2025/04/07

【大学受験】高校生のための効果的な英語勉強法ガイド

 今回の記事では、高校生の皆さん、特に受験生の皆さん向けに効果的に成績を向上させる英語の勉強法についてご紹介します。英語が苦手な方でも簡明かつ適切に学習を進められるようなチャートを紹介しますので、特に「受験学年になったけれど、まだイマイチ何をやればいいか分からない!」というような方はぜひ参考にしてください。

INDEX

■高校英語学習の基本
■語彙力を高める勉強法
■英文法と文章理解力を鍛える
■リスニング力向上にむけて
■ライティング力の強化
■定期テスト・模試の活用術
■高校3年生の受験に備えた戦略
■おわりに

■高校英語学習の基本

 高校の定期テストで点数があまり伸びない人は、中学英語の知識が完璧になっていない可能性があります。そのような人は、まず中学英語の復習から入るのが良いかと思います。例えば、「名詞・動詞・形容詞・副詞・構文」といった基礎知識をしっかり理解することが必要になります。参考書は『新訂版 チャート式シリーズ DUALSCOPE High School English デュアルスコープ総合英語(好学)』などの英語総合書で理解することが大事です。また、定期的に勉強しなければせっかく培った知識も忘れていきます。「○○日までに□□ページ進める」といった目標を立て、「毎日1時間は必ず英語の勉強をする」というような時間管理を行いましょう。

 

■語彙力を高める勉強法

 英語において最も大事なものは語彙力です。どんなに文法力や解釈力があっても語彙力が無ければ英文が読めません。そのため、今から語彙力を身につける必要があります。試験本番までに単語帳を全て覚えている状態が理想です。具体的な暗記の方法を3つご紹介します。1つ目は"何回も繰り返すこと"。皆さんは1度しか会ったことのない人の顔をすぐに覚えられますか?非常に印象が強くない限り、その人の顔はほとんど思い出せないと思います。英単語も同様です。1回で覚えようとするのではなく、何回も繰り返して覚えようとすることが肝要になります。2つ目は"実際に正しく発音すること"。人間は目と耳と口で物事を覚えます。見て覚えるだけでなく、実際に声に出して英単語を覚えるとより効率的に暗記することができます。3つ目は"アプリを使うこと"。自分が分からない英単語のみをアプリに記録しておき、単語帳を持っていない時でも時間に余裕が出来たら定期的に確認しておくと良いと思います。

 

■英文法と文章理解力を鍛える

 英語の成績を上げるためには英単語を覚えるだけでなく文法力や読解力も必要になります。文法力については、中学で習った基礎事項を踏まえてしっかりと学習していきましょう。文型・句と節・品詞といった英語の土台をしっかり身につけた後、仮定法や関係詞、分詞といった読解で必要になる文法事項を理解していきましょう。総合英語や文法参考書で基礎事項を理解したら次に実際にアウトプットに進みましょう。文法問題集を使って自分の不明点を徹底的にあぶり出し、ゆっくり時間をかけて良いので自分自身の課題の克服に励みましょう。英文法でわからない単元が出てきたら、その単元につながる既出単元に戻るようにしましょう。以下の鳥観図を見てください。高校英語で習う英文法はすべて中学英語とつながっています。例えば高校英語の比較がわからないと思っている人は、中学英語の比較も理解できていない、または不十分であることが予測されます。そういったときは中学英語まで戻り、自分がどこから理解できていないのか分析するようにしましょう。

 英文法と並行して構文理解力もつけていきましょう。基本的な文型・品詞・句と節を主に用いて英文を一文一文丁寧に精読することが重要になります。試験本番は速読が必要になりますが、精読が身についていないとこの文章では結局何が言いたいのかが分からなくなります。そのため、参考書や問題集で構文理解、解釈力をしっかり身につけていきましょう。

具体的に英語の勉強スケジュールを組みたい方は、学習鳥瞰図英語+(高校バージョン).pdfを参考にしてみてください!

 

■リスニング力向上にむけて

 共通テストや国公立大学の外国語学部などの二次試験では、試験問題にリスニングが含まれます。そのため、リスニング対策も怠ることなく勉強する必要があります。リスニングを中心に勉強するのも良いですが、単語暗記や長文復習の時に並行してリスニングの勉強もすることができます。例えば、単語を覚える際に実際に発音する、長文の復習として正しい発音で音読を行う。音読練習をすることによって、リスニング力向上につながります。それを定期的に繰り返すことでリスニング力は着実に身についてきます。ぜひ、参考にしてみてください。

 

■ライティング力の強化

 英作文では、やはり文法が大事になります。特に、先述した文型・品詞・句と節の理解が不十分だと、そもそも英文が書けません。英作文を学習するには、事前に英文法の理解が不可欠です。基礎的な文法事項が身についたら実際に英文を書いていきましょう。最初のうちは短文から入ることをおすすめします。そこで英作文の書き方がわかってきたら長めの作文に挑戦してみましょう。英作文の極意はとにかく「和文和訳」です。わからない、英単語では書きにくい表現が出てきたら、まずそれをわかりやすい日本語に書き換えましょう。そしてできる限り簡潔な表現・語彙を使用することを推奨します。

 

■定期テスト・模試の活用術

 定期テストや模試は受験合格につながります。しかしそれは、正しく活用しないといけません。定期テストや模試は、自分の現状を反映してくれるものです。そのため、復習をしておかないと自分には何が足りなかったかが分かりません。必ずフィードバックを行い、自分の弱点発見・課題克服につなげられるように復習を欠かさず行いましょう!模試の復習に関しては、「【大学受験】模試の復習方法とその効果 |」に詳しく説明してありますので、ぜひご覧ください。

 

■高校3年生の受験に備えた戦略

 「1学期」「夏休み」「2学期」「冬休み以降」という4つの区分でそれぞれの時期のレベルにあった学習方法を説明していきます。

1学期 〜まずは基礎を固めよう!〜

 高校3年生の1学期。受験学年がいよいよスタートする訳ですが、いきなり受験レベルの難度の学習をしようとすると、多くの場合自身の学力と大学の入試難度の乖離により、いくら難しいものを解いても内容を吸収しきれないでしょう。そのためこの1学期の間は今後夏休み・2学期と学習のレベルをあげるための準備期間として、自分の基礎学力を固めることに注力しましょう。

 具体的な学習内容として、まずは単語。単語が読めないと文法や長文以前に一切の文章が読めませんから、何より先ず単語の知識を定着させ、一般的な文法書に載っている単語は全て分かる程度にはしておきましょう。具体的な範囲として、例えば「システム英単語(駿台文庫)」であれば1-1700まで、「ターゲット1900(旺文社)」であれば1-1500までというように、難度の高い最後の1章分を残した全ての語彙を身につけられるようにしておくと、後々の文法・長文学習がかなり楽になります。学習方法として、日常的な単語帳・カードでの学習に加え、コーチや講師に依頼して単語テストを実施したり、他人に単語の意味を説明したりするのが効果的です。そうすることで自分の単語知識が整理され、未熟な部分を具体的に把握できます。インプットばかりでなく適度なアウトプットを挟むことで演習力を磨いていきましょう。

 次に文法です。基本的な文構造をはじめ、完了形をはじめとする時制や関係代名詞あたりの知識をしっかり定着させ、軽い英作文がかける程度まで応用できるようになれば、後々長文読解の際の文構造把握や英作文の書き方などをスムーズに学習することができます。逆に言えば、この辺りの知識が少しでも疎かになっていると、問題を解く以前に、長文を読むにも文章の意味が汲み取れません。そのため、単語だけでなく、文法知識もしっかりと定着させましょう。学習方法として、基本的には市販や学校配布の文法書を使用したインプットと、問題集を使用したアウトプットを適度なバランスで実施することが大切です。1日1章分文法書を学習し、翌日その章の問題を解く、というようなサイクルで、バランスよくインプットとアウトプットを交互に実施すると、効率よく文法知識と演習力を育むことが出来ます。

夏休み 〜基礎完成、長文にチャレンジ〜

 基礎固めの1学期が終わり、いよいよ夏休み。「受験の天王山」と称されるこの時期ですが、英語学習においてもこの時期はとても大切です。というのも、これまで学習してきた単語・文法という基礎事項を完成させ、それを応用することで長文を読めるようにするというように、学習レベルのシフトを行う必要があるからです。これは私見ではありますが、例えば関関同立・GMARCHレベルの難関私大を目指す場合、この時期に文法学習をある程度終えられないと周囲の同大学を狙うライバルに大きく差をつけられかねません。長文に加えレベルの高い単語・文法知識を要求される難関私大入試において、いかに早く基礎を完成させ長文や応用的な文法を学習し始められるかというのは、少しの出遅れが死活問題となるのです。そのため多少焦ってでも、この時期に先に挙げた単語・文法の基礎範囲を必ず固めておきましょう。それを終えたうえで、8月頭から長文の読解学習を始められるとベストです。

 長文の学習はおおよそ下記の3段階に分けられます。夏休み段階では①,②までの基礎的な学力を見につけることを目標にしましょう。

①文章を正確に読む
②文章全体の内容を把握し、問題に解答する
③読解スピードをあげる

 まずは1学期に身につけた単語・文法力を駆使して文章を正確に読めるようにしましょう。この際、「基礎英文問題精講(旺文社)」などの構文学習書を用いた和訳の演習を行うと、単語・文法の確認に加えイディオムの知識も身につけられるためおすすめです。それがある程度落ち着いて、ある程度の長さや難度の英文なら訳せるようになったら、次は読解演習に移りましょう。「やっておきたい英語長文300(河合出版)」や「関正生のThe Rules英語長文問題集1入試基礎(旺文社)」をはじめとする簡易な長文学習書を用いて、始めは比較的短い文を正確に訳す練習から行いましょう。この際、間違えた問題が出てきたら「なぜ間違えたのか。どこが回答根拠として適切だったか。」という確認を必ず行いましょう。でないと、毎度間違えた問題から得られる反省がありません。1問1問、自分の弱点をみつけるように大切に解答し復習することで、毎日の学習で一つ一つ成長できるよう意識しましょう。

 ある程度長文読解技術が成熟してきたら、1度自分の志望大学の過去問にチャレンジしてみましょう。勿論100点を取るのは難しいですが、「この一文は読めるな。この単語は分かるな。」とある程度今の知識で解ける問題もあるはずです。こうして今出来ていることを確認することは、自分のこれまでの学習がちゃんと有意義だったと確認して自信を持つのにとても有効です。もし勉強のモチベーションが下がってきたら、是非ともこうしたチャレンジも挟んでみましょう。

2学期 〜過去問への取り組み方〜

 夏休みの大きな峠を越えた2学期。ここから先の学習は、これまで培った単語・文法、そして長文の基礎学力を活かして、滑り止め大学をはじめとする自身の志望大学のレベルに近づいていくことになります。そのため再三述べた通り、これまでの学習を如何に充実し実用的なレベルで行なってきたかの差が、この辺りで如実に顕れ始めますから、高3の1学期から夏休みにかけての学習には人一倍の意識をもって取り組みましょう。

 さて具体的な2学期の学習方法についてですが、いきなり過去問に入っても構わないのですが、多くの場合まだそこに挑む程の自信が成熟していないことでしょう。そこで前段階の学習としてオススメなのが、志望大学と同レベルの問題集、例えば、国公立志望者であれば「マーク式基礎問題集(河合出版)」や同大学の単語数に合わせた「やっておきたい」シリーズ(河合出版)。私立大学志望者であれば、同じく単語数のあった「やっておきたい」シリーズ(河合出版)や、レベルにあった「英文解釈の技術」シリーズ(桐原書店)の参考書を用いて、志望大学レベルの難易度に触れておきましょう。こうした問題集に充分正答出来ていれば、過去問に挑むレベルに達していると思って構いません。あくまで自信をつけるため、知識の確認のためにこなしましょう。そうしてこれらの参考書を1,2冊済ませたら、勢いのまま志望大学の過去問に取り組んでしまいましょう。最初は時間制限なく、純粋に問題の内容が理解できるのか・単語や文法のレベルが足りているかの確認のために解答しましょう。

 最初から時間制限を遵守してみるのも刺激的ではありますが、先ずはそれを解くレベルに達しているかを1度確認して、もし達していれば思う存分解きまくりましょう。自身のレベルにあっていることを前提とすれば、過去問は基本的に早く解いたもの勝ちです。解答する際の形態は大問ごとの解答でも、1年分通しの解答でも問題ありません。時間の許す限り解き、形式に慣れ、時間配分を自分なりに構成し、足りない知識を確認する。この作業をひたすら積み重ね、自らを受験合格レベルまで一気に引き上げて行きましょう!

冬休みから本番にかけて 〜解法の最終確認〜

 2学期に受験レベルまで可能な限り近づけたうえで臨む、受験前最後の長期休み。この時期にやることとなると、これまで学習してきた内容の穴埋め、つまり僅かに残っている未定着の知識を確認し直すとともに、解答の順序や時間配分といった応用的な解法を自分の中で確立することがメインになります。この時期から新しい参考書や単語帳に手を出す必要はありません。というのもあと2,3ヶ月しかない中で新たな知識を得ようと思っても、それを定着させる前に本番を迎えてしまいかねないからです。そのため今までの自分の知識をベースに、例えば自前の単語帳に載っている派生語やコラムを覚えたりすることが、最大限できる知識の定着となります。一方で残り短い期間でも少しの意識で大きく試験の点数を変えてくれるのが、時間配分や解答順序といった解法の部分です。これまでの過去問演習や模試である程度固めてきた解法を更に精査して、最大限自分の能力を引き出せるような解法を構成しましょう。具体的には苦手単元にある程度諦めをつけて得意単元を優先的に解いたり、苦手単元を確実に得点するため時間配分を多めに割いたりなど、細かな調整まで含めます。多少かける時間が違う程度で大きな変化は無いように感じるかもしれませんが、そこで得た1点が明暗を分けることもありえます。特に国公立生や共通テスト利用を考えている受験生は、共通テスト英語というあまり時間的余裕のないスピード重視の試験に際して、最大限得点できるような解法を付けておけば必ず周りよりリードできるはずです。知識から時間配分にかけて、一抹の不安も無くなるまでひたすら演習し続けましょう。知識、解法を含めた全てのコンディションを完璧にし、本番に臨めるようにしましょう。

 

■おわりに

 今回の記事では、高校3年生向けの英語の効率的な学習法について述べさせて頂きました。上記の通り、高校3年生は1学期が始まるその時から受験期本番です。その時その時に自分が何をすべきか、どれだけのレベルの能力があれば志望大学に受かるのか。自分の現在地を逐一把握しつつやるべき事を淡々とやる姿勢があれば、どんな志望校でも夢ではありません。逆に言えば、この1年間のうち少しでも気を抜く瞬間があれば、たちまちライバルとの差は開いていきます。ここに挙げたような内容を参考に、ひたぶるに努力して頂けましたら幸いです。

 

<文/開成教育グループ 大学受験専門館 石橋教室 小島神威>