2025/06/09

オープンキャンパスを120%活用するために知っておきたいポイント

 大学選びで迷ったとき、「行ってみる」ことでしか発見できないものがあります。オープンキャンパスは、パンフレットやホームページだけでは分からない、大学の"リアルな姿"を体感できる絶好のチャンスです。この記事では、そんなオープンキャンパスを最大限に活用するためのポイントを紹介していきます。

■オープンキャンパスとは? 基本的な概要

 オープンキャンパスは、大学が行うイベントです。特に大学受験を控えた高校生に向けて、授業体験やキャンパスツアー、学校説明会などのコンテンツが用意されています。

 オープンキャンパスは高校3年生が行くものと考えていませんか?受験を控えた高校3年生はもちろんのこと、高校12年生にとっても大学や学生の雰囲気、授業内容などが肌で感じられる絶好の機会なので、自分のキャンパスライフをイメージしながらオープンキャンパスに参加してみましょう!

■事前準備と持ち物をしっかり押さえよう

 オープンキャンパスを有意義に過ごすためには、事前の準備と持ち物の確認が欠かせません。自分の目的を明確にしてしっかりと準備することで、当日に知りたい情報を効率よく集めることができます。

プログラムの事前確認とタイムスケジュール

 まずは、大学のホームページでオープンキャンパスの情報を事前に確認しながら優先順位をつけてスケジュールを組みましょう。

オープンキャンパス事前確認チェックリスト

チェック項目

内容

目的を決める

見たい学部や知りたい情報(授業内容、入試情報、学生の雰囲気など)を明確にする

優先順位をつける

必ずしも全てのプログラムに参加できるとは限らないので、行きたいものを優先して選んでおく

プログラムシートの時間を把握する

開始時刻・終了時刻を確認し、重なりがないようにスケジューリングする

会場の場所を確認する

キャンパスマップを確認して、建物間の移動時間も考慮しておく

予約が必要なプログラムに申し込む

個別相談や模擬授業は予約制の場合があるため、定員や締切に注意する

予備時間を入れたスケジュールを組む

次の会場への移動時間や休憩時間を考慮し、余裕のある設定にしておく

以下は、大学の文学部に興味があり、文学部で何が学べるのか、どのような学生や職員が在籍しているのかを知りたいと考えている場合のスケジュール例です。

タイムスケジュール例

09:30〜10:00 | 大学到着・受付

10:00〜10:30 | 全体説明会

10:40〜11:30 | 文学部 学部説明会

11:40〜12:10 | 模擬授業(例:「文学作品をどう読むか」)

12:10〜13:00 | 昼食・キャンパス自由散策

13:00〜13:30 | 学生とのフリートーク・質問コーナー

13:40〜14:20 | 個別相談コーナー(入試・進路)

14:30〜15:00 | キャンパスツアー(ガイド付き)

15:00〜15:30 | ふりかえり・メモ整理

筆記用具など持ち物リスト

 オープンキャンパスには、以下の持ち物があると便利です。

持ち物リスト

チェック項目

用途や注意点

筆記用具

メモを取ったり、アンケート記入したりする際に使用

メモ帳やノート

説明内容や気づいたことをすぐに記録できるように

スマートフォン

会場のマップやスケジュールの確認・写真撮影用に

キャンパスマップ(案内)

大学のWebサイトから事前に印刷・保存しておくと安心

予約確認書・QRコード

事前予約したプログラムの受付に必要な場合あり

飲み物

暑い時期の水分補給に。マイボトル持参がおすすめ

折りたたみ傘

急な天候変化にも対応できるよう準備

ハンカチ・ティッシュ

トイレや食事の場面で必要

小さめのバッグorサブバッグ

パンフレットやその他資料を持ち帰る際に便利

昼食or軽食(必要に応じて)

食堂が混雑している場合や、長時間滞在する際に、備えておく

上着

夏でも屋内は冷えることがあるので、軽めの羽織があると安心

チェックポイント①:キャンパスの雰囲気・教員と学生の距離

 オープンキャンパスは、貴重な自分の時間を削って参加するイベントです。当日はただ説明を受けるだけではなく、多くのポイントをチェックしましょう。ここからは、オープンキャンパス当日にチェックしたい項目を紹介していきます。まずは、キャンパスの雰囲気や教員と学生の距離についてです。

 学校のカラーや教員・学生の雰囲気は、気になるポイントですよね。ぼんやりキャンパスを眺めていても始まりません。在学生と直接話をするなど、積極的に肌で雰囲気を感じていきましょう。

チェック項目

確認内容(例)

教授や在学生個別相談

教員や在学生が親身に話を聞いてくれるか

質問しやすい雰囲気か

学食や学内のカフェ

学生がリラックスして過ごしているか

教員と一緒にいる様子があるか

部室棟の周辺

学生が自由に出入りしていて

活動がオープンな雰囲気か

部員募集のチラシや掲示板

学生主体で発信されているか

活動が活発に行われているか

お昼休憩中のキャンパスの雰囲気

学生が自然体で過ごしていて、居心地の良さが感じられるか

チェックポイント②:施設・設備は充実しているか

 授業や研究の施設・設備が充実しているかは、"どう学ぶのか"の指標のひとつになります。例えば授業で使用するパソコンの性能や台数など具体的にチェックしましょう。

チェック項目

確認内容(例)

大学の先生の印象

学生の要望に対して耳を傾けてくれる姿勢があるか

空き時間の居場所

学生が自由に過ごせるラウンジや自習スペースが充実しているか

価格、味、種類など学食の評価

値段が手頃か

味が良いか

メニューにバリエーションがあるか

大学の建物・名所

キャンパスが清潔で整備されているか

特色ある施設や景観があるか

図書館や研究室

設備が新しいか

利用しやすい環境か

専門的な資料や機器がそろっているか

チェックポイント③:授業内容・カリキュラムは自分に合うか

 学科名やコース名だけで、大学で学べる内容を判断していませんか? 同じ学科・コース名でも学校によって内容や特徴が違うものです。履修できる授業や、身につけられる知識や技術は何かを確認していきましょう。

チェック項目

確認内容(例)

自分が志望する分野での、大学の研究実績

その分野に関する教授の研究テーマや成果が紹介されているか(大学パンフレットや研究室紹介、模擬授業などで確認)

興味のあるゼミが開講されているか

ゼミのテーマや内容が自分の関心と一致しているか

どの学年から参加できるか、ゼミの活動紹介があるか

他学科の講義も受講可能か

履修制度に「学部横断」や「副専攻」「自由選択科目」などの柔軟性があるか

1年次の基礎教育は丁寧に行われるか

初年次教育(導入ゼミやリメディアル教育)があるか

学習支援センターなどのサポート体制が整っているか

実習やフィールドワークは充実しているか

カリキュラムに実習・現地調査・インターンシップなどが組まれているか

体験談や紹介事例があるか

チェックポイント④:留学プログラムの内容

 大学在学中に留学を考えている場合は、そちらについての情報も積極的に集めていきましょう。提携大学や参加条件、費用、支援制度など、パンフレットやホームページだけでは分からない具体的な情報を担当者に直接質問できます。また、実際に留学した先輩の話を聞ける場合もあり、自分の将来像をより明確に描くヒントにもなります。留学制度で確認すべきポイントを以下にまとめています。

チェック項目

内容

留学プログラムの種類

長期留学、短期研修、交換留学、インターンシップ型など、選択肢の幅を確認

提携大学・国・地域

どの国や大学と連携しているか

自分の希望する地域が含まれているか

留学に必要な条件

語学力(TOEFLIELTSなど)の基準、成績、選考方法の有無など

留学の時期と期間

何年生で行けるのか、どのくらいの期間参加できるか

学業との両立は可能か

留学中の単位認定

海外で取得した単位が日本の卒業単位として認められるか

費用と支援制度

プログラム参加費などの負担額と、奨学金や補助金はあるか

語学指導・ビザ取得のサポートなどの内容

留学経験者の声・体験談

実際に留学した先輩の話が聞ける機会があるかどうか

英語以外の言語・地域にも対応している

フランス語圏やアジア圏など、英語以外の言語対応プログラムの有無

チェックポイント⑤:卒業後の進路や就職サポートの実態

 進路については、大学のホームページ上の情報だけでは実情が分からないことも多いです。そのため、大学のキャリア支援の職員に直接話を聞いてみれば有益な情報が得られるかもしれません。

チェック項目

確認内容(例)

学部・学科ごとの卒業生の就職先

就職先の一覧が分野ごとに整理されているか

進学者の割合

将来就きたい職業分野の就職率

希望する業界・職種への就職実績がどれくらいあるか

数字や事例で示されているか

ホームページには載っていない意外な就職先

パンフに載っていない進路にはどのようなものがあるか

(個別相談や在学生・教職員に質問)

インターンや社会人との交流機会の豊富さ

学内での企業説明会、OBOG訪問、長期・短期インターン制度の数や頻度が紹介されているか

キャリアセンターのサポート充実度

履歴書添削、模擬面接、個別相談などの具体的支援メニューがあり、利用しやすい雰囲気か

チェックポイント⑥:通学時間・交通手段と周辺環境

 「路線図では近そうだったのに電車の乗り継ぎがとても不便...」なんてこともよくあります。毎日通うからこそ、通学のこともしっかりチェックしておきたいポイントです。

チェック項目

確認内容(例)

最寄り駅の景観

駅周辺が明るく安全な雰囲気か

人通りや治安に不安がないか

周辺地域の印象

静かで落ち着いているか

学生が過ごしやすい環境か(住宅街・繁華街・自然の多さなどもチェック)

買い物などの利便性

コンビニ、スーパー、ドラッグストアなど、日常生活に必要な店が徒歩圏内にあるか

アルバイトをしやすい環境

大学周辺や通学路に飲食店や小売店があるか

求人情報が豊富か

授業や部活等で遅くなっても帰宅に支障はないか

最寄り駅までの道が夜も明るく安全か

電車やバスの本数・最終便の時間が現実的か

チェックポイント⑦:学費・奨学金など経済的サポート

 志望大学を考えるうえでは、入学金や授業料のほか、施設費や教材費などの費用がかかるため、全体の負担を把握しておく必要があります。家計や将来の返済を考慮しながら、自分に合った支援制度があるかどうか情報を集めておくと安心です。

チェック項目

確認内容(例)

初年度の学費総額

用意できる金額か

奨学金制度の種類

給付型(返済不要)・貸与型(返済が必要)・大学独自・民間・自治体など、利用できる選択肢がどれだけあるか

奨学金の対象条件

世帯収入や成績、活動実績など、どのような人が対象になるのか

奨学金の申請時期と手続き

入学前に申し込めるか

入学後の手続きはいつ・どこで・どのように行うか

具体的なスケジュールがあるか

学費減免制度

授業料や施設費の一部が免除される制度があるか

減免の条件や適用割合についての情報はあるか

チェックポイント⑧:入試制度・出願時期・受験対策

 オープンキャンパスは、志望校の入試制度や出願時期、受験対策の情報を直接確認できる貴重な機会です。ホームページでは得られない"生の情報"を直接得られるのがオープンキャンパスの大きなメリットなので、積極的に情報を集めましょう。疑問点はその場で質問し、正確な情報を得るようにしましょう。

チェック項目

確認内容(例)

入試の種類

総合型選抜(AO)・学校推薦型選抜・一般選抜など、どんな方式があり、自分に合う方式はあるか

出願時期と選考日程

出願開始日、試験日、合格発表日が明示されているか

他大学との日程が重ならないか

複数学部の併願制度

同一学内で複数学部・学科を併願できるか

追加費用や特別な手続きが必要かどうか

出願条件・資格

評定平均・検定(英検など)・課外活動など、出願に必要な条件はあるか

試験科目・配点

各科目の配点や傾斜配点の有無

選択科目の組み合わせ

過去問の入手方法

過去問が公式サイトやオープンキャンパスで配布されているか、閲覧できるか

面接・小論文の内容

面接の形式(個別・集団・プレゼン型など)や小論文のテーマ傾向は紹介されているか

入試対策講座など、大学が実施している入試サポートの有無

大学主催の模試・講座・事前相談などがあるか

参加方法や日程

■まとめ:オープンキャンパスを活用して納得のいく進路選択を

 オープンキャンパスは、大学の雰囲気や学びの内容を体感し、自分に合った進路を考えるうえで非常に貴重な機会です。事前に準備を整え、当日は気になる分野やサポート制度、学生の様子などを自分の目でしっかり確認することが、納得のいく進路選びにつながります。パンフレットやホームページだけでは得られない"リアルな情報"を得るためにも、気になったことは積極的に質問し、比較・検討していきましょう。自分の未来を描く第一歩として、オープンキャンパスを最大限に活用してください。

 

< 文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所 >