2025/06/09

【大学受験】化学の総合的な勉強法:基礎から大学受験・定期テスト対策まで

INDEX

■化学学習の全体像を把握する意義
■化学勉強の基本ステップ
■分野別・化学の効果的な学習法
■苦手克服のためのアプローチ
■共通テスト・大学受験における化学の対策
■高校1・2年生からの学習計画と勉強習慣
■大学受験化学のレベル別対策
■定期テスト対策のポイント
■おすすめの問題集・参考書
■化学を学ぶ姿勢と将来への活かし方
■まとめ・総括

 

■化学学習の全体像を把握する意義

化学基礎と化学はどこが違うのか

 化学基礎と化学の大きな違い、それは扱う範囲の広さです!化学基礎では理論化学の基本だけを扱いますが、化学ではそれに加えて無機化学や有機化学も学びます。そのぶん内容が専門的になり、覚えることも増えるので、理解力や暗記力がさらに求められます。

理科科目選択で押さえるポイント

 理科の科目選択は、得意・不得意だけではなく、将来学びたい分野と受験で必要な科目の両方を考えて決めましょう。大学・学部によっては科目が指定されていることもあるので、志望校の入試要項をよく確認するのが重要です。単に得意だから選ぶのではなく、「自分の志望校がどの科目で受験できるのか」を把握したうえで科目選択をしましょう。

高校化学の3分野(理論・無機・有機)と特徴

<理論化学の特徴>
 学習範囲は他の分野に比べて最も広く、化学の土台になります。理論化学には化学基礎で扱う内容も含まれており、他の分野を理解するための基礎力が求められます。また、計算問題が最も多いことも特徴の1つです。

<無機化学の特徴>
 無機化学は、気体の性質や金属の反応などを扱うため、基本的には暗記中心の分野です。覚えた知識をそのまま活用できる問題が多く、しっかり暗記すれば得点源にしやすいことが特徴であり、努力が結果に直結しやすい単元とも言えます。

<有機化学の特徴>
 有機化学は、炭素を含む化合物とその反応を学ぶ分野で、炭化水素・芳香族化合物・油脂・糖類・タンパク質・核酸・合成高分子などが範囲に含まれます。無機化学に比べると暗記量はまだ少ないですが、覚えた知識を応用して解く問題が多く、頭を柔軟に使うことが求められます。国公立大学の二次試験や私立大学の入試でも出題頻度が高くなっています。

 

■化学勉強の基本ステップ

STEP1:教科書・参考書で基礎概念をイメージする

 学校で使用している教科書や資料集、参考書を活用して、まずは基礎概念をしっかりイメージすることが大切です。計算式や物質の色などをただ丸暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」を意識して学ぶことで、理解が深まります。特に色や状態などに関しては、写真や図と結びつけると記憶に残りやすいです。

STEP2:計算問題への苦手意識を克服する方法

 計算問題が苦手な人は、「今、自分が何を求めようとしているのか」が曖昧になっていることが多いです。そのようなときは、単位を明記して式を書くことで、流れをつかみやすくなります。たとえば、0.10[mol]/22.4[L/mol]=2.24[L] のように、数値だけでなく単位をセットで書くと、意味が視覚的に理解しやすくなります。また、単位の概念をしっかりと理解することも大切です。

STEP3:ノートを整理しながら理解を定着させる

 学校の授業ノートや配布されたプリントを見返し、自分なりにまとめ直すことで、知識の整理と理解の定着につながります。ただ何も考えずに写すだけではなく、「なぜこうなるのか」「どういう場面で使うのか」といったポイントを加えて書くのがおすすめです。図や色分けを活用して視覚的に分かりやすくすると、記憶にも残りやすくなります。また、自分がつまずいた部分をメモしておくことで、復習すべきポイントも明確になります。

STEP4:基礎問題演習でパターンを確立する

 化学の問題は、一見難しそうに見える応用問題でも、基礎の知識と解法パターンの積み重ねで解けるものが多いです。ここで大切なのは、「基礎=簡単」ではないという意識を持つことです。基本的な考え方や典型問題を丁寧に取り組むことで、自然と解法のパターンが身につき、応用問題にも対応できる力が育ちます。理解があいまいな部分は、繰り返し取り組んで確実に押さえておくことが重要です。

 

■分野別・化学の効果的な学習法

理論化学の攻略ポイント

 理論化学は計算が中心の分野ですが、もちろん暗記がまったく不要というわけではありません。まずは最低限の知識をしっかりインプットし、基本用語や考え方を理解することが大切です。理論化学ではあらかじめ式が与えられることは少なく、問題文の情報をもとに自分で式を立てる必要があります。そのため、知識が不十分だと問題文の意味を正しく読み取れず、計算そのものにたどり着けません。

 まずは教科書や参考書で用語や基本原理を押さえたうえで、基礎的な演習を繰り返しましょう。入試では頻出の典型問題が数多く存在するため、問題集や過去問を繰り返し解いて、解法パターンを体に染み込ませていくことが得点アップの鍵になります。

無機化学:暗記と理解を両立するコツ

 無機化学は、主に元素やその化合物の性質、反応などを扱うため、暗記が中心になります。ただし、単なる丸暗記ではすぐに忘れてしまうため、「なぜその反応が起こるのか」「どうしてその色になるのか」といった背景を意識して覚えることが大切です。たとえば、イオンの色や沈殿の生成などは写真や動画を活用して視覚的に覚えると忘れにくいです。暗記した内容は一問一答や小テスト形式で繰り返し確認し、知識として確実に定着させていきましょう。

有機化学:構造と反応を関連づける学習

 有機化学では、炭素を中心とした化合物の構造や反応を学びますが、ただ暗記するだけではなく「構造と反応のつながり」を意識することが重要です。たとえば、官能基ごとの反応の特徴を整理したり、構造式を自分で書いてみたりすることで、どのような反応が起きるのかが理解しやすくなります。また、類似した反応の共通点・相違点を比較することで、知識がより深く定着します。入試では記述や構造決定など応用的な出題が多いため、基礎を固めたら、演習を通じて問題のパターンに慣れておくことが重要です。

 

■苦手克服のためのアプローチ

内容がわからなくなったときのリカバリー方法

 化学の学習を進めていくと、内容がわからなくなることがあるかと思います。その際は、まず「どこでつまずいたのか」「どの知識が抜けているのか」を明確にしましょう。そして、教科書や資料集で該当部分をじっくり読み直すことが大切です。もし自力で解決できない場合は、先生や友達に質問するのも有効ですが、その際も「自分が本当に理解できたかどうか」をもう一度確認するようにしましょう。人から教わった内容は、理解したつもりでも、実際には定着していないことが少なくありません。

計算問題でつまずいたときの対処

 計算問題でつまずいてしまった際には、まず「何を求める問題なのか」を明確に把握することが重要です。「化学勉強の基本ステップ STEP2」で述べたように、数値だけでなく単位にも注目して、どのような計算式を立てればよいかを逆算して考えてみましょう。化学の計算問題は、出題パターンがある程度決まっているため、基本パターンを繰り返し演習することで自然と慣れていくことができます。

問題の解法が見つからないときの再学習の手順

 問題の解法が見つからなかった際には、過去に使った問題集や参考書を見返し、似たような問題(類題)を探して取り組むのが効果的です。「なぜ、この問題で解法が浮かばなかったのか」「どの知識や手順を忘れていたのか」を自分なりに分析することが、同じミスを繰り返さないためのカギです。こうした過程を踏むことで、応用力や記憶の定着にもつながります。

 

■共通テスト・大学受験における化学の対策

科目選択と配点の確認

 共通テストや大学の個別試験では、科目や配点が大学ごとに大きく異なります。たとえば、理科が1科目で済む大学と2科目必要な大学では、勉強のバランスや重点の置き方も変わってきます。志望校の配点や必要科目は、早めに正確に把握しておきましょう。共通テストにおいても、化学の配点が他科目と比べて高い大学もあります。最新の入試要項を確認し、自分の学習計画がその配点構成に合っているかを見直すことが大切です。

思考力・計算力を高める学習計画

 共通テストや難関大学の個別試験では、単純な暗記だけでは太刀打ちできない問題も多く出題されます。特に共通テストでは、「知識を活用して考える力」が問われます。問題文が長くても慌てず、必要な情報を取捨選択して論理的に考える訓練が必要です。普段の学習から、なぜその式になるのか・その反応が起こるのかを意識して学ぶことが、応用力や読解力の強化に繋がります。また、計算ミスを減らすためにも、途中式を丁寧に書く習慣を身につけておきましょう。

文系受験で化学を選択する場合の注意点

 文系の学部を受験する際でも、理科の選択が必要になることがあります。文系だからといって理科を軽視するのではなく、きちんと得点源にできるよう対策を立てることが大切です。化学を選ぶ場合、計算問題に苦手意識があると後半で苦労することもあるため、早めに基礎を固めておきましょう。また、共通テスト対策用の問題集などを使って、時間配分や問題文の読み取りなどの実戦的な力を磨いていくのも効果的です。

 

■高校12年生からの学習計画と勉強習慣

日々の学習で暗記分野を軽視しない

 「暗記は後でまとめてやればいい」と思っていませんか? それでは化学では通用しません。化学は暗記しなければならない知識が膨大で、短期間で一気に覚えることは非常に困難です。だからこそ、日々の授業や定期テストを通じて、コツコツと知識を積み重ねておくことが重要です。早い段階から暗記分野に真剣に取り組むことで、受験期になってからの負担が大きく軽減されます。

基礎が曖昧と思ったら化学基礎に立ち返る

 「化学基礎」は文字通り、化学の土台です。もし化学の内容があまり理解できないなら、それは化学基礎が曖昧なまま進んでいる可能性があります。遠回りに思えるかもしれませんが、いったん化学基礎に戻って知識を丁寧に整理し直すことで、かえって理解がスムーズになり、結果的に最短ルートになります。つまずきを感じたら、迷わず基礎に立ち返る勇気を持ちましょう。

学校のペースに合わせた復習と先取り

 学校の授業進度を意識して復習することは、学習内容の定着にとって非常に効果的です。定期テストでの得点を狙うだけでなく、日々の復習を通じて苦手を残さないようにしましょう。授業で分からない点はそのままにせず、なるべく早く解決することが大切です。また、学校の進度によっては、自主的な「先取り学習」が必要になる場合もあります。特に進度が遅めの学校では、受験本番までに十分な演習時間を確保するためにも、早めに有機化学などの後半分野に着手しておくと安心です。

 

■大学受験化学のレベル別対策

難関大・医学部志望のポイント

 難関大学や医学部では、知識の量や計算力に加えて、深い思考力と応用力が求められます。基本的な内容を完璧にしたうえで、記述問題や複雑な構造決定の問題に対応できるように演習を重ねましょう。また、「なぜその反応が起きるのか」「どのような条件で変化するのか」といった本質的な理解が問われる問題も多く出題されます。各大学の入試頻出のテーマを把握し、過去問演習を繰り返し実施することで対応力を身につけることができます。

国公立・中堅私大の得点力アップのコツ

 国公立や中堅私大では、教科書レベルの知識をしっかりと定着させることが重要になります。大学によって頻出分野は異なるので、志望校の頻出分野を重点的に学習しましょう。理論化学の基礎問題や、基本的な構造決定問題を繰り返し解き、解法パターンを確実に身につけておくことが合格への近道です。応用問題で得点することよりも基礎的な問題を確実に得点することが求められるので、時間内に正確に解き切る練習も重要です。

共通テスト重視の人向け学習計画

 共通テスト化学で高得点を狙うには、思考力+スピード+正確性のバランスがカギになります。問題を読み解く力、必要な情報を見抜く力を身につけるためには、過去問演習が必須です。時間を意識して過去問や共通テスト形式の問題集に取り組みながら、自分の苦手分野を見つけて、効率よく得点を伸ばせるようにしましょう。

 

■定期テスト対策のポイント

授業ノート・プリントを使った復習方法

 定期テストで得点を伸ばすためには、授業中に配られたプリントやノートの内容を中心に復習することが最も効率的です。授業で扱った問題はテストに直結する可能性が高く、教科書には載っていないような部分も含まれているからです。テスト前にまとめて勉強するのではなく、日ごろから授業の復習をする習慣を身に着けておくことも大切です。

テスト12週間前の集中演習の進め方

 テストの12週間前になったら、インプット中心の勉強から、アウトプット中心の演習にシフトしましょう。学校から課題が課されている場合はその範囲を、課されていない場合もテスト範囲の問題を解いていきましょう。演習は時間を意識して解くことが大切です。特に計算問題では、時間内に正確に解く練習を積んでおくことで、本番でも焦らずに対応できます。

平均点を超えるための演習スケジュール

 平均点を確実に超えるためには、頻出問題を確実に解けるようにすることが最重要です。試験範囲の基礎的な問題や、授業で扱われた定番の演習問題を、テスト3日前までに最低2回は解いておきましょう。前日の夜には自分が間違えた問題だけを見直すようにすると、効率よく仕上げができます。無理にすべてをやろうとせず、優先順位をつけた学習が効果的です。

 

■おすすめの問題集・参考書

初心者向け:基礎固めに使える一冊

『宇宙一わかりやすい高校化学』シリーズ(学研プラス)

 このシリーズでは、化学が苦手な人や化学初学者でも楽しく学ぶことができるように、イラストや具体例を用いてわかりやすく説明されており、知識のインプットがしやすいため、基礎固めに優れています。

『亀田和久の面白いほどわかる』シリーズ(KADOKAWA

 亀田先生の書かれたこの参考書もおすすめです。上記の宇宙一わかりやすいシリーズと同じく、イラストや具体例を用いて説明されているため初学者に優しい参考書となっています。

『化学基礎・化学 入門問題精講』(旺文社)

 入門問題精講では、入試に頻出の基礎的な問題に取り組むことができます。この問題集は、アウトプットに優れている問題集となっています。

中級者向け:演習と解釈を深める良書

『化学の講義』シリーズ(駿台文庫)

 このシリーズは、中級者向けとして紹介していますが化学がとても苦手だという方以外はこのシリーズから化学の受験勉強を始めてもよいと思います。それぐらいわかりやすい参考書となっています。掲載されている問題の難易度としては、中堅私大~共通テストレベルが中心となっており、効率よく化学の力を身につけることができます。

暗記に強い:無機・有機を効率よく覚える

『化学 一問一答』(東進ブックス)

 知識のインプットには上記の宇宙一わかりやすいシリーズや化学の講義シリーズ、亀田和久の面白いほどわかるシリーズを使用し、アウトプットに一問一答を使用する形が良いでしょう。この一冊を完璧にすれば、残りはただ知識を活用する、問題をやりこむだけ、という状態まで持っていけます。

発展レベル:難関校対策用問題集

『化学 重要問題集』(数研出版)『化学の新演習』(三省堂)

 これらの問題集は思考力・応用力を必要とする問題がそろっており、東大・京大・医学部などを目指す受験生向けです。どの問題も"なぜその解法になるのか"を深く考える構成になっており、入試本番の実戦力を鍛えるのに最適です。

 

■化学を学ぶ姿勢と将来への活かし方

実社会や研究における化学の重要性

 化学は、医療、環境、エネルギー、食品、素材などあらゆる産業の基盤です。目に見えない物質の世界を扱いながら、現実世界の課題を解決するための技術にも直結しており、例えば薬の開発や再生可能エネルギーの研究は、まさに化学の知識がなければ成り立ちません。学んだ内容がどう実生活にかかわっているのかを知ることで、化学の勉強により身が入るのではないでしょうか。

化学が関わる職業・学部選択の事例

 化学は、薬学部・医学部・農学部・理工学部など、理系の多くの学部で中心的な役割を担います。将来、製薬会社、化学メーカー、研究職などを志望する場合は、化学の知識が必須です。また、理学部では純粋な化学研究を、工学部では化学を応用したモノづくりや開発を行います。

 

■まとめ・総括

 化学は、暗記・計算・理解のバランスが求められる科目です。一見難しそうに思えても、正しい手順で勉強を進めれば確実に力を伸ばすことができます。基礎をおろそかにせず、段階的に演習量を増やしていくこと、そして自分のつまずきに対して「なぜわからないのか」を見つめ直す姿勢が何より大切です。化学の勉強は、理解すればするほど面白いものになっていくので、化学を選択した方は全力で頑張りましょう!!

 当塾では、化学の対策として、駿台Diverse(映像授業)及び個別指導(フリーステップ)での指導をご用意することが可能です。受験に向けて化学を土台から固めたい方は映像授業の駿台Diverseで中級化学を受講することをおすすめします。また分野ごとの弱点強化や二次対策に向けた論述対策等を希望される場合は個別指導であるフリーステップでの受講をおすすめします。詳細は、塾生の方はお通いの教室チーフへ、外部生の方は最寄りの教室へお問い合わせください。

< 文/開成教育グループ 大学受験専門館 草津教室 宮原将大 >