2026/03/09
関東 受験・進学情報だより【埼玉県 高校入試制度】
公立の中学校に通うご家庭には必ず訪れる高校受験。高校受験の制度は都道府県や時代によって異なるため、学校成績(通知表)の扱いや選抜方法が、想像していたものと違う場合も少なくありません。受験制度の概要を早い段階で理解しておくことで、必要な対策が見えてきます。早期から適切な対策を行うことで、合格の可能性は高まります。しっかりと準備を進め、志望校合格を実現しましょう!
こちらの記事では、埼玉県の高校入試制度について簡単に解説をしていきます。また、2027年度(令和9年度)入試からの入試変更点もまとめていますので、今後埼玉県の高校入試を考えている方はぜひ参考にしてください。
※埼玉県高校入試制度の「受験」表記に関して、本記事では埼玉県教育委員会発表の入試要項等の記述に合わせ、「受検」の表記を使用しています。
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INDEX ■2027年度入学者選抜からの変更点 |
■2027年度入学者選抜からの変更点
はじめに、埼玉県の高校入試について、2027年度(令和9年度)入試からの変更点を説明します。
・自己評価資料の提出及び面接を全員に実施
学校内外での活動や意欲等を自らの言葉で表現する「自己評価資料」を受検生全員が出願時に提出することになりました。また、これまで一部の学校のみが実施していた面接が全員に実施されるようになり、面接時は自己評価資料に基づいて実施されます。
・選抜の特色化、共通選抜と特色選抜に
現行では一般募集のみでしたが、令和9年度からは選抜方法が「共通選抜」と「特色選抜」の2つに分かれます。共通選抜では、学力検査、調査書、面接の結果をもとに選抜します。特色選抜では、これらに加えて特色検査(実技検査または作文(小論文))が実施され、さらに学科・コース等の特色に合わせて、最大3教科まで傾斜配点を実施することができます。
・調査書の記載事項が変更
これまで調査書には、「9教科5段階の評定」「総合的な学習の時間の記録」「特別活動等の記録」「出欠の記録」「その他」の5項目を記載していましたが、令和9年度からは「9教科5段階の評定」と「総合的な学習の時間の記録」のみを記載する形に変更されます。
・学力検査にマークシート方式を導入
5教科全てにおいて、マークシート方式で解答する問題と記述式で解答する問題をあわせた学力検査を実施します。(数学・英語の学校選択問題、並びに追検査を含む。)
■埼玉県高校入試の日程と選抜方法
次に、日程と選抜方法の概要を説明していきます。
〇2027年度入学者選抜の日程
2027年度の公立高校入学者選抜の日程は以下の通りです。また、私立高校においては例年1月22日から推薦入試が始まります。日程をあらかじめ把握しておき、入試対策に役立てください。
2027年度(令和9年度)入学者選抜日程![]()
〇埼玉県公立高校入試について
選抜資料の扱いと調査書について
埼玉県の公立高校における一般募集では、学力検査の他に選抜資料として調査書が必要です。調査書は、9教科(英語、数学、国語、理科、社会、音楽、美術、保健体育、技術・家庭)の学習記録を基本として構成されます。各項目の割合や満点については、共通選抜は①1:1:1 ②1:1:2 ③1:1:3のいずれか、特色選抜は各高校が定めます。
≪選抜方法≫ ●必須 〇各学校の判断により実施
共通選抜
![]()
※2:英語、数学、国語、理科、社会、音楽、美術、保健体育、技術・家庭
特色選抜![]()
選抜方法のポイント
- 一般募集
一般募集の選抜方法は共通選抜と特色選抜に分かれており、共通選抜と特色選抜の両方を実施する場合、募集人員は特色選抜20~80%、共通選抜はその残りの人員となります。特色選抜のみまたは共通選抜のみを実施する場合も、一度の試験に対し2~3回の基準の異なる選抜が行われます。たとえば、「内申の比率が大きい1次選抜」を実施し、合格者を選定したあとで「学力検査の比率が大きい2次選抜」を行いさらなる合格者を選定するような形式です。1次選抜では定員の60~80%を、2次選抜でその残りの募集を行います。また、出願の際、普通科でコース等を設置している学校または2学科以上ある学校においては第2志望が認められる場合があります。
合格発表は一度に行われます。内申点は3年間のものを合わせて使用するので、1年生の成績も重要です。
共通選抜は調査書点と面接点に加え、5教科(英数国理社)各100点、合計500点満点の学力検査点で合否を判定されます。調査書点と面接点については複数のパターンから各高校で何点満点かを選択します。いくつか例を紹介します。
※2026年度1月時点の情報になります。
<さいたま市立大宮北高校の共通選抜(1次選抜)の場合>
・調査書における学年間の比率は1年:2年:3年=1:1:3(満点:225点)
・選抜資料配点における調査書点は300点満点。例えば調査書点が135点の場合、選抜の際に使用される調査書点は300×135/225=180点
<蕨高校の共通選抜(1次選抜)の場合>
・調査書における学年間の比率は1年:2年:3年=1:1:2(満点:180点)
・選抜資料配点における調査書点は300点満点。例えば調査書点が108点の場合、選抜の際に使用される調査書点は300×144/180=240点
<さいたま市立浦和南高校の共通選抜(1次選抜)の場合>
・調査書における学年間の比率は1年:2年:3年=1:1:2(満点:180点)
・選抜資料配点における調査書点は200点満点。例えば調査書点が108点の場合、選抜の際に使用される調査書点は200×144/180=160点
特色選抜は調査書点と面接点に加え、5教科(英数国理社)の学力検査点で合否を判定されます。また、学校によっては特色選抜において、実技検査または作文(小論文)を実施しています。面接点と調査書点は各学校で異なる比率で計算され、学力検査は高校によっては傾斜配点を採用しています(埼玉県教育委員会のWEBサイトで、各高等学校の選抜基準として公開されています)。
- 学校選択問題
一般募集の項目で説明した5教科(英数国理社)のテストですが、基本的に全学校同じ問題(共通問題)を使用します。しかし一部の学校では、英数の2教科の問題に難度の高い「学校選択問題」を使用しています。2026年度入試においては以下の22校が学校選択問題を採用していました。
浦和、浦和第一女子、浦和西、大宮、春日部、川口北、川越、川越女子、川越南、熊谷、熊谷女子、熊谷西、越ヶ谷、越谷北、所沢、所沢北、不動岡、和光国際、蕨、さいたま市立浦和、さいたま市立大宮北、川口市立
これらの学校を志望する場合は、学校選択問題用の対策が必要になります。
〇埼玉県私立高校入試について
私立高校では、推薦入試や一般入試による日程の区別はなく、2026年度入試は1月22日から始まりました。
私立高校の入試方式は大きく分けて、【単願推薦】【併願推薦】【一般入試】の3つがあります。
単願推薦は、合格した場合に必ず入学する約束で出願する方式です。併願推薦は、第一志望校が別にある場合に利用する方式で、第一志望に合格できなかった際にはそちらの高校に入学しますという約束のもとで、優遇を受けられます。最後に一般入試は、学力検査のみで合否を判定する方式です。
ここでは主に、単願推薦・併願推薦の特徴について説明します。
単願推薦と併願推薦では、通知表の評定や模試成績を用いた基準が設けられており、その基準を満たしているかどうかを学校との個別相談で確認します。学校側が定めた基準を満たしていれば、合格の可能性は非常に高いです。
個別相談の際に持参するものは、主に通知表・模試個票・検定証明書・活動実績資料の4つです。まず、志望校の基準を満たしていることを学校に示すために、通知表が必要です。3年生の1学期、または2学期のものを使用します。例えば、2026年度の浦和学院高校の国際バカロレアコースを志望する場合、単願推薦では5科評定21または9科評定40、併願推薦では5科評定23または9科評定42を満たす必要があります。
もし通知表の評定が基準に届いていない場合でも、模試個票・検定証明書・活動実績資料によって加点措置が行われることがあるため、必ず持参しましょう。模試個票とは、北辰テスト等の成績表のことです。場合によっては、「偏差値が○○以上の成績表を持参すれば大丈夫ですよ」といった基準が示されることもあります。検定証明書は英検®・漢検・数検などの取得を証明する書類です。3級以上で加点措置が行われることが多いです。活動実績資料は、部活動や習い事、ボランティア活動などの実績を示せる資料を指します。その他、学校から指定があるものがあれば、必ず持参しましょう。
単願推薦・併願推薦のポイント
単願推薦・併願推薦のポイントをまとめると以下のとおりです。
①個別相談が必要
必ず高校の個別相談に行きましょう。相談時に「問題ありません」「大丈夫でしょう」といった回答が得られた場合、合格できる可能性が極めて高いです。
②内申点が重要(基準は要確認)
個別相談では通知表の評定が確認されることがあります。ただし、内申基準は募集要項に掲載されている学校もあれば、学校相談会などでしか分からない学校もあるので、事前に確認しておきましょう。
③検定や活動実績で有利に
英検®などの検定や、部活動・委員会・習い事などの実績が、加点の対象になる場合もあります。
④公立が第一志望の場合は併願推薦で1校合格を確保して公立対策に集中
公立高校を第一志望にする場合は、併願推薦で私立高校を1校おさえとして確保し、公立対策に集中するのが一般的です。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
■まとめと埼玉県高校入試の重要ポイント
・私立と公立では、入試日程や選抜方法が異なります。志望校がどのような選抜方法・入試日程なのか早めに把握し、学習スケジュールを立てていきましょう。
・公立第一志望でも私立第一志望でも、内申点は重要です。高い内申点を確保するには、まず学校の定期テスト対策を丁寧に行うことが大切です。
・中学3年生になる前から、内申点対策と並行して入試対策も始めましょう。過去問の傾向から逆算し、余裕をもって学習を積み重ねていきましょう。
・2027年度に入試を控えている方は、制度の変更点も踏まえて日々の学習に取り組んでいきましょう。
関東1都3県の高校入試制度を比べると、「東京では、公立の推薦があったり英語のスピーキングテストがあったりする」など、都道府県ごとに特徴がある一方で、「公立は内申点と当日の学力検査の得点で合否が決まる」「私立には単願・併願の推薦制度がある」「推薦では内申点が基準として用いられる」など、共通点も多く見られます。
どの都道府県でも言えることですが、通知表の評定(内申点)をしっかり確保し、入試当日の学力検査で得点するためには、日々の学習の定着と入試対策の両方が欠かせません。早めに準備を進め、入試当日に力を発揮できるようにしていきましょう。
<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>