2025/08/01

2025年度公立高校入試分析~過去問研究から傾向・対策を知る~【大阪府 理科・社会】

公立高校入試分析は各都府県の高校入試の対策について「どのような傾向・形式の問題が出題されるのか、それに向けてどのような対策をしていけば良いのか」を正しく理解していただくことを主な目的としています。今後の高校入試対策をより効果的・効率的なものにするために、2023年度、2024年度と2025年度の出題傾向の比較や、2025年度入試の各科目の全体概観・大問別問題分析・おすすめの解答順序、そして中学3年の8月以降の入試対策を掲載しています。

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INDEX

1.理科
2.社会

1.理科 試験時間40分 満点90点

全体概観

  • 例年通り全4分野から出題

例年通り各分野から大問1題ずつの計4題が出題されている。どの大問も、基本的な知識から応用問題まで幅広く出題されている。試験時間に対しての問題量は妥当である。

  • 実験内容からの出題が多い

どの大問においても、実験や観察の様子から関連した問題が出題されることが多いため、問題演習で実験や観察については詳しく理解しておきたい。

  • 各分野をまたいで出題されることも

各分野から固まった単元のみ出題されることもあるが、複数単元をまたぐ問題が多い。実験のレポート、対話文などから、要点を汲み取ったうえでの解答を求められる。どの単元も基本的な事項は完璧にしておきたい。

2025年度 大問別問題分析・おすすめの解答順序

大問【1】地学分野 《解答数:12 配点:23点 難易度:標準》

太陽や月など、天体に関する問題からの出題。しかし、問題文に関連して、光の速さの問題や気流に関する問題も出題されているため注意。基本的な用語を問う問題も存在するが、日食の仕組みを踏まえた上で、日周運動を理解していないと解けない問題も出されている。日々の学習では、基本的な用語に加え、物事の仕組みまで理解することを意識したい。

大問【2】物理分野 《解答数:9 配点:22点 難易度:標準》

電流と電圧、電力、抵抗などの範囲からの出題。計算問題だけでなく、電流計の読み方や基本的な用語も出題されているため、確実に正答しておきたい。(4)以降は、電流と電圧の関係から電流や電力などを求める計算や記述式での出題があり、難易度が上がっている。問題演習では、直列回路と並列回路の違いや、抵抗による電流や電圧の値の変化に注目して学習するとよい。

大問【3】生物分野 《解答数:10 配点:23点 難易度:標準》

植物の分類からその仕組み、生物の細胞や遺伝についてまでの幅広い範囲からの出題。また、地学範囲である地質年代についても関連して出題されている。知識問題で難易度も易しく、比較的考えやすいため、確実に正答しておきたい。問題演習で実験について理解しておくと、より問題文の理解が深まる。

大問【4】化学分野 《解答数:10 配点:22点 難易度:標準》

水溶液の性質からの出題。基本的な用語問題や電離式の記号選択問題は、難易度も易しいため時間をかけずに解答したい。計算問題がいくつか出題されているが、問題で提示されている溶解度曲線や、再結晶され始めた温度の表などを正確に読み取って計算を行うことがポイントである。問題演習では、質量パーセント濃度についての問題を多く解いて、問題に慣れておくことが重要である。

おすすめの大問別時間配分・解答順序

【1】8分→【2】9分→【3】8分→【4】10分→【見直し】5分

出題傾向(過去3年間)から見える入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

【出題傾向】

  • 地学分野は、2年ぶりに天体からの出題。
  • 生物分野は、3年連続で植物の体のつくりとはたらきからの出題。
  • 物理分野・化学分野は、年度ごとで出題単元に偏りが見られる。

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【入試対策】

■8~9月:今までの復習がメイン

中学1年~3年の1学期までの既習範囲を『BUILDER受験版(学書)』などの受験用問題集を用いて、一問一答形式で基礎知識中心の復習をするとよい。基本的な計算問題の解法まで正確に理解し、10月以降の演習で解法の糸口をつかめるようにすることが望ましい。

■10~12月:標準問題で演習

この段階では、受験問題集の基本問題の演習を一通り終えている状態で、標準問題を中心に演習を行いたい。大阪府立高の理科の問題は問題文が長く、解答に時間を要するため、問題文の重要な部分を意識して読み、よく問われる問題のパターンを意識して演習を積みたい。

■1月~入試:過去問で総仕上げ

直前期は、入試当日と同じ時間内でペース配分を考慮しながら過去問演習を繰り返す。出題単元に偏りが見られないため、『精選全国高校入試問題集(エデュケーショナルネットワーク)』のような問題集も併用して、全単元の入試対策を進めること。

2.社会 試験時間40分 満点90点

全体概観

  • 資料を正確に素早く読み取る問題

資料を読み取る問題が全体の約25%を占めているため、短い時間の中で資料を読み取る問題を正確に、かつ素早く解くことが求められている。

  • 日本と世界の関わり

各時代の貿易や外交、各国の産業の特徴についての問題が多く出題されている。この範囲は知識が混同しやすいため、日頃からの知識の整理が求められる。

  • 時間配分と基礎知識の定着

設問数が40問ととても多く、問題にはかなりの数の資料読み取り問題や記述問題が含まれている。解くことにあまり時間のかからない知識問題が得点源となるため、日頃から基礎知識の確認をすることが求められる。

2025年度 大問別問題分析・おすすめの解答順序

大問【1】日本の農業と工業 《解答数:9 配点:23点 難易度:標準》

日本の農業と自然環境、世界の工業の発展、世界各国の産業別の就業者数や生産額などの多岐に渡る範囲から出題されている。地理分野は、歴史や公民と比べて資料を読み取る問題が多く出題されるため、日頃の学習から資料を読み取る問題に慣れておく必要がある。

大問【2】世界に影響を受けた日本の暮らしと社会 《解答数:12 配点:24点 難易度:標準》

古代~江戸時代における日本と世界の関わり、欧米諸国の人権思想、日本における大豆の自給率や輸入量など、分野を横断した幅広い範囲から出題されている。大半は、基本的な問題で構成されているが、時系列を問う問題の難易度が高いため、歴史の学習をする際には、時代の流れを日頃から時系列順に整理しておくことが重要である。

大問【3】鎌倉時代の戦乱と江戸時代の文化と明治時代の外交 《解答数:12 配点:23点 難易度:標準》

 鎌倉時代~昭和時代と広い範囲の歴史分野について出題されている。(1)は世界史、その他は日本史の分野である。政治に関する問題は少なく、文化や貿易、産業など対策が手薄になりがちな範囲が多く出題されている。文化史は、作品とその作者をセットで覚えておきたい。

大問【4】日本の政治や経済の仕組み 《解答数:10 配点:20点 難易度:標準》

日本国憲法や日本の裁判制度、税金の仕組み、選挙制度などの公民分野から幅広く出題されている。公民の範囲は、複雑な社会の仕組みを問う問題や、資料を読み取る問題が多く出題されるため、類題を用いてこうした問題に慣れておくことが大事である。

おすすめの大問別時間配分・解答順序

【1】9分→【2】8分→【3】7分→【4】8分→【見直し】8分

出題傾向(過去3年間)から見える入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

【出題傾向】

  • 特定の分野に限らず、資料を読み取る問題が多く出題されている。
  • 日本国憲法の内容や、政治、裁判、税の仕組みを問う問題の出題率が高い。
  • 歴史分野の比重が大きい。

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【入試対策】

■8~9月:まずは基礎固め

9月までは、『BUILDER受験版(学書)』『Sirius21まとめと完成 標準編(育伸社)』を中心に、的を絞らず様々な分野の復習に時間を割く。何度も問題集を解き直し、基礎知識の定着を図る。地理・歴史分野の復習として、『1・2年の重点確認(文理)』を活用するのもよい。

■10~12月:苦手分野克服

10月以降は、返却された模試などを参考に、自分の苦手分野を把握し重点的に対策する。公民分野は学校の授業と並行して受験対策を進めていくことになるが、この期間で一通り演習を済ませ、弱点の補強まで終わらせておくこと。

■1月~入試:過去問演習

冬期講習からは本番と同じ解答時間で過去問演習を行う。入試の時間感覚を掴み、余裕を持って全て解答できるようにしたい。過去問のほかに、『BUILDER受験版(学書)』の「弱点対策」、「入試対策」や『精選全国高校入試問題集(エデュケーショナルネットワーク)』を活用するのもよい。

いかがでしたでしょうか。

公立高校入試は中学3年生のほとんどが通る大事な入試です。当記事の分析結果だけでなく、2024年度以前の過去問も必ず研究し、十分な対策をしたうえで挑み、合格を勝ち取りましょう。

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<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>