2022/03/07
関東 受験・進学情報だより【関東の受験における検定の役割】
皆さんこんにちは。
今回は関東での受験における検定の役割についてお伝えしようと思います。他の地域でも同様のこともあるかもしれませんが、関東において一般的なことを書いてあるということを念頭に置いてお読みいただければと思います。
今回掲載している情報は、2022年2月現在のものです。例示した学校の具体的な情報などは必ず改めて最新のものを確認して頂くようよろしくお願いいたします。
ここで言う「検定」は、「英検」「漢検」「算検/数検」などの特定の学力をテストし合否や得点を出すもののことを指します。
検定の勉強が受験勉強にも関わるのはもちろん、取得した級などが中学受験・高校受験・大学受験で活用できるケースが増えてきています。英検・漢検・算検/数検を中心にそれぞれどのように活用できるのかお伝えしていきます。
中学受験
中学受験での検定の活用例を見てみましょう。
埼玉県の浦和ルーテル学院中学は、2019年に青山学院大学の系属校となったことで人気が急上昇した中学校ですが、「英検利用型」入試においては取得した英検の級に応じて以下のように点数化されます。英語の試験そのものは行われません。(全300点満点のうち、英語50点分)
準1級 |
50点 |
2級 |
48点 |
準2級 |
45点 |
3級 |
40点 |
この入試方式では、英検3級以上を持っていることが出願条件になります。
東京都の城西大学附属城西中学校の英語技能入試では、英語の試験を行い、取得している検定・資格がCEFR A2以上※であれば70点を保証するという制度を取っています。当日の点数が70点を下回ってしまったとしても、70点として扱ってもらえ、当日71点以上取れればそちらの方が採用されるということです。
※CEFR(セファール)は、英検他複数の英語4技能検定の級やスコアを同一基準で測るための物差しです。CEFR A2は英検で言うと準2級・2級に相当します。
最近は算国理社の4科以外に英語を使用した受験ができる学校も増えています。英検での直接的な優遇はなくとも、英語の試験が「英検で言うと何級相当」といったことを入試要項に書いている学校もあります。5級程度としている学校もあれば、準2級程度としている学校もあり、非常に難度に幅があるので事前に調べておく必要があります。
中学受験においては、英検やその他語学検定に比べると漢検や算検の扱いは大きくありませんが、たとえば佼成学園女子中学校の場合、入試の合計点に対し各種検定の取得級に応じて倍率をかけてくれます。4級で110%、3級で110%、準2級で115%、2級で120%といった具合です。募集要項には「英検・漢検以外の検定の場合は事前にご相談ください」とありますので、個別相談時には持って行ける証明書などは遠慮せず持って行きましょう。
また、ここまで「活用」という観点でお話してきましたが、直接加点や得点換算が無かったとしても、そもそもの検定のための勉強は役立ちますし、面接のある学校であれば自分の頑張ったこととして話す題材にもなりますよ。
高校受験
高校受験での例を見てみましょう。
受験制度・方式などの詳しい話は以前の記事で書きましたのでこちら(東京編・埼玉千葉編)をご覧ください。
まずは私立の場合です。
私立高校を受験する方式は様々ありますが、単願推薦や併願推薦・併願優遇の場合に検定を取得していることで内申点に加点してくれる学校が多数あります。
(推薦や併願優遇に出願するためには、内申基準=通知表の点数が必要になります。5科で19のように学校ごとコースごとに基準が決められています。)
学校のウェブサイトで公開しているところを探してみますと、東京都の豊島学院高校では大半のコースで「資格加点」として「英検・漢検・数検3級以上1つで+1、準2級以上1つで+2」としています。
同様の扱いをしている私立高校は非常に多くありますので、学校説明会などで聞いてみてくださいね。
続いて公立の場合です。公立高校入試は都道府県ごとに特徴があるというお話は以前の記事でしましたが、検定の活用法にも違いがあります。
東京:残念ながら、都立高校受検の際には検定による加点などはありません。
埼玉/千葉:一部高校で、調査書点への加点として検定が使われることがあります。入学試験全体における加点の割合などは学校ごとに違いますので、志望校の分は是非調べてみてください。たとえば埼玉県立与野高校は、試験全体を870点としていますが、そのうちの370点の調査書点の中の24点分は英検・漢検・数検の3級以上を取得していることによってもらえる点となっています。
因みにそれぞれの検定で、3級というのが中学3年生程度の内容となっています。3級以上を持っていることで加点してもらえる場合が多いので、中学生は3級以上を目指しましょう!
また、検定は年に3回実施されていることが多いですが、中3の1月に受ける分は結果が出るタイミングが出願に間に合いませんので必要な級の取得は必ず秋までに済ませておきましょう!!
大学受験
大学受験での例を見てみましょう。
大学受験においては、英語4技能検定の存在感がどんどん大きくなってきています。
共通テストにスピーキングやライティングが導入されると発表されるも、結局実施は見送りになった件も記憶に新しいですが、共通テストで実施するか否かに関わらず現代において必要な力であることは間違いありません。しかし、これを受験会場で測ることが難しいために、検定の級やスコアが使用されているという側面があります。
大学受験での英語4技能検定の使われ方は大きく分けると以下のような形です。
①出願資格になる/英語試験免除
学校の指定する級/スコアを所持していることで、出願することができるというパターンや、英語のテストを受験しなくて良くなるというパターン。このパターンだと、英語も受験する「3科型」と英語の受験を免除される「英語外部試験利用型」のような2種類の入試を両方受けることができ(英語以外の2科は全く同じ試験)、1回の試験で2回の判定を貰うことができる場合もあります。当然、合格の可能性が高まることになります。
たとえば法政大学の英語外部試験利用入試ですと、英検なら学部により2級もしくは準1級を持っていることで出願ができます。この入試方式だと、残り1科目だけで受験することができるのです。
因みに、総合型選抜や学校推薦型選抜ではもっともこの方式が多いです。
②得点換算
持っている級やスコアを、英語の試験の点数に換算することができる方式です。
たとえば専修大学では、一般選抜前期入学試験において多くの入試方式で英語外部検定を英語の得点に換算することができます。英検で言うと、2級で80点、準1級で100点といった形です。なお、英語の試験は受験してもしなくても大丈夫ですが、2級所持者が英語の試験を受けて85点を取った場合は85点の方(高い方)が採用される形となっています。
また、いち早く学校独自の英語の試験をなくした立教大学も、この得点換算方式をとっています。
一般選抜ではこの得点換算型を採用している大学が最も多いです。
③加点
持っている級やスコアに応じて英語の試験の点数に加点が入る方式です。
神田外語大学では、②と③の方式両方を採用しています。
準1級以上の所持で満点に換算、2級の所持なら5点加点といった形です。
ここで、英検以外にどのような英語4技能検定があるか簡単に見てみましょう。
大学受験において、漢検・数検は総合型選抜や学校推薦型選抜で活用できる場合があります。
参考資料とされる場合や、級によっては適性検査や小論文を免除するといった扱いにしている大学もあります。
まとめ
見てきたように、全般的には特に語学系の資格が受験で活かされる場面が多いです。
高校受験においては、各種検定で3級以上を持っていることで有利になるケースが多いです。
検定はいきなり受けて合格できるものでもないので、時間をかけて準備する必要がありますから、早め早めに動きだしておくと、自分の進路の選択肢が増えますよ!
フリーステップでは、オンライン英会話のESTや、英検S-CUBEなど検定対策も行っています!
地域ごとにフリーステップの教室が検定試験の会場になっていますので、受ける時も安心です。
フリーステップで普段の勉強も検定の勉強も早めに取り組んでいきましょう!
検定について調べていくと、CBTという言葉が出てくると思います。このCBTとはComputerBasedTestingの略でコンピュータを使用したテスト方式のことです。英検やGTECなどで採用されています。
こちら、コンピュータを使用すると言っても、自宅から受検できるわけではなく、指定された会場で受けることになります。開催回数が多いので、会場まで行きやすいのなら便利な方式になります。パソコンのキーボード入力をする場合もあるので、全く慣れていない生徒には不向きな試験です。
結果は従来方式の検定試験と同様に使えますが、例えば明治大学の英語外部試験利用方式では、GTECはCBTのみに限られるなど同じ検定でも扱いが分かれることがあるので注意が必要です。
<文/開成教育グループ 教育技術研究所 小川真史>