2022/06/06

【大学受験】国公立大学「推薦入試」の狙い方(私立専願の受験生も要チェック!)

 みなさんは国公立大学に推薦入試があることをご存じですか?国公立大学のうち、なんと90%が推薦入試を実施しています。知っておかないと損するかもしれない「推薦入試」を5分でチェックしておきましょう!「成績はよいが入試に自信がない」と思っている人に読んでほしいと思います。特に、「私は私立志望だから関係ない」と思っている人にもチェックしてほしいです。

国公立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜の選考基準とは?

主な選考基準は大きく分けると以下の4点。大学・学部によってさまざまですが、まずは大別して大きく把握しておきましょう。

主な選考基準

備考
①課外活動においての実績 資格の保持や、部活やクラブでの全国的な活躍や実績が評価されます。英語の検定試験や留学経験なども基準になることがあります。また、出願条件になることもあります。
②学業成績(評定平均) 私立大学同様、一定の評定平均が出願資格になる場合があります。まずは自分の現時点での評定平均を把握しておきましょう。
③書類選考・面接・小論文・実技試験 書類審査のうえ面接試験、小論文試験を実施する試験です。トレーニングすることが必要です。一般的な面接のほか、グループ面接やプレゼンテーション、口頭試問などを求められることもあります。
④共通テスト

推薦試験+共通テストの得点を合否の基準にする大学も多い。共通テストが必要かどうかは必ず確認が必要です。

 もし、これを読んでいるあなたが高校1年生なら、これから①②の実績を作っていくことができる一方で、高校3年生なら、①②はこれから大きな挽回は困難なので、③④で出願できる大学を調べることになります。推薦入試で大学進学を考えるなら、1年生から意識して活動しておくほうが有利ということですね。
 ほかにも、前提として「学校長が推薦」という条件が入ることがあるので、もちろんですが、学校の先生に目を付けられるような行動は控えてくださいね!

出願できるかどうかを検討してみよう

まず、推薦入試を出願するうえではじめにチェックするべきことは「専願制か併願制」かの確認です。

合格した場合に、入学することを確約できる者

専願の場合は、上記のように記載されています。「合格をした場合は必ず入学する」というルールのことです。言い換えると「他の大学に入学してはいけない」ということですね。対して併願は「合格をしても必ず入学しなくてもいい」ので、他の大学も受験することができます。中には推薦入試で滑り止めを受験し、合格をキープして第一志望を受けるという受験生もいるということです。
 国公立大学の推薦入試はほとんどが専願制です。つまり、その大学が第一志望かどうかという点が出願するかどうかの第1チェックポイントです。皆さんが第一志望として受験できる大学をリストアップしてみてください。そして、大学の募集要項を読んでください。(資料請求して入手するか、大学のホームページからダウンロードするなどの準備をしておきましょう。)
 次に課外活動においての実績のリサーチです。募集要項の「出願要件」を確認しながら、自分の「課外活動の実績」を書き出して、条件をクリアしているか確認してみましょう。学部によって条件が異なる場合もあるので、マーカーを引くなど入念に読み込みましょう。

・特筆すべき活動を証明する書類を提出できる者
・全日本○○全国大会の出場資格を得た者
・指定する試験のいずれかを選択し、そのスコア証明書又は合格証明書を提出できる者

上記のような記載があるため、要件をクリアしているかをチェックしてください。

②学業成績(評定平均)のリサーチです。お通いの高校の先生に相談するか、通知表を計算して、自分の「評定平均」を確認してみてください。(調査書上の評定平均は5段階評価なので、5段階に換算してください。)

調査書の全体の学習成績の状況が4.2以上の者

上記のような記載があるため、要件をクリアしているかをチェックしてください。高校1年生・2年生の人はこれからの成績でクリアできるかどうかを確認して、目標を定めていくといいでしょう。3年生の場合は、1学期までの成績で確定しているため、要件を満たしていれば出願準備で次のステップに進むことになります。

出願すべきかどうかを検討してみよう

結論からいうと、第一志望の大学に出願要件を満たしている場合は、基本的には出願をしたほうが有利になる可能性が高いです。次に選抜方法を確認しながら、合格可能性を高める対策について考えていきましょう。

 ③書類選考・面接・小論文・実技試験など、選抜方法と配点などを確認して、どのように対策ができるかを事前にチェックしておきましょう。募集要項の「選抜方法」などが書かれてある項目を確認してください。

小論文

面接

実技

志望理由書

合計

A学部

250

250

500

B学部

100

100

200

100

500

上記のように、学部によって試験内容や配点が異なる場合があるので、有利なほうを選べる場合は選択するのがいいでしょう。
 実技試験とは、美術や音楽、体育などの分野の試験をいいます。推薦に限らず一般入試でも実技試験を課す大学・学部を受験するのであれば、区別せずに対策を行うことになるため、迷わず出願するべきでしょう。ただし、「推薦入試のために今から実技対策をする」場合は、そのための対策時間が大幅に必要になるためデメリットもあります。一朝一夕で身につくものではないので、高校3年生の時点で実績がないと困難な手段になるため、出願するかどうかを検討するほうがいいかもしれません。実績のある先生や予備校に相談してみるといいでしょう。
 対して、小論文や面接はある程度の期間で対策が可能であるため、ためらわずにチャレンジするのをオススメします。ただし、特定の専門分野から出題されるなど傾向を確認したうえで、準備とトレーニングは必要です。

小論文の勉強法はこちらをチェック

 
 最後に、④共通テストが必要かどうかを確認しましょう。「共通テストを課さない」方式の場合、受験科目に関わらず受験可能であることです。つまり、私立大学を志望している受験生でも受験が可能です。
①②③で出願要件を満たした場合は、さっそく推薦入試の受験対策を検討しましょう!

「共通テストを課す」方式の場合は、推薦とはいえ、一般入試と同じく共通テストの得点率が合格の基準となるため、イメージとしては「○○大学を推薦と一般の2回判定をもらうために出願する」というものに近いと思います。単純に受験回数が増えるのでチャンスが増えます。また、個別試験の結果次第では一般入試の共通テストのボーダーよりもハードルが低くなる可能性もあります。合格発表も2月以降になるので共通テストを課さない方式とは流れが異なりますが、チャンスを増やす意味で受験を検討してみてはどうでしょうか。具体的に先輩たちが出願したときの例を見てみましょう。

・推薦でも一般でも入試科目が小論文だったので、対策にかかる負担が少ないから出願要件を満たしていたので受験するほうが有利だった。
・二次試験の筆記試験に不安があったので、面接や小論文の対策を並行することでリスクを分散した。
・共通テストのボーダーに不安があったので、面接や小論文、実技試験で勝負できる推薦を受験した。
・出願要件は満たしていたが、一般入試では面接や小論文を使わないので、他の私立大学の対策時間を考えると推薦は負担になると考えて断念した。

 これらの例のように、推薦入試と一般入試の「対策」を比較検討して、負担の大小や、選抜方式の有利不利が判断基準になることが多いようです。比較検討して、自分にとって推薦入試にチャレンジするかどうかを考えてみましょう。

最後に

 国公立大学は私立大学の推薦入試と比べるとレベルや倍率は高く、合格するのは簡単ではありません。しかし、推薦入試のメリット・デメリットを理解したうえで、早め早めの対策を取っていけば大きなチャンスでもあるので、ぜひ検討していただきたいです。
 何より、自分から調べなければ誰も教えてくれないものです。「受験はまだ早い」と思わずに、今すぐに調べて、自分の進路について考えていきましょう!

 特に推薦入試は、学校の先生のサポートがあるほうが断然有利です。早めに先生に相談しておくのも大事です。また、小論文や面接など、推薦で課される選抜方式は甘く見てはいけません。「何となく自己流で練習する」のが通用しにくい試験です。
「本気でその大学に行きたい」と考えている受験生の中から数名を選ぶ試験です。受験生の中で一番の面接、一番の小論文を書く気持ちが重要。準備や対策をしていないことは、試験官にはすぐにわかってしまいます。本気で対策するなら面接も小論文も、絶対に基礎から勉強をして万全の対策で臨みましょう。

 代ゼミサテライン予備校の「志望理由書」「面接」「小論文」などの対策講座が開講されています。予備校のプロが入門から実践まで対策する授業があるので、気になる人は無料で相談や体験が可能ですので、ぜひ問い合わせてみてください。

フリーステップ・代ゼミサテライン予備校では総合型選抜「小論文オンライン」コースを開講!詳細はこちら

〈文/開成教育グループ 代ゼミサテライン予備校大学受験専門館 中村裕也〉