2022/08/01
生活と音楽【第2回】-夏休みに作曲してみよう!(後編)-
長い夏休み、いつもと少し変わったことに挑戦してみたい!という人もいるのではないでしょうか?夏休みの課題で作曲の宿題が出て、困っている人もいるかもしれません。そんな方に向けて、音楽の基本から、簡単な作曲方法を紹介します。
今回の後編は、前編に続いて、いよいよ作曲に取り掛かっていきます。一緒に作ってみましょう!
「コード進行」を決めよう
「コード」とは「何の和音を使うか」ということです。「なんだか難しそう...」と思うかもしれませんが、3つ覚えるだけで大丈夫です!
「コード」を決める前に、「和音」について少し考えてみましょう。「和音」とは、心地よく響く3つ以上の音の重なりのことです。前編での調を思い出してみてください。調は、簡単に言うと、その曲の雰囲気を大まかに決めるもので、調によって、使える「和音」も変わってきます。その調の一番基本となる音(主音)から考えます。ハ長調は「ハ(日本音階。イタリア音階でいう「ド」)」の音が主音なので、主音がベースの和音である「ドミソ」を「ハ長調」のⅠ度(主和音)として考えます。これに続いて、Ⅱ度は「レ」がベースの和音「レファラ」、Ⅲ度は「ミ」がベースの和音「ミソシ」というふうに、「ドレミファソラシド」に合わせて、音が重なっていきます。
これが、ト長調であれば、主音は「ト(イタリア音階でいう「ソ」)」なので、主和音(Ⅰ度)は「ソシレ」、Ⅱ度は「ミソシ」、Ⅲ度は「ファラド」となります。
下の楽譜を見てみましょう。ハ長調の和音のパターンです。今から、「コード進行」を考えるのですが、すべてを使うのは難しいので、赤で書いている「Ⅰ」「Ⅳ」「Ⅴ」の3つを使って、組み立てていきましょう。この3つの和音は、主要三和音と言われていて、クラシックでも、ポップスでも頻繁に使われる和音です。和音のパターンはたくさんありますが、この3つの和音だけでできている曲もとても多く、初めて作曲するにも、わかりやすくて綺麗な曲ができあがります。
ただ、適当に並べてよいというわけではありません。今取り出した、「Ⅰ」「Ⅳ」「Ⅴ」にもそれぞれ性格があります。「Ⅰ」は、すべてのコードの中で一番重要で基本となるコードです。一番安定していて落ち着くお家のようなコードです。次に、「Ⅴ」もとても重要ですが、一番不安定でそこにはずっと留まっていられない、仕事場のようなコードです。最後の「Ⅳ」も必要ではありますが、「Ⅴ」ほど不安定でもなく、「Ⅰ」ほど安定しているわけでもない、仕事場に行くまでの寄り道スポットのようなコードです。
これらから、3つの「コード進行」のパターンを作ることができます。
仕事に行くコース「Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」では、緊張感から解放されたような雰囲気の解決のコード進行、遊びに行くコース「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ」ではおしゃれなコード進行になります。もう一つは、「Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ」というパターンです。「Ⅰ→Ⅴ→Ⅳ→Ⅰ」というコード進行も、ポップスでは使われていますが、仕事に行って遊んで帰ってくると、不安定から安定に綺麗に曲がまとまった感じがしないことが多いです。そのため、一般的には「Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ」というパターンがよく使われています。
この順番を守っていれば、「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ」というように組み合わせて作っていくこともできます。1音ずつコードを当てはめていくのは難しいので、1小節(読みやすいように一定の長さで区切られたまとまり)ごとに1つのコードを使ってみましょう!
「リズム」を決めよう
コード進行が決まったら次は「リズム」を組み合わせてみましょう!音符のパターンも決まっているので、それらを組み合わせるだけで、「リズム」は出来上がります。
・4分音符...1小節を4つに分ける音符。1拍として数える。1,2,3拍目。
・4分休符...1拍として数え、1拍分演奏しない。4拍目。
・8分音符...1小節を8つに分ける音符。1/2拍として数える。1拍目表、3,4拍目。
・8分休符...1/2拍として数え、1/2拍演奏しない。1拍目裏、2拍目。
・全音符...1小節を分けずに、同じ音を伸ばし続ける音符。4拍として数える。
・2分音符...1小節を2つに分ける音符。2拍として数える。
・付点音符...今までの音符の右下に点をつけた音符で、もとの音符の長さの1.5倍の長さになる。2分音符に付点がついた、付点2分音符であれば、2拍の1.5倍の3拍として数える。1,2,3拍目。
1小節の拍数が正しければ、これらのどれをどう組み合わせても「リズム」が出来上がります!
「メロディー」を決めよう
コード進行とリズムが決まったら、あとは「メロディー」を決めれば、完成です!
「メロディー」が一番難しそうに感じるかもしれませんが、「メロディー」に関しては、ルールは基本的にありません。決めたコードとあわせて心地よく感じる音を並べれば、それが「メロディー」になります。
ただ、「そういわれても難しい」と思うかもしれません。そこで自分で決めたコードを構成する音を見てみましょう。3つ以上の音でできていると思います。その構成音を好きなように並べてみましょう。その「メロディー」とコード(和音)を一緒に演奏すると、とても綺麗な「メロディー」になっているはずです。それを最後までやってみましょう。
少し長い曲を作りたい人向けに、より綺麗な曲を作るポイントは、くり返しをする事です。みなさんの好きな曲を1曲思い出してみてください。同じフレーズが繰り返されていせんか?それが「サビ」と言われる、その曲のメインとなる部分になっていると思います。簡単な作曲をする時も、くり返しがあることで、聴く人の印象に残る曲になります。
これらを意識して作った2小節の簡単な曲を作ってみると...
完成しましたでしょうか?
作曲する行程は多かったかもしれませんが、決まっているパターンを組み合わせるだけで素敵な曲が出来上がったと思います。
今回はとても基本的なところを取り上げたので、これをきっかけにしてより深いところまで知っていくと、より心を動かされる曲ができあがるかもしれません。
ぜひこれを参考に曲を作ってみてください!
\こちらもあわせてチェック/
生活と音楽【第1回】-リズムにのってしまうのはなぜ?-
<文/開成教育グループ 個別指導部フリステウォーカー講師編集部:隅田佳乃>