2022/04/04

関東関西有名中学入試分析【中学受験Q&A】

中学受験Q&A ご質問にお答えいたします!

 中学受験を考えている小学生や保護者の方のなかには、既に"受験勉強"に取り掛かっているご家庭もあれば、中学受験を目指すか否か、迷っていらっしゃるご家庭もあるかと思います。中学受験(中高一貫校)のメリットや注意点、中学入試に向けた"受験勉強"の関する必要事項など、特に中学受験の経験のない保護者の方にとって、中学受験や中高一貫校について「知りたいこと」はたくさんあるかと思います。
 今回は中学受験や中高一貫校に関する「知りたいこと」について、今までに開成教育グループで実施された中学受験に関するイベントや開成ベガ、個別指導学院フリーステップなどの教室現場や講師に寄せられた、中学受験に関する質問や疑問の具体例を示しながら、Q&A方式で、それらの質問や疑問にお答えしていきたいと思います。

▼index

■質問その1 中学受験や中高一貫校のメリットは?

■質問その2 中学受験のために塾通いは必要?

■質問その3 大阪(近畿圏)と東京(関東圏)で異なる点は?

\第2弾 他はこちら/
中学受験Q&A 第2弾  併願校選びのポイントは?他

中学受験Q&A 第3弾   模試は今から受験すべき?他

中学受験Q&A 特別編  受験終了後は何を勉強すべき?他

 

質問その1
中学受験や中高一貫校のメリットを教えてください。

 中学受験自体のメリットとしては、①自分で進学先(中学校)を選ぶことができる②得意科目をより深く学ぶこと、鍛えることができる、の2点を挙げることができます。

 
 ①進学先選択についてですが、公立中学校であれば(希望選択制がなされている地方自治体もありますが)原則的にはご自宅の住所に基づき、定められた中学校への進学となります。他の公立中学校に進学を希望したとしても、住所変更(予定)がなければ認められません。
他方、中学受験を実施している中学校の場合、中学校側が住所要件を定めている場合もありますが(例:自宅から本校から徒歩や公共交通機関を使い、片道90分以内の地域に、保護者と一緒に居住をしていること)、その要件をクリアできるならば、男子の場合は男子校および共学校、女子の場合は女子校および共学校のあらゆる中学校から、受験先を選ぶことが可能です。公立中学校は男女共学が原則ですが、中学受験を実施している中学校のなかには男子校または女子校、男女別学のところも数多くあり、中学受験によって男女別学の中学校を選ぶことも可能です。

 

②得意科目についてですが、小学校の成績が常に(3段階評定の)3であったり、小学校のテストでは100点満点がとれていて、より発展的な問題や難しい問題を解きたいと思う場合、中学入試の問題を解いてみることやその問題の解き方を学ぶことは良い動機づけになると思います。
このことは特に算数(数学)や理科で言えることであり、中学受験を考えず、公立中学校に進学する前提であっても、算数や理科の難しい問題を解きたい、解き方を学びたいという意欲があれば、理系の強いとされている私立中学校の算数や理科の入試問題に取り組むことは、思考力や創造力を育む面でもプラスになります。

 
他方、中高一貫校(中高一貫教育)のメリットとしては、①高校受験や大学受験にとらわれることなく、学業、部活動、課外活動など、自分のやりたいことに打ち込むことができる②中学課程・高校課程の重複を省いた効率的なカリキュラムで学習し、大学受験のための演習に多くの時間を費やせる③大学での学びたい分野、研究したい分野、将来の職業・キャリアを、早期から意識することができたり、考える機会を得やすい④公立の中学校・高校には少ない、部活動や課外活動に参加できる可能性が高まる、の4点を挙げてみたいと思います。

 

 ①と②については大学進学を前提として、①においては高校受験の時期がない分、特に部活動や課外活動、習い事などの、学修面以外の活動や鍛錬に打ち込むことができること、②においては一般的な中学校・高校であれば、中学校で既に学んだ単元やテーマを、高校で再度取り扱うということが少なく済み、そのこともあり、多くの中高一貫校の場合、高校までの履修範囲を高校2年生までには終了し、高校3年生の段階では志望校の入試科目に応じて、効率的な大学受験対策が進めることができる、ということです。

 
もっとも②については、大学受験において一般選抜(一般入試)受験を前提とした進学校とされる中高一貫校の考え方、カリキュラムであり、系列大学への"内部進学"を原則としている中高一貫校では、②の考え方とは異なるカリキュラムが組まれている学校が少なくありません。
例えば、卒業生のほぼ全員が早稲田大学に内部進学をする早稲田大学高等学院(中学入試を実施しているのは同高等学院中学部)の場合、高等学院(高校)では、外国語では英語以外に、ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語のなかから1科目の履修が3年間必要であったり、文系の大学学部進学希望であっても(一般的には理系の数学範囲となる)数学Ⅲの高校3年生段階での履修が必要となっていたりします。

 
 ③についてはいわゆる"キャリア教育"となります。公立中学校でも"キャリア教育"は実施されていますが、特に学校の歴史が長く、昔から進学校としての実績のある中高一貫校の場合、各界で活躍している卒業生が、後輩である在校生に様々な場で接する機会があります。講演や大学・職場見学、職業体験などの一般的な"キャリア教育"はもちろんですが、(先輩としての)部活動の指導や学校行事の指導・引率などを通じて、プライベート面も含めて卒業生のキャリアを知ることで、在校生は様々な職業について、リアルな見聞きがしやすくなります。

 
 ④については、公立中学校には数少ない部活動や課外活動が私立中学校のなかにはある場合がある、ということです。運動系の部活の場合、野球部、サッカー部、テニス部、バレーボール部、バスケットボール部などは多くの公立中学校にもあるかと思います。一方、例えば、馬術部、ラクロス部、ゴルフ部、ヨット部(ボート部)などは公立中学校ではなかなか見かけない部活になるかと思います。文化系においてはマンドリン部、日本舞踊、(キリスト教系の学校の場合)聖歌隊やハンドベル・クアイヤなどは私立中学校ならではの部活動と言えると思います。今までにやったことのないスポーツや習い事にチャレンジしてみたい、もしくは、既にそのスポーツや習い事をやっていて、中学・高校でよりうまくなりたい、ということを中学受験の動機とするのもいいでしょう。
 ちなみに、馬術やゴルフ、ヨットなど、お金持ちでないと経済的に難しいスポーツのイメージがありますが、部活に必要な器具は学校からの無償での貸し出しがなされる場合も多く、経済的にも学校や部活OB・OGの卒業生の支援がなされている場合が多いと聞きます。

 

質問その2
中学受験のためには、塾通いは絶対必要でしょうか?また、塾が必要な場合、集団塾、個別塾、家庭教師など、相性のいい塾や教室の選び方を教えてください。

 中学受験に限らず、学校への受験に際して、塾や予備校に通うことが合格の絶対条件、ということはありません。中学校によっては小学校での学習内容で十分対処ができたり、志望校が国語・算数の2科目(以下)の入試科目で、例えば4月で新小6生として、(算数のような学年や時期に応じての単元順学習ではない)国語だけ入試の過去問を解いてみて、志望校入試の合格最低点(得点パーセント)以上、またはマイナス10%以内であれば、今後の算数次第の面もありますが、塾なしでも志望校合格の可能性は高いと思います。

 
 他方、小学校での学習内容だけでは対応できない入試問題が課される難関中学にも、塾に通わずに合格された方のケースもあります。ただし、塾なしで難関中学や倍率の高い中学に合格された場合、保護者の方の経験値や指導力、わが子に接することができる絶対的時間数が重要になってきます。上のお子さんの中学受験の際は集団塾に通って、その経験から保護者の方が取捨選択をして、下のお子さんの中学受験の際には塾なしで、保護者の方が指導もされつつ受験をされたり、ということもあります。

 
 上記のようなことでないならば、特に4科目(国算理社)または3科目(国算理)の入試をお考えの場合は、集団(授業)塾にせよ、個別(指導)塾にせよ、中学受験に精通をした進学塾や教室を活用されるほうが無難かつ堅実だと考えます。

 
 集団塾か個別塾かどちらがいいですか?というご質問についてですが、今現在、小5生(以下)で入試問題の難易度や模試での合格偏差値が高い中学校を志望校とされている場合、当該塾の入塾テストに合格する前提にはなりますが、志望校への合格実績のある集団塾を選ぶことを基本線とされるといいでしょう。既に小6生の場合、集団塾の授業カリキュラム(既習範囲)はかなり進んでいますが、入塾テスト合格の前提で、集団塾の既習範囲をある程度学習できているのであれば、集団塾についていくことも可能です。

 
 学力や志望校以外の面でも、集団塾に通う前提としてのポイントがあります。それは授業や受験勉強に必要な曜日(回数)です。小6生に関しては(夏休み・冬休み以外の)通常期の集団塾の授業回数は週3回、週4回、週5回、週6回とまちまちです。とある中学受験の大手集団塾では、教室来塾の授業自体は週3回ですが、授業がない日の課題やプリントがあったり、パソコンを使ったオンライン教材の視聴や操作が必要だったりして、毎日の学習が必要にあります。週6回の別の大手進学塾の場合、来塾日が多い代わりに家庭で宿題はあまり出されず、予習・復習・演習も含めて、塾の教室で中学受験の勉強を全て進める、というスタンスのところもあります。いずれの場合でも、ほぼ毎日の学習時間(曜日)が必要であり、他の習い事との両立を希望する場合は非常に難しいスケジュールになります。

 
 塾ごとに授業曜日や回数が固定される集団塾に比べて、個別(指導)塾の場合は週1日から、ご自身の都合や希望に合わせて授業回数を決めることができます。授業の開始項目(テーマ)も、例えば小6生であっても、中学受験に関わる小4生の項目からスタートすることが可能です。他方、集団塾に通っている場合でも、集団塾の授業科目のフォローや演習、受験校の入試問題演習など、ご自身のニーズに合わせて併用することも可能です。同様のことは自宅来訪の家庭教師の場合にも言えるかと思います。

 
 集団塾に通わず、個別塾や家庭教師をメインに中学受験の勉強を進める場合、留意をして欲しいのが授業料(月謝)についてと授業時間・自己学習時間の学習内容のメリハリについてです。
集団塾と個別塾・家庭教師との違いは授業料の体系について言えることができます。大手の中学受験集団塾は1日〇分×〇コマが週〇回というのが決まっていて、それでいくらになります(オプション授業やテストなどが有料追加の場合もあり)、という授業料設定のところが一般的になっています。
集団塾により多少の差はありますが、中学受験(小6)の集団塾の場合、小6生が1日に受講する授業の延べ時間は120分から160分が多く、塾でお弁当を食べてという場合には1日180分以上の延べ授業時間というケースも珍しくありません。それを週3回から週6回受講します。一方、個別塾の場合、例えば個別指導学院フリーステップの場合、1授業(1コマ)は80分になります。もちろん、集団塾と同等の週あたりの授業時間を個別塾でも設定することも可能ですが、集団塾と比べて、時間あたりの授業料単価がどうしても高くなってしまう個別塾や家庭教師で集団塾と同じ授業時間水準を設定する場合、月あたりの授業料(月謝)が多くなります。

 
個別塾や家庭教師の場合、講師や家庭教師が生徒に直接指導や解説ができる時間が多くなります。指導や解説の時間が多いことはいいのですが、個別塾も家庭教師も、授業料に応じた授業時間には限りがあります。授業での解説は授業時間数を意識した、明快ながらも簡潔なものをお願いして、問題演習に関しても、授業時間内に絶対に必要なものと、宿題として後日に解いてもらうことが可能なものとのメリハリをつけた授業と宿題を、塾の講師や家庭教師に心がけてもらうことが大切です。

 

質問その3
現在は大阪に住んでいますが、仕事の関係で東京に転居することになりました。東京にある私立中学校の受験を考えることになるのですが、中学受験に関して、大阪(近畿圏)と東京(首都圏)で異なることや留意をしたほうがいいことがあれば教えてください。

 筆者自身、首都圏でも近畿圏でも中学受験の指導にあたってきました。近畿圏にはプレテスト(私立中学校自体が実施をする模試)を実施する中学校が多いが、首都圏にはプレテストはほとんど見られない(入試過去問の練習会を中学校が実施するケースはあります)ことや首都圏の場合、埼玉県、千葉県と東京都・神奈川県で、中学入試の開始日(解禁日)が異なるのに対し、近畿圏(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山の各府県)の場合、入試開始日が統一されていることなどの相違もありますが、最も大きな違いは入試科目に社会も含む4科目入試が首都圏では主流なのに対して、近畿圏では4科目入試も可能だが、社会を除いた3科目入試の実施が多いこと(社会が必須科目ではない)が最大の違いだと思います。

入試科目に社会必須が多い首都圏 社会は選択制または不要となる学校が多い近畿圏

 首都圏でも近畿圏でも、国語と算数の2科目入試で受験可能な私立中学校がたくさんあります。しかし、難関校とされる中学校を中心に、中学入試においては理科や社会の受験も必要なケースもあります。その際、首都圏の場合は国語・算数・理科・社会の4科目入試としていることがほとんどなのに対して、近畿圏の場合は4科目の中で社会は選択制としている、もしくは国語・算数・理科の3科目入試として、社会を入試科目から除外している中学校が少なからずあります。

 
 近畿圏の中学入試において、旧来から国語・算数・理科の(社会を除いた)3科目入試を実施してきたのは灘中(神戸市東灘区)、甲陽学院中(西宮市)、関西学院中(西宮市)など兵庫県にある男子校(関西学院中は現在は共学校)です。兵庫県内の女子校や大阪府、京都府など、他の近畿圏の私立中学校では、社会を含めた4科目、または国語・算数の2科目を実施したところが大半でした。

 
 近畿圏のみならず、首都圏を含めた日本全国の中学入試の中でも最難関校との評価が高い灘中が3科目入試を実施していることが、近畿圏での3科目入試の拡大に大きく影響したと考えられています。灘中との(試験日が異なる)併願先や灘中からの(同日入試の)志望校変更先とされた、兵庫県のみならず、大阪府や京都府、奈良県にある、他の難関私立中学校を中心に、それまでが国算理社の4科目入試だったのが、社会を除いた3科目入試、もしくは4科目入試も選択可能という流れとなり、その後、近畿圏の他の私立中学校にも3科入試(または4科目入試との選択制)という流れが広まっていきました。

 
 他方、首都圏においては、開成中(東京都荒川区)や桜蔭中(東京都文京区)などの進学校としても名高い中高一貫校や早稲田大学・慶應義塾大学などの有名私立大学の系列中学校など、難関校とされる私立中学校のほとんどが、国算理社の4科目入試を実施しています。国算理(社会除外)の3科目入試を実施している首都圏の私立中学校としては芝浦工業大学附属中学校(東京都江東区)を挙げることができますが、首都圏では極めて珍しいケースです。
 灘中や甲陽学院中などの兵庫県内の難関中学校で入試科目から社会が除外された理由については諸説がありますが、例えば、中学校の先生方が暗記や記憶、理解が重視される社会よりも、思考力や論理性、実証性が求められる算数や理科を、小学生に対する入試科目としては重視したことが挙げられています。または、首都圏に比べて、近畿圏には社会科学や人文科学の研究力の高い大学(私立大学を含めて)の絶対数や大学院修了者数が、首都圏と比べると少ないのに対して、近畿圏では京都大学や大阪大学など、理数系に強い大学の存在が相対的に大きく、かつ人文科学系や社会科学系に比べて、自然科学系においては多くの大学院修了者が輩出されています。それらの大学・大学院出身の数学や理科系科目専攻の先生方が、それらの中学校の教員(もちろん、入試問題も作成します)として影響力が大きいこと、などが、推察ではありますが言われています。

 

 近畿圏での中学受験を前提として、もし、今までの受験勉強では社会を除外して、国語・算数・理科の3科目の学習を進めてきたのであれば、首都圏での中学入試では社会を含めた4科目の入試が中心となるため、東京への転居の前から社会の学習を進める必要があると思います。
 個別塾に通っている場合は東京に移られた後も個別塾で学習をすることを前提に、地理分野や歴史分野の体系的な流れや特徴を塾で習い、地名や人物名、出来事などの用語の理解や記憶を家庭学習(宿題)で進めていきましょう。

 
 他方、大阪で集団塾の通われている場合は、学習事項が先に先に進んでいる集団塾での社会授業を追加受講して編入をするよりも、東京でも集団塾に通う前提であれば、まずはその集団塾の社会の(編入前後の時期)カリキュラムを確認しましょう。そのうえで、東京の集団塾に編入する時期までに学習を済ませる必要のある地理の諸事項や歴史の時代について、短期間でも活用可能な個別塾や家庭教師があればそれらを活かしながら、他の受験科目の学習と互いに負担とならない曜日や時間帯を使って学習を進めることをお勧めしたいと思います。

 

\第2弾 他はこちら/
中学受験Q&A 第2弾  併願校選びのポイントは?他

中学受験Q&A 第3弾   模試は今から受験すべき?他

中学受験Q&A 特別編  受験終了後は何を勉強すべき?他

 

<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>