2025/06/09

【大学受験】英検®の大学受験における活用方法とポイント

 受験生の皆さん、日々の勉強お疲れ様です!今回の記事は大学受験における英検®の活用についてです。英語は苦手だから自分には関係ないかもと思っているそこのあなた。英検®は英語が得意な人のためだけにあるわけではありません。ぜひこの記事を読んで、うまく英検®を利用して大学受験に役立ててください。

■大学受験で英検®を利用するメリット

 まず大学受験において英検®を取得しているとどのようなメリットがあるのかについて説明します。私立大学の入試では、英検®利用でしか受験できない出願形式が存在します。そのため、英検®を利用することで受験回数を増やすことができます。受験生の皆さんは、「受験回数は多く確保した方がいい」という話を耳にしたことがある方も多いと思います。実際に受験回数が多い方が合格する可能性も上がります。何より受験回数が多いことにより安心感を覚える人も多いのではないでしょうか。

 また、英検®利用の入試では所持する階級に合わせて英語の点数に加点されるパターンと英語の得点に換算されるパターンがあります。大学入試の得点にプラスで点数が入ることは、他の受験生に対してかなり有利になります。英検®が英語の得点に換算されると、たとえ入試当日の結果が良くなくても、英語の点数が確約されることになります。どちらかよい点数を採用するという大学が多いため、英検®を持っておくと安心です。さらに、英検®によって英語の入試科目が免除される場合もあります。受験する必要さえなくなります。

 大学受験のために英語を勉強することも素晴らしいことですが、英検®の勉強は受験のみに役立つのではありません。大学入学後も英語の勉強は必要です。グローバル化が進む世の中、受験とはいえ英語を勉強したという経験は今後の人生に役立つものになります。

■英検®の級別難易度と大学受験への影響

 次に、英検®の級別の難易度と試験内容について説明します。以下は公益財団法人日本英語検定協会からの引用です。

 準2級は高校中級程度とされ、日常的な話題について、概要を捉えたり、情報や自身の考えを基本的な語句を用いながら伝えたりできることが合格の目安です。2級は高校卒業程度とされ、社会的な話題について、文章や話の展開を把握しながら概要や要点、詳細を理解し、情報や自身の考えを展開し考えながら詳細に伝えることができることが合格の目安です。英検準1級は大学中級程度とされ、社会的な話題について、複雑な文章や話の展開および概要や要点、詳細を理解し、情報や自身の考えを展開や主張と根拠を明確にしながら詳細に伝えることができることが合格の目安です。試験内容は準2級、2級、準1級のどれもが、筆記、リスニング、面接です。英検®の成績表では、5級~1級のすべての級で、合否に加えて、英検®CSEスコアが表示されます。各級で技能別に英検®CSEスコアの満点を設定しています。リーディング、リスニングとスピーキングテスト、ライティングも含めた全4技能のスコアとトータルスコアが表示されます。大学受験ではCEFRの基準をもとに受験資格や換算得点が定められているため大学、受験方式毎に確認することが必要です。

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※公益財団法人 日本英語検定協会HPより抜粋

■大学受験での英検®利用の具体的な方式

 ここでは先ほども説明した、英検®利用の具体例についてみていきましょう。大学受験において英検®の利用方法は、出願資格として必要な場合、入試の得点として換算される場合、加点される場合、試験が免除される場合、優遇制度といった様々なパターンがあります。いくつかの大学をあげて具体例を紹介します。

 関東にある明治大学の方式を確認しましょう。明治大学で英検®が関係する入試方式は数多くあります。商学部の一般選抜入試英語4技能試験利用方式では出願資格として英検®2級以上が必要です。経営学部の一般選抜入試英語4技能試験活用方式では出願資格として必要な方式と英検®があると加点される方式があります。出願資格として必要な場合はCSEスコアが2200以上です。加点の場合には2つのパターンがあります。CSEスコアが2630以上で「国語」「地歴、公民、数学」の2科目の合計得点に30点加算され、CSEスコアが2467以上で「国語」「地歴、公民、数学」の2科目の合計得点に20点加算されます。国際日本学部の一般選抜入試英語4技能試験活用方式では準1級が出願資格として必要です。農学部の全学部統一入試英語4技能3科目方式ではみなし点、つまり英検®が英語試験の得点に換算されます。準1級で全学部統一英語の試験を100満点、2級のCSEスコアが2088以上で90点満点、2級のCSEスコアが1980以上で80点満点に換算されます。経営学部の全学部統一入試英語4技能3科目方式では、準1級で全学部統一英語の試験を150点満点、2級のCSEスコアが2088以上で135点満点、2級のCSEスコアが1980以上で120点満点に換算されます。国際日本学部の全学部統一入試英語4技能3科目方式では、準1級で全学部統一英語の試験を200点満点、2級のCSEスコアが2088以上で180点満点、2級のCSEスコアが1980以上で160点満点に換算されます。総合数理学部の全学部統一入試英語4技能3科目方式では、準1級で全学部統一英語の試験を50点満点、2級のCSEスコアが2088以上で45点満点、2級のCSEスコアが1980以上で40点満点に換算されます。そのほか、政治経済学部のグローバル型特別入試試験では国際日本学部の総合型選抜入試では出願資格として英検®の準1級が必要です。

(下記の表を参照ください。実際に受験を検討する場合は入試ガイド、募集要項を必ずご確認ください)

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 次に同志社大学の例を見てみましょう。文学部美学芸術学科の推薦選抜入学試験では英検®2級が出願資格として必要です。法学部法律学科・政治学科の自己推薦入学試験では準1級が出願資格のうちの1つとされています。心理学部心理学科の自己推薦入学試験では準2級が出願資格として必要とされています。グローバル・コミュニケーション学部グローバル・コミュニケーション学科英語コースの自己推薦入学試験では準1級が出願資格として必要です。グローバル・コミュニケーション学部グローバル・コミュニケーション学科中国語コースの自己推薦入学試験では2級が出願資格のうちの1つとされています。グローバル地域文化学部グローバル地域文化学科ヨーロッパコース、アジア・太平洋コース、アメリカコースの推薦選抜入学試験では2級が出願資格のうちの1つとされています。

(下記の表を参照ください。実際に受験を検討する場合は入試ガイド、募集要項を必ずご確認ください)3_アートボード 1.jpg

 最後に近畿大学の例を見てみましょう。情報学部、法学部、経済学部、経営学部、理工学部、建築学部、薬学部(医療薬学科を除く)、文芸学部(文学科日本文学専攻を除く)、総合社会学部、国際学部、農学部、生物理工学部、工学部、産業理工学部の一般公募でスタンダード方式。高得点科目重視方式・理科重視方式では準1級のCSEスコアが2300以上で個別試験の英語の得点が100点満点、2級のCSEスコアが2150以上で85点満点、2級のCSEスコアが1980以上で70点満点に換算されます。一般入試前期のA日程スタンダード方式・高得点科目重視方式・国際学部独自方式・文系学部多額併願方式、B日程スタンダード方式・高得点科目重視方式、一般入試後期の高得点判定方式・文系学部他学部併願方式も同様です。経済学部の総合型選抜入試では2級が出願資格のうちの1つとされます。国際学部の総合型選抜入試では2級が出願資格のうちの1つとされます。

(下記の表を参照ください。実際に受験を検討する場合は入試ガイド、募集要項を必ずご確認ください)

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英検®取得に向けた効果的な勉強方法と準備

 これまで説明した通り、英検®を取ることにより受験を有利に進めることができます。そこで、この章では英検®取得のために効果的な勉強方法についてお話します。

 まず、英検®の勉強はいつから始めるべきなのでしょうか。受験生になってからでも間に合うかと思っている人はいませんか?それでは間に合いません!多くの人は英検®利用だけで受験するわけではありません。実際に大学の英語の入試は受験する必要があるパターンばかりです。そのため、受験生の時期には受験勉強に力を入れる必要があります。そこで、この記事を読んだあなたは今日から英検®対策を始めましょう。早ければ早いほど、受験勉強に回すことができる時間が増えます。

 では、英検®対策とは何をすればいいのでしょうか。公益財団法人日本英語検定協会のホームページに過去1年分の問題が掲載されています。これらは全て無料でダウンロードすることができるため、実際の問題がどのようなものなのか確認したい方は、こちらをチェックしてください。直前に力試しとして一度解くことをおすすめします。また、リスニングおよびスピーキングの対策についてシャドーイングをご存じでしょうか。シャドーイングとは英語音声をマネしながら読み上げる訓練方法です。英語の音声を流し、聞こえてきた英語をマネしながら、後からついていくように読み上げます。シャドーイングでは英文を見ず聞こえてきた英文を聞き取り読み上げるため、リスニング力が鍛えられます。また、お手本の英語を聞きながら読むため、スピーキングの力も鍛えられます。この時になんとなくマネして読むのではなく、見本の英文の発音やアクセントを意識し、英語の意味を理解しながら読み上げるようにして下さい。

 続いて、英検®での二次試験・面接の対策についてです。英検®の面接は全て英語で行われます。筆記試験でいい点数が取れたからといって、それで英検®に合格したわけではありません。面接の出来があまりに悪いと資格を得ることができないです。面接の対策については、先ほどのシャドーイングはもちろんですが、とにかく数多く英語を話すことです。市販でも面接対策用の問題集が販売されています。オンラインでの英会話や家庭教師を利用することも可能です。まずは英語を話すことに慣れるようにしてください。

■大学受験での英検活用における注意点

 非常に便利な英検®利用での受験ですが、いくつか注意点があります。まず、有効期限です。先ほど紹介した近畿大学の一般入試でも期限が定められています。そのため、小学生のころなど昔に取得した英検®は利用できない可能性があります。必ず確認してから出願するようにしましょう。次に気をつけてほしい点は志望校ごとの出願条件です。具体例で見た通り、各大学によって必要な級が異なります。同じ大学でも学部によっては英検®利用での受験ができない場合や、みなし点が異なる場合があります。必ず自分が出願したい大学・学部・学科の出願要件を確認するようにしてください。また、英検®を受験する時期にも気をつけるようにしてください。当然のことではありますが、出願までに英検®を取得できていないと利用することはできません。通常の受験勉強も必要となるため、英検®利用を考えている方は早いうちに対策を始め、受験するようにしましょう。もしも英検®利用の出願に英検®が間に合わない場合は、すぐに通常の受験勉強に切り替えるようにしてください。英検®を受験するには費用が掛かります。受験料を含め参考書の費用など様々な費用が必要です。またお金以外においても、英検®対策として時間が必要になります。英検®を勉強する分、他の科目の勉強時間が削られてしまうことを忘れないようにしてください。

■英語外部検定試験と大学受験の展望

 英検®以外にも受験に利用可能な英語外部検定があります。TEAPGTECIELTSです。各大学の入試要項を確認すると、その大学で利用可能な英語外部検定を知ることができます。ぜひチェックしてみてください。様々な英語外部検定がある中、CEFR(セファール)レベルでそれぞれの階級のレベルを知ることができます。CEFRとはCommon European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessmentの略です。これによって数多く存在する英語の試験をグローバルで誰もが理解できるわかりやすい基準ではかることができます。自分の英語力をはかる際の参考にしてみてください

■終わりに

 ここまで述べたように、英検®利用での大学受験は英語が得意である人のためにあるわけではありません。むしろ英語が苦手な人は英検®を所持することができれば、当日の点数が確約されることもあるため、うまく英検®を利用してほしいです。今はすべての大学で英検®利用の受験ができるわけではありませんが、今後ますます英検®利用入試は広がると考えられます。高校生の皆さんはぜひ英検®の受験を検討してください。

※「英検®」は公益財団法人日本英語検定協会の登録商標です

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