2022/02/21

2022年度 共通テスト分析【世界史編】

センター試験が廃止となり、今年で2回目となる共通テスト。2022年度世界史Bについて、昨年と同様に実際に解いて、その出題傾向と今後の対策について検討したいと思います。

 まずは大問ごとに分析をし、最後に今後の対策についてまとめていきます。

 

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【大問1】学者や知識人に関する問題

 昨年はAB2パートに分かれて、資料であるリード文の読解力が求められる問題が多く出題されていました。今回はABC3パートに分かれ、それぞれ特定の人物を題材にした

問題が出題されました。昨年は大問41問だけ出題された地図を用いた問題も出題され、文化と地域を結びつけて理解していることが求められました。

【大問2】当時の発言者の発言や観察者による記録に関する問題

 Aはウィンストン・チャーチルの『偉大な同時代人たち』を引用した資料を基に問題が出題され、資料から時代と出来事を読み取る力とが求められました。こちらも地図問題が出題されています。

 そしてBでは、アメリカ合衆国大統領の演説を基に問題が出題されました。

 いずれの問題も、資料から時代と地域、出来事を読み取り、自分の知識と結びつけて考察する力が求められました。

【大問3】世界史上の人々の交流や社会の変化に関する問題

 Aでは明治時代の政治小説に描かれた国際情勢についての授業中の対話文と、それに沿った問題が、Bでは表を利用した世界の人口の推移に関する問題が出題されました。さらにCではオセアニアの先住民をテーマとした授業中の対話文を利用した問題が出題されています。小問ごとに知識を当てはめるセンター試験とは異なり、会話文や資料の読み取りが必須となりました。

【大問4】歴史評価の多様性に関わる問題

 Aではジョージ・オーウェルのスペイン内戦の体験記を、Bでは絵画を基にした問題が出題されました。共通テストの特色として、問3が挙げられます。日本の戦時体制とファシズムが異なるものか同一視されるものか、それぞれの見方の根拠を判断することが求められました。知識としてだけではなく、十分に用語の意味などを理解していることが求められています。

【大問5】世界史上の墓や廟に関連する問題

 Aではフランク王家の墓、Bでは関帝の廟というテーマに沿った問題が出題されました。問題文を参照して考察する問題や、地図を用いた問題が出題されていました。

全体を通して

 資料の数については、昨年とほとんど変わっていません。また、リード文の読み取りを求められるようになったということも同様です。一方で、昨年は3問も出題された年代整序問題が出題されず、地図を用いた問題が1問から3問に増加したことが重要です。求められる知識自体は基礎的なものも多く、難易度としては昨年からあまり変わっていない印象ですが、教科書だけでなく資料集などをどれだけ活用できているかが得点差につながると思われます。

今後の学習について

 来年度以降の対策については、昨年の記事でもおすすめしたように、①教科書や資料集を使い、語句の暗記ではなく流れで出来事を覚えること②テーマ史を自分なりにノートにまとめてみること、③ヨコの流れ(同時代に他の地域で何が起きているのか)を意識すること、が挙げられます。また、地図を利用した問題が増えていることも踏まえ、資料集や教科書に載っている地図をしっかり確認することが必要です。ノートにまとめるときに白地図などに書き込んで自分でまとめてみると、より理解が深まるでしょう。

 高校1年生や2年生で世界史に興味があるという方は、自分が興味を持っている時代や国について本や漫画などを読んでみてはいかがでしょうか。勿論、ドラマやゲームなどでも構いません。好きなことをより追求していくことが、楽しく理解を深めていくためのポイントです。

  

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<文/開成教育グループ 個別指導部フリステウォーカー講師編集部:高山萌々子>