2024/10/21

【大学受験】大学受験における英検の役割と活用法

 みなさん、「英検」について知っていますか?初耳の方もいれば、「そういえば高校受験の時にとったかも」という方も多いでしょう。聞いたことはあるけどあまり何に使うかわからない「英検」、しかしそれがあなたの受験の大きな救世主になるかもしれません。特に「高校英語マジ無理!でもどの受験にも必要!どうしよう!」と英語に苦しめられている方、この記事を読み終わるころには財布片手に英検対策本をダッシュで買いに行くこと間違いなし。今回はそんな「英検」の有用性、ならびにその取得のプロセスまでレクチャーさせていただきます。

 

英検とは何か?基礎知識とその重要性

 英検とは日本英語検定協会が主催する検定試験であり、平たく言えば本人の英語力を単語・イディオム・長文・リスニングの面から計量するものです。具体的なレベルとしては、一般に大学受験で用いられる英検2級が「高校卒業レベルの学力」、大学次第で100点もの保証を受けられる準1級で「大学中級レベル」とされており、それぞれで異なった難易度の試験問題が出題されます。試験自体は大学入試と独立した形をとっていますが、そこで得た資格や得点については記述の通り入試の「みなし得点」として反映される場合が多いです。特に私立大学については、早慶上智等最高峰のレベルまで幅広くその適用が認められていますし、国公立大学においても特に「学校推薦型・総合型」選抜の際に反映が認められているケースが多々あります。

 そして「みなし得点」についても、後述する通り「英語で点数をリードする」ことができるほどの高得点を得られる場合がほとんどです。高校レベルの難解な英語に躓き、「英語が苦手だから志望校のレベルを下げよう」と考えている高校生の方もきっと多いことでしょう。そのような場合は、一度取得を検討されてみるべきです。あきらめかけていたその志望校、もしかしたら「英検」で楽々受かっちゃうかもしれませんよ?

 

英検の合格が大学受験に与えるメリット

 「いくら楽になるってったって、大したことないんでしょ?」そうお思いの方もいらっしゃるでしょう。では今度は、実際の受験でどのように「英検」が用いられているかを見てみましょう。

 例えば、特に関西圏の公募受験校として挙げられる「近畿大学」について見てみましょう。近畿大学は一般受験(文芸学部・国際学部のみ)・公募受験(医学部を除く)において英検の「みなし得点」を認めています。配点としては以下の通りです。

CSEスコア:2300(英検準1級以上受験時) →みなし得点100
CSEスコア:21502299(英検2~準1級以上受験時) →みなし得点85
CSEスコア:19802149(英検2~準1級以上受験時) →みなし得点70
※各100点満点
CSEスコア:英検受験時の点数

 いかがでしょうか。「え?これだけ点数もらえるなら受かるのでは?」そう思われる方も多いでしょう。近畿大学を受験される場合は、英検ってとってもおトクなんです!(もちろん他にも英検結果をみなし得点として使える大学が存在します)大学受験と違い何度でも受けられる試験で、一度受かりさえすれば大学受験が一気にラクになる。とても魅力的な制度だと思いませんか?

 では次に、私立大学最高峰の一角「早稲田大学」について見てみましょう。早稲田大学は一般受験において英検の利用を許可、もしくは要求される場合があります。具体的には「国際教養学部」において、英検1~2級の保持により100点満点中7~20点の「みなし得点」が英語の点数に加算されます。国際教養学部は授業のほとんどを英語で進める学部であるが故、受験時に求められる英語技能のレベルも他学部に比べ高い傾向にあります。そんな早稲田の中でもハイレベルな試験で、最大20点も加算されるというのはかなり大きいアドバンテージではないでしょうか。一方で、文化構想学部・文学部についてはCSEスコアで一定以上の点数を取ることが受験条件となっています。最低2200点以上、かつ各技能でボーダーが設けられているなど難易度は相当高いですが、英語が得意な生徒や何としても早稲田に行きたい生徒にとっては受験機会を増やす良いチャンスになり得ます。英検はその「みなし得点」以外に、「受験のチャンスを増やす」面でも大きなメリットがあるということが、早稲田大学の入試方式からわかりましたね。

 このように、「英検」は幅広いレベル帯の大学で用いることができ、かつその恩恵もあらゆる面で大きいものだとわかります。特に上記二つのような、私立・国公立受験生ともに需要の高い大学では、英検の有無が合格を左右する...ということもあるかもしれません。

 

英検対策の勉強法とおすすめ教材

 ここまで「英検」の魅力を紹介してまいりましたが、となると「じゃあどうしたら受かることができるの?」というのが気になるところかと思います。先述の通り、英検を取得するには日本英語検定協会主催の検定試験を受験する必要があります。通常6~7月、10-11月、2-3月の年3度にわたり実施されており、各回で難易度に差はありません。試験内容は「Reading」「Listening」「Writing」「Speaking(以下それぞれR/L/W/Sと呼称)の4技能を問う問題で構成されており、3級以上では第一次試験でR/L/Wの技能を、第二次試験でSの技能を図るものとなっております。

 難易度について、R/Lについては英検2級の問題のレベルが大学入試共通テストリーディングと同程度と考えていただけるとよいかと思います。2級では求められる単語力・読解力がともに高校卒業レベルとなっているため、一般に用いられている「システム英単語」などの単語・熟語帳をマスターし、過去問音声のディクテーションなどで共通テストレベルの英語が聞き取れるようにすれば、2級の問題程度であれば安定して得点することが可能です。同様にW範囲の英作文についても、「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」などの一般的な大学受験向け参考書で対策可能です。ですがやはり、短期間で確実に合格するとなると、「全問題集」をはじめとする英検対策向け参考書を用いて、傾向やテーマ別の解答パターンを学習するのが一番でしょう。R/L/Wについては上記のように大学受験対策の延長と捉えられますが、一方でSについては完全に英検独自の試験内容となりますので、「二次試験・面接完全予想問題などの面接向け教本を購入して、学校や塾の先生の指導を仰ぎつつ学習するのが一番でしょう。Sを除けば、普段の学習の延長線上として試験対策ができる点も、英検がコスパ良く志望校合格につなげられる所以でもあります。

 合格に要する時間や勉強量は人それぞれですが、スコア上の最低点数は各級通じて7075%となっております。2級については、共通テストで7~8割を安定して取れる単語・読解力と面接対策さえあれば、合格はかなり現実的であるといえます。そのため高校2年生の方などは、一度共通テストリーディングの過去問を解いてみてその点数に応じた勉強法をあらかじめ決めておくと、早い時期での英検取得を可能にして受験を一歩リードできるかもしれません。

 

大学受験と英検取得の重要性の総括

 本記事では、大学受験における「英検」の有用性、並びにその取得までの簡単なルート説明を行いました。英検に限らず、「TOEIC」や「TOEFL iBT」など種々の英語検定が大学入試では利用できますので、「早いうちから受験で差をつけたい」や「長文が苦手だから単語力で差をつけたい」とお思いの方は、是非一度志望校の制度を調べてみて英検の受験を考えてみてはいかがでしょうか。英語が苦手な方は、むしろ英語を得点源に。英語が得意な方は、「みなし得点」で安定した点数を取るために。夢見る志望校に向けて、英検で受験を確実に乗り切りましょう!

 

〈文/開成教育グループ 大学受験専門館 石橋教室 小島神威〉