2025/10/20
【大学受験】物理の勉強法 総合ガイド~理解を深め成績アップ!~
■物理はどんな科目?その特徴と学ぶ意義
物理が苦手と感じる理由
多くの人が物理を苦手と感じる理由の一つに、「内容が身近ではなく抽象的であること」が挙げられます。具体的に言うと、力学以外の分野では目に見えない現象を扱うため、何を考えればよいのかイメージしづらいのです。さらに、もともと数学に苦手意識がある場合もあります。物理では数式の計算や文字式の操作が頻繁に登場するため、ある程度の計算力が求められます。
数式や単位が重要なポイント
物理の計算に取り組む際には、数式と単位の扱いがとても重要になります。特に単位については、例えば「m」で計算するのか「cm」で計算するのかによって、答えの大きさが大きく変わってしまいます。また、数式においては自分で記号を設定することもあるため、大文字と小文字を正確に区別するなど、ミスを防ぐ工夫が必要です。
■物理で押さえておきたい5つの重要分野
力学:運動とエネルギーを理解する
力学は、高校物理の5分野の中では一番現象が理解しやすい分野だと思います。だからこそ、問題を解く際には単に公式に代入するだけでなく、しっかりと図を書きながら考えることが大切です。力学的エネルギーを扱う際も同様で、衝突前後の状態を図にまとめることで、ミスを減らすことができます。さらに、見直しの際にも誤りを発見しやすくなるというメリットがあります。
波動:光・音を中心に波の性質を学ぶ
波動の学習においては、光や音を扱う前に「波の性質」そのものを正しく理解しておくことが欠かせません。例えば、x-t図とy-t図の違いをしっかり押さえることや、正弦波の式がなぜy = A sin[ 2π ( t/T - x/λ ) ]となるのかを理解することが大切です。光や音の分野に進んだ時には、ドップラー効果・光の全反射・干渉といった現象が「なぜ発生するのか」を理解できると、単なる公式の暗記に終わらず、応用問題にも対応しやすくなります。
熱力学:熱エネルギーと状態変化をつかむ
熱力学の学習においても力学の学習同様、図を用いて視覚的に情報を整理することが有効です。例えば、ピストンが動くことで体積や圧力が変化していく問題では、簡単な図でも良いので必ず書くようにしましょう。その際、どの状態の体積や圧力をどの文字で置いたのかを明確にしておくことで、立式のミスを減らすことができます。また、見直しの際にも状況を把握しやすくなり、確認作業の手間も少なくなります。
電磁気:電場と磁場の相互作用を理解する
電磁気は、力学と同程度、もしくはそれ以上に大学入試での出題率が高い分野です。この分野では、他の分野以上に「公式の根本的な理解」を深める必要があります。公式の丸暗記だけで、問題文で与えられた数字を適当に代入していく解き方では限度があります。逆に言えば、公式を深く理解して使えるようになれば、どの公式を使うかで迷うこともなくなりますし、力の向きだけ間違えてしまった、などのミスもなくすことができるので、電磁気を苦手に感じている人ほど、公式の理解を最優先で取り組んでほしい単元です。
原子:ミクロの世界の構造を探求する
原子分野の学習は、多くの学校や予備校では秋以降に扱うことが多いため、力学などと比べると演習量が不足しがちな単元です。出題頻度が特段高いわけではありませんが、だからこそきちんと学習しておけば、出題された際にライバルと差をつけるチャンスになります。また、内容の中にはこれまで学習してきた力学・電磁気・波の知識が応用されている部分も多いため、実際には新しく覚えることはそれほど多くありません。
■物理の誤った勉強法とは?
公式や定理を丸暗記するだけ
物理の学習で最も避けたいのは、公式を理解せずにただ覚えて問題演習に進んでしまうことです。基本的な問題なら解けるかもしれませんが、形式が少し変わっただけで対応できなくなってしまいます。もちろん、定義されている公式そのものは覚える必要がありますが、それ以上に大切なのは「なぜ、その公式になるのか」を原理・原則から理解しておくことです。そのうえで問題演習に取り組むことで、応用問題にも対応できる力が身につきます。
計算プロセスを飛ばしすぎる
問題演習や模試の見直しで、計算ミスが原因で間違えた問題をどう復習していますか?また、演習のときに「立式さえ合っていればいいや」と思って計算を省略していませんか?このような学習を続けていると、本番で計算ミスをしてしまい、式の変形ができずに解けなくなる危険があります。そうならないためにも、普段からしっかりと手を動かして計算プロセスを大切にすることが重要です。
演習量が不足し、応用力が身につかない
公式や原理を理解したあとは、必ず問題演習に取り組みましょう。演習を通じて初めて知識が定着し、忘れにくくなります。演習量が不足していると、当然ながら問題を解けるようにはなりません。難易度の目安としては、まず学校で配布されている問題集の基本レベルを自力で解けるようにすることがおすすめです。その段階をクリアできれば、応用問題や発展問題にも少しずつ対応できる力がついてきます。基礎を固めたうえで応用問題に挑戦する、という流れで学習を進めていきましょう。
■段階的に取り組む学習ステップ:基礎・解法・実力養成
第一段階:基礎知識を網羅する
まずは教科書レベルの内容を一通り押さえ、基本的な用語や公式を理解することが大切です。ここで意識してほしいのは、「基礎=簡単」ではないということです。基礎知識をあいまいなままにして先に進んでしまうと、必ず後でつまずいてしまいます。焦らず丁寧に基礎を固めましょう。具体的な参考書としては「漆原晃の物理が面白いほどわかる(KADOKAWA)」シリーズや「物理のエッセンス(河合出版)」などが定番でおすすめです。
第二段階:解法パターンと定石を身につける
基礎を理解したら、典型的な問題を通して「この問題ではこの考え方を使う」という解法パターンを学びます。パターンを身につけることで、初見の問題にも対応できる力が養われます。ただし注意してほしいのは、「公式を当てはめるだけの解き方」に陥らないことです。どの公式を使うのかを判断するだけでなく、「なぜ、その公式を使うのか」まで考えられるようになると、応用力がぐっと伸びていきます。演習の教材としては、学校で配布されることが多い「リードα(数研出版)」や「SENSOR(新興出版社啓林館)」といった問題集を活用すると効果的です。
第三段階:問題演習で実践力を磨く
解法パターンを身につけたら、次は応用問題や入試形式の問題に挑戦していきましょう。ここでは、ただ解けるかどうかだけでなく「制限時間内に正確に解く」ことも意識することが大切です。時間を計って解く練習をすると、本番での感覚も養われます。使用する教材としては、「良問の風(河合出版)」や「重要問題集(数研出版)」といった定番問題集が力試しにおすすめです。また、時期に応じて過去問に取り組むのも効果的です。演習を重ねる中で、自分の苦手分野や計算ミスの傾向を把握し、重点的に克服していきましょう。
復習サイクルを確立して定着度を高める
問題演習は解いて終わりではなく、復習を効果的に行うことで初めて知識が定着します。特に、間違えた問題は「なぜ解けなかったのか」「どの段階でつまずいたのか」を分析することが重要です。その場では理解したつもりでも、時間が経つと忘れてしまうことはよくあります。そこで、短いスパンで繰り返し解き直すことを習慣にしましょう。例えば、その日のうちに一度、数日後にもう一度、さらに一週間後にもう一度取り組むと、知識が長期記憶として定着しやすくなります。自分に合った復習サイクルを確立し、学習の効率を最大化していきましょう。
■定期テスト・共通テスト・大学受験対策
頻出分野を把握し、定期テストで点を取るコツ
定期テストは、学校で扱った範囲から出題されるため、授業内容や教科書の例題をしっかり復習することが一番の対策になります。特に、先生が授業中に強調していた内容や課題に出された問題は要チェックです。また、解法の流れを理解したうえで答えを導けるようにすると、記述問題にも対応しやすくなります。まずは「授業の理解をそのまま点数につなげる」ことを意識しましょう。
共通テストの出題傾向と対策法
実は共通テストの物理は、計算量そのものはそれほど多くありません。では、なぜ難しく感じるのかというと、センター試験や二次試験と比べて文章量が多く、読解力や状況を整理する判断力が強く求められるからです。逆に言えば、共通テスト特有の会話文形式や誘導の流れに慣れてしまえば、物理の基礎が理解できている人にとっては解ける問題がほとんどです。そのため、過去問や予想問題集を活用し、実際の形式に繰り返し触れて慣れていくことが対策のカギとなります。
二次試験・大学別の攻略ポイント
国公立の二次試験や私立大学の試験では、大学ごとに問題の出題形式が大きく異なります。すべて記述式で解法の過程までしっかり書かなければならない大学もあれば、逆にすべて選択・穴埋め形式で、部分点がほとんど期待できない大学もあります。まず志望校の過去問を3〜5年分ほど解いてみて、自分で出題傾向を分析しましょう。頻出分野や解答形式を把握したうえで、重点的に対策を進めることが合格への近道となります。
■難関大学合格を目指す物理の学習法
難関大物理の特徴と求められる力
難関大学の物理では、典型問題を超えた応用力や論理的な記述力が試されます。単に「公式を覚えて当てはめる」だけでは通用せず、物理現象を自分の言葉で説明したり、複数の分野をまたいで考えたりする力が求められます。また、計算も複雑になるため、途中式を丁寧に書き、論理の流れを明確にすることが重要です。
論述問題で差をつける答案作成のコツ
記述問題では「結論だけ」ではなく、「どのように考えてその結論に至ったか」を筋道立てて説明できるかどうかが評価されます。答案作成の練習として、過去問を解く際には「模範解答と自分の解答の流れを比較する」ことを徹底しましょう。書き方に慣れるために、答案を書いたあとに必ず声に出して読み直すのも効果的です。
高得点を狙うための長期的な勉強計画
まずは「基礎→標準→応用」という段階をしっかり踏むことが前提です。そのうえで、難関大を目指す人には次のような参考書・問題集をおすすめします。
・基礎固め:『物理のエッセンス』(河合出版)
・標準演習:『良問の風』(河合出版)
・応用演習:『名門の森』(河合出版)
また、夏以降は過去問演習に重点を移し、最低でも10年分は解いて「解法パターン」と「答案作成の型」を自分のものにすることを目指しましょう。さらに、自分の志望する大学の過去問を解き終えた場合は、レベル帯が同じような別の大学の過去問を用いて演習を行うことも有効です。
■まとめ・総括:自分に合った物理の勉強法を確立しよう
物理は「公式暗記科目」ではなく、「現象を理解して自分の頭で考える科目」です。基礎知識を丁寧に固め、解法パターンを学び、演習を通して実践力を高め、復習サイクルで定着させる――この流れを守れば、確実に力はついていきます。また、共通テストや二次試験といった試験ごとの特徴を理解し、志望校の出題傾向に合わせた対策をとることも大切です。物理の学習は一見ハードルが高いように思えますが、正しい方法で積み重ねていけば必ず結果が出ます。自分に合った勉強法を確立し、合格に向けて一歩ずつ着実に進んでいきましょう。
<文/開成教育グループ 大学受験専門館 草津教室 宮原将大>
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