2024/02/19
関東 受験・進学情報だより【東京都 高校入試制度】
公立の中学校に通うご家庭には必ず訪れる高校受験。この高校受験、地域や時代で制度が変わるので、学校成績(通知表)がどう扱われるのかや入試本番の試験回数(何回受けられるの?)が想像と違っているかもしれません。
受験制度の概要を早いうちに理解しておくことで、対策が見えてきます。すべき対策を早期に行うことで、合格率が上がります。しっかり対策することで志望校合格を実現しましょう!
今回は、フリーステップの教室のある東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の高校入試制度を簡単に説明していきます。こちらの記事では東京都の解説をしていきます。
INDEX |
東京都立高校
受検概要
ここが気になる! |
これが答え! |
備考 |
受検可能回数 |
2回(※)(※※) |
推薦 + 一般を1回ずつが基本 (※ 文化・スポーツ等推薦枠を受検する場合、さらに+1回) (※※ 一般入試の後期日程を受検する場合、さらに+1) |
いつの内申点を使用するか |
3年生の12月 |
最終的に、11月までの定期テストを反映させた仮内申を使用する |
調査書点の内訳 |
通知表の数字を、 主要5教科はそのまま、 実技系教科(音・美・保体・技家)は2倍して合計する |
|
調査書点:学力調査点 |
3:7(※) これにESAT-J(後述)の点数をプラスする |
※ 一部高校では4:6のところもあり |
学区制 |
なし |
島嶼部以外はどの地域の学校にも出願できる |
都立高校入試詳細
順番に見ていきましょう。
- 推薦入試
都立高校の推薦入試には、「一般推薦」と「文化・スポーツ等特別推薦」の二種類があります。
「一般推薦」は基本的に誰でも出願できる1月後半に行われる入試です。学科試験(いわゆる、一番想像しやすい紙の学力試験)は行わず、「調査書+面接+集団討論・作文(小論文)」で合否を決めるのが従来のやり方でしたが、2021年度入試から新型コロナウィルス流行の影響で集団討論は取りやめになっていました。集団討論に関しては、2024年度入試では13校が再開していますので、今後かつてのように多くの学校で実施されるのかどうかは注目が必要です。
一般推薦では、学科試験を課されない分普段の学校成績が良いことが必須になりますし、作文や面接、集団討論の対策も必要になります。
「文化・スポーツ等特別推薦」という入試を実施する学校もあります。試験としてはその学校で力を入れている部活に関係する実技を行うところが多いです。
「一般推薦」と「文化・スポーツ等特別推薦」は2日連続で行われますが、両方受検することも可能です。ただし、「文化・スポーツ等特別推薦」自体、募集枠が小さく実施していない学校もあるので、安易に受験回数が増えると考えることはできませんので注意しましょう。
なお、推薦を含め、都立高校の入試は「合格したら入学する」約束のもとに出願する決まりになっていますので、基本的に推薦と一般は同じところを受検することになります。いわゆる「おさえ」のように第二志望の学校の合格をとっておくというようなやり方はできません。
- 一般入試
「一般入試」は内申点と5教科(英数国理社)各100点、合計500点満点(※1)の学力検査点で合否を判定する方式の入試です。
内申点:学力検査点は3:7の割合で計算されます(※2)。
前期日程・後期日程とわかれてはいますが、ほとんどの学校は分割前期日程のみの実施になるため、基本的に一般入試は一度きりと考えて挑むことになります。
また、分割後期日程と同日に、定員に満たなかった学校が二次募集を行うことがあります。この日の試験は英数国の3教科になります。
※1 一部のコース制の受検などで英数国3科300点満点のケースもあります
※2 一部の学校(体育科を受験する場合など)では4:6の割合になります
- ESAT-J(英語スピーキングテスト)
2022年より始まった英語のスピーキングテスト。11月末ごろに実施され、1月に成績が返却されます。都立の一般選抜を受ける場合、点数化され合否の判断材料となります。
ESAT-Jについてはこちら(関東 受験・進学情報だより【都立高校入試 スピーキングテスト ESAT-J】)をご参照ください。
- 自校作成校
一般入試の項目で説明した5教科(英数国理社)各100点のテストですが、基本的に全学校同じ問題(共通問題)を使用します。しかしトップ校では、英数国の3教科の問題に学校独自のものを使用しています。「自」分の学「校」で問題を「作成」するので自校作成校と呼ばれます。以下の学校が自校作成校になります。
進学指導重点校 |
日比谷・国立・西・戸山・青山・立川・八王子東 |
進学重視型単位制高校 |
新宿・国分寺・墨田川・国際(英語のみ) |
共通問題では差が付かない程の受験生が集まって競い合う学校になります。
- これらの学校でも理科・社会は共通問題を使用します
- 男女合同選抜
2024年度入試より、都立高校入試では男女別々の定員を廃止して、男女合同選抜が始まりました。
こちらは別の記事で詳しく記載していますのでご覧ください。
私立高校
受験概要
ここが気になる! |
これが答え! |
備考 |
受験の主な種類 |
単願推薦・併願優遇・一般 |
併願優遇と一般は基本的に同日 |
いつの内申点を使用するか |
主に3年生の1学期もしくは2学期 |
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基準内申 |
3教科(英数国) 5教科(英数国理社) 9教科(全教科) 学校ごとにどの基準で見るかは異なる |
複数の基準を用意している学校もある |
私立高校入試詳細
順番に見ていきましょう。
- 単願推薦
いわゆる推薦入試です。私立高校を第一志望にする際には基本的にこの単願推薦で出願することになります。
例年、1/22以降に行われます。
出願条件は内申点です。たとえば3教科で12のように基準が求められます。たとえ基準に届いていなくても個別に相談ができる場合があります。英検・漢検・数検などの検定や部活での活動実績で加点してもらえるケースもありますし、部活動や委員会での実績などを考慮してくれる学校もあります。検定に関しては3級以上で加点対象とする学校が多いので、中学生は中3の夏までに3級以上を目指しましょう! 学校により異なりますが、中堅くらいまでの学校であれば、出願できる内申基準を満たしていると、非常に高い確率で合格できます。(いわゆる上位校では、一般入試同様試験結果により合否が決まります)
試験当日は面接などを行う学校が多いです。
もちろん、第一志望であることが条件になりますので、単願は「合格したら入学する前提」での出願になります。
- 併願優遇
こちらは一般入試に分類されますが、実質推薦に近いです。
第一志望が別にあるが、もしもそちらの学校に合格できなかった場合、併願優遇で出願した学校に入学します、という約束のもと有利な条件で出願できる方式です。
例年、2/10以降に行われます。
いわゆる「おさえ」のための制度だと考えると分かりやすいです。
出願条件は単願同様、内申点です(単願よりも高い基準になっていることが多いです)。検定などで加点できる場合もあるのも同様です。
都立高校を第一志望にする方は、私立の併願優遇を1校確保しておいて、都立対策に集中するというのがスタンダードなやり方になります。
こちらも学校により異なりますが、中堅くらいまでの学校であれば、出願できる内申基準を満たしての出願は高い確率で合格になります。(いわゆる上位校では、一般入試同様試験結果により合否が決まります)
単願推薦同様、検定で加点があったり、部活動や委員会の活動による加点もあったりするので、まずは成績表などを持って学校との相談会に参加してみましょう。
試験当日は基本的に下記の一般入試と同じ試験を受けます。
- 一般入試
学力テストにより合否が決まる方式の入試です。私立高校では一般的に英数国3教科での受験になります。
- 試験の名称は学校により異なりますので、必ずご自身の志望校をご確認ください。
- 私立には都道府県による受験の可否はありませんので、隣県の私立高校も候補に入ってきます。ただし、お住まいの都道府県以外の高校に通われる場合は助成金が変わってくる場合もございます。
まとめ
- 公立第一志望でも私立第一志望でも、内申点が重要!
- まずは学校の定期テスト対策をしっかり行うのが大事です。
- 私立の場合は、単願でも併願でも、検定の取得で有利になるケースがあります。
関東1都3県の高校入試制度を比べてみると、「東京では、公立の推薦があったり、英語のスピーキングテストがあったりする」「千葉では国語のリスニングがある」など、おのおの特徴がある一方で、「公立は内申点と当日の学力検査点で合否が決まる」「私立は単願・併願の推薦制度がある」「推薦のためには内申点を基準として使う」など似ている部分も多くあります。
どこでも言えることですが、普段の定期テストや提出物でしっかりと通知表の点数=内申点を取って、入試当日の試験で良い点を取るためには、普段の勉強の定着と入試対策が必要になってきます。
日々の勉強を頑張り、志望校の合格を勝ち取るために教室では教室チーフが相談に乗ってくれます。早め早めの対策をしていきましょうね。
<文/開成教育グループ 教育技術研究所 小川真史>