失敗しがちな覚え方

・眺めるだけの学習のリスク
 英単語を覚えるうえでただ単に単語帳や単語カードを眺めているだけでは記憶の定着に限界があります。効果的な記憶法についてはすでに何点か記述しましたが、英単語を長期的に暗記できるように眺めるだけではなく、声に出す、聞く、紙に書くなど五感をフル活用した記憶法を実践してみてください。

・単語を機械的に丸暗記する危険性
 単語を機械的に丸暗記すると、意味を理解せずに覚えてしまったものがでてきます。そうなると長文の中で単語が出てきたときに文脈にあうように訳すことができません。また記憶が一時的なものになりがちです。機械的に覚えた単語は長期的記憶に残りにくく復習しなければすぐに忘れてしまいます。同じ単語を繰り返し暗記することはモチベーションの低下にもつながり、数多くの英単語を暗記していくうえで効果的ではないといえるでしょう。

過剰な学習負荷を避ける方法

・少量頻度で定期的に進めるペース管理
 約2000語の単語を暗記するとなると焦ってしまい、一度に大量の単語を暗記しようとする人もいるかもしれません。しかし、英単語は少量でも着実に暗記をしていくことが重要です。いつまでにどうなりたいのかを明確にして、ゴールから逆算して暗記を進めていきましょう。これはモチベーション維持にもつながります。

・効率が落ちない学習時間の配分法
 英単語と英熟語を学習していく際に時間配分を工夫することでより効率よく記憶を定着させることができます。一度に長時間学習するのではなく、単語と熟語をそれぞれ10-15分程度の短時間で取り組むことが効果的です。また長文読解の問題をとおしてわからなかった単語を学習したり、これまで学んだ単語からテストを実施したりと単語帳や英熟語帳がすべてではありません。毎日取り組むことで飽きが来たりモチベーションをうまく保てなかったりするかもしれませんが、程よい時間配分を見つけて継続的に勉強していきましょう。

 

■まとめと効果的な英単語・英熟語学習の実践

 今回は効果的な英単語、英熟語学習についてまとめました。 "英単語は毎日短時間でもいいから継続してやること"と"ただ単に暗記するのではなく、五感を使った暗記方法を実践すること"が重要です。大学受験の勉強を進めていく中でほとんどの人にとって英語は必須科目です。英単語や英熟語を効果的に学習して、夏以降の実践問題演習に備えましょう。

 

<文/開成教育グループ 大学受験専門館 草津教室 上さくら>