2025/09/22
【大学受験】歴史科目勉強法~共通テスト対策から難関大攻略まで~
受験生の皆さん、いかがお過ごしでしょうか?大学受験まで残り数か月となり、歴史科目の勉強をどのように進めるべきか悩んでいる受験生も多いのではないでしょうか。本記事では、日本史・世界史の選択方法から共通テスト対策、さらには難関大の論述攻略まで、歴史で得点力を高める勉強法を具体的に解説しています。ぜひ最後まで読んでみてください!
INDEX ■大学受験における歴史科目の重要性 |
■大学受験における歴史科目の重要性
大学受験において、歴史科目は文系受験生にとって避けて通れない中心科目です。国公立大学の二次試験や、私立大学の文系学部では、日本史・世界史のいずれか、もしくは両方が必須となるケースが多く見られます。したがって、歴史科目の出来が合否を大きく左右することは間違いありません。また、共通テストにおける歴史科目は、比較的「努力が点数に直結しやすい科目」とされています。数学や国語に比べると、時間をかけて知識を積み重ねれば安定して高得点が狙えるため、受験戦略上も重要な役割を担います。
■新課程「歴史総合・日本史探求・世界史探求」とは
2022年度からの新課程では、従来の「日本史A・B」「世界史A・B」が廃止され、必修科目として『歴史総合』が導入されました。さらに選択科目として『日本史探求』『世界史探求』が設けられ、探究的な学びや思考力が重視されるようになっています。
新課程で求められる思考力・判断力
単なる用語暗記ではなく、「なぜその出来事が起きたのか」「歴史上の因果関係は何か」を問う出題が増えます。資料読解・グラフや地図の分析・複数の史料を比較して結論を導く力が必要です。
「歴史総合」の概要と学習のポイント
「歴史総合」は新課程における必修科目です。従来の「日本史A・世界史A」に代わって導入され、すべての高校生が履修することになりました。従来の歴史教育が「日本史」「世界史」と分かれていたのに対し、「歴史総合」では日本史と世界史を総合的に学ぶことが大きな特徴です。近現代史を中心に日本史と世界史を関連付けて理解し、資料問題や因果関係の把握を意識してアウトプットを重ねていきましょう。
日本史探求・世界史探求の位置づけ
「日本史探求」と「世界史探求」は、歴史総合を基礎としてさらに深く学ぶ選択科目です。どちらの探求科目も、入試に直結する「論述力や資料読解力を鍛えること」が目的であり、歴史総合で学んだ基礎知識を応用して考察力を深めることが求められます。
■日本史と世界史、どちらを選択すべきか?選択科目の決め方
選択の基準は、「①志望校の受験科目要件 ②自分の得意・不得意」 の2つです。
自分の志望校・学部に合った選択とは?
歴史科目を選ぶ際には、まず「志望校や学部の受験科目要件を確認すること」が最も重要です。国公立大学では、日本史または世界史のどちらか、あるいは両方が指定される場合があります。さらに、学部の専門分野によっては歴史科目の知識が有利に働く場合があり、例えば国際関係学部や法学部では世界史の理解が役立つことが多く、文学部や教育学部では日本史の知識が有用です。そのため、志望校・学部の出題傾向や科目指定に沿った選択をすることで、効率的に得点を伸ばせる科目を選ぶことができます。
好き・得意を基準に選ぶときのメリット・デメリット
好き・得意を基準に歴史科目を選ぶと学習意欲や理解が深まるメリットがある一方、志望校の科目要件や範囲の広さによっては効率的に得点しにくいデメリットもあります。そのバランスを見極めて戦略的な選択をすることが必要です。
■大学受験の日本史・世界史 共通する勉強の基本ステップ
日本史・世界史いずれの科目でも、効率的に得点力を伸ばすためには「インプット→理解 →アウトプット」のサイクルを意識することが重要です。
歴史の流れと時代区分を把握する
歴史科目の学習で最初に意識すべきは、時代ごとの流れや区分を理解することです。単なる暗記よりも、時代背景や因果関係を整理することで、出来事の意味やつながりが理解しやすくなります。
人物・用語・年号と出来事をセットで覚える
歴史の知識を効率的に定着させるためには、人物・用語・年号と出来事を関連付けて覚えることが重要です。単独で覚えるよりも、背景やつながりを理解することで論述問題や資料問題にも対応しやすくなります。
文化史・思想史への理解を深める
歴史科目で高得点を狙うには、政治・戦争の出来事だけでなく、文化史や思想史の理解を深めることも重要です。文化や思想は、政治や経済と無関係ではありません。文化・思想の背景を押さえることで人物や事件の意義がより鮮明になり、論述問題でも説得力のある解答をつくることができます。
過去問・予想問題でアウトプットを徹底
歴史の学習では、知識のインプットだけでなく、アウトプットの訓練を繰り返すことが得点力向上の鍵です。過去問や予想問題を活用することで、知識を実際の試験形式で使える形に整理できます。
■日本史の得点力UP勉強法
日本史は、流れを理解しつつ細部を固めることが重要です。
通読・ノート作成・一問一答の使い分け
①通読で全体像をつかむ
教科書や参考書を通して読むことで、歴史の流れや時代背景を把握します。最初の段階では詳細にこだわらず、全体のつながりを理解することが重要です。
②ノート作成で理解を整理する
重要な出来事・人物・用語・年号・背景などをノートにまとめることで、理解の定着と後の復習が容易になります。図や年表を用いるとさらに効果的です。
③一問一答で知識を確認する
通読やノートで得た知識を定着させるために、一問一答形式でアウトプット練習を行います。間違えた部分は再度ノートや参考書で確認し、知識を補強します。
論述対策:自分で歴史を語れるようになるコツ
日本史の論述問題では、単なる暗記ではなく、自分の言葉で歴史の流れや因果関係を説明できる力が求められます。「背景→出来事→結果→評価」という形で論述の型を決めると、文章構成が安定します。実際の入試問題を用いて、制限時間内にまとめる練習を繰り返してみてください。書いた後は、自己添削や先生の添削で改善点を確認しましょう。
入試パターン別対策:語句整序・正誤判定・資料読解
日本史の入試問題には、語句整序・正誤判定・資料読解など様々な形式があります。それぞれに対応した学習法を身につけることが、得点力向上の鍵です。
①語句整序問題
年表等を使い、時代ごとの出来事をつなげて理解することで正答率が上がります。
②正誤判定問題
似た用語や人物、出来事の特徴を比較し、微妙な違いを意識して暗記することが重要です。
③資料読解問題
資料の種類と背景知識を結び付けて正確に読み取り、問いに沿った答えを導く練習を繰り返すことで得点力を高められます。
■世界史の得点力UP勉強法
世界史は範囲が広いため、地域別・時代別の整理が重要になります。
地域別・時代別の繋がりを理解する
世界史の得点力を高めるためには、単なる地域ごとの暗記ではなく、地域間の関係性や時代ごとの流れを理解することが重要です。縦の歴史として各地域の時代ごとの政治・経済・文化の流れを理解し、横の歴史として同時代の他地域との交流や影響を関連付けることで、知識の定着と論述・資料問題への応用力を高めることが出来ます。
図版・史料集を駆使したインプット
世界史の学習では、教科書だけでなく、図版・地図・史料集を活用した学習が得点力向上に直結します。視覚情報や一次史料を通じて理解を深めることで、暗記だけでは身につかない地理的・文化的・社会的な関係性を把握することができます。
世界史特有の論述問題・地図問題への対応
世界史の論述問題は、日本史と比べて扱う地域が広範で、複数地域の政治・経済・文化の相互作用や国際的背景を踏まえた説明が求められる点が特有です。そのため、まずは各地域の主要出来事や時代の流れを整理し、因果関係や地域間の影響を明確にしたフレームワークで文章化する練習が有効です。また、地図問題では国や地域の位置、貿易ルート、戦争の範囲、領土変化などを正確に把握し、史料や図版と照らし合わせることで、時代や地域間の関係を読み取り正答につなげることができます。
■共通テスト対策:歴史で8割・9割を取るための攻略法
共通テストでは、思考力を問う問題が増加しています。正確な知識に加え、スピードと分析力が必要になりますが、しっかりと対策を行えば8割・9割を取ることは可能な科目です。以下でポイントをいくつかお伝えするので、参考にしてみてください。
センター試験過去問の活用と新傾向への対応
共通テストの歴史対策では、まずセンター試験の過去問を活用して基礎的な知識確認や時間配分の感覚を養い、そのうえで資料読解・複数史料の比較・思考力を問う新傾向問題に対応できるよう、予想問題集や共通テスト用問題集を並行して演習することが重要です。センターの問題で「知識の正確さとスピード」を鍛え、新傾向問題で「思考力と応用力」を補強することで、安定して高得点を狙える実戦力を身につけることができます。
一問一答と資料読み取り問題のバランス学習
歴史の得点力を伸ばすには、一問一答形式で用語や年号を正確に暗記するインプット学習と、史料や図表をもとに背景や因果関係を考えさせる資料読み取り問題のアウトプット学習をバランスよく行うことが不可欠です。一問一答で知識の抜けをなくしつつ、資料問題で「知識を使う力」を鍛えることで、共通テストの思考力問題から難関大の記述・論述まで対応できる応用力が身につきます。
ライバルと差がつく模試・過去問の復習の仕方
模試や過去問の復習では、ただ解答や正解を確認するだけでなく、「なぜ間違えたのか」「どの知識が不足していたのか」等を徹底的に分析することが重要です。間違えた問題は参考書や教科書に立ち返って関連事項まで調べ直し、ノートにまとめて知識を体系化してみてください。また、正解できた問題でも根拠を説明できるかを確認し、偶然の正解を排除して理解を定着させることが、ライバルとの差を広げる最大のポイントです。
■おすすめの参考書・問題集の選び方
大学受験の歴史科目では、入門から難関大レベルまで学習段階に応じた参考書・問題集を組み合わせて使うことが重要です。
入門~標準レベル向け:流れをつかむ参考書
歴史を勉強するにあたっては、まず大まかな流れをつかみ、時代区分や出来事のつながりを理解することが重要です。そのためには、以下のような参考書が役立ちます。
・『詳説日本史B』『詳説世界史B』(山川出版社)
・『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』(東進ブックス)
・『佐藤の世界史「時代と流れ」がわかる本』(東進ブックス)
・『ナビゲーター世界史B』(山川出版社)
難関大向け:論述強化・資料読解力を鍛える問題集
難関大学では、日本史・世界史ともに論述問題や資料読解問題が頻出します。基礎を固めたうえで、以下のような問題集を活用し、知識を答案に表現する力を磨きましょう。
・『考える日本史論述―改訂版―』(河合書店)
・『大学入試 全レベル問題集 日本史(日本史探求)5』(旺文社)
・『日本史 標準問題精講 五訂版』(旺文社)
・『段階式 世界史論述のトレーニング』(Z会)
・『判る!解ける!書ける!世界史論述 改訂版』(河合塾)
■まとめ・総括
歴史は覚えるだけでなく、「なぜそうなったのか」「どうつながっているのか」を考えることが面白さと得点力につながります。コツコツとした積み重ねが確実に成果に結びつきますので、自分のペースで焦らず取り組んでください。努力は必ず結果として返ってきます。自信を持って、最後まで全力で挑んでください!
<文/開成教育グループ 大学受験専門館 枚方教室 山口野々花>