2026/04/13
2026年度 大学入学共通テスト 英語 ~過去問研究から傾向・対策を知る~
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、「知識・技能の活用」や「学習の過程の重視」という問題作成方針に沿って作られています。複数の文章・資料・図表を読み取り、教科書で学んだ知識と結びつけて解答を導く力や、得た情報を組み合わせて多面的に考える力が広く求められます。2026年度入試の共通テストでは、物理が過去最低の平均点を記録し、情報Ⅰも難化するなど科目間の変動が見られ、受験生には出題形式の変化に動じない冷静な対応力が求められました。本記事では、今年度の出題傾向と科目別の特徴を整理し、今後の学習にどう生かすかをわかりやすく解説します。
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数学 国語 理科①(物理・化学) 理科②(生物・地学) 地理・歴史 公民 情報Ⅰ
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INDEX |
1.英語(リーディング) 試験時間80分 満点100点
問題構成(過去2年間)
・2025年度と同様に8つの大問で構成されており、解答数や解答方式にも変化なし。本文・問題文・選択肢の総語数は約5600語で、2025年度からほぼ横ばい。難易度はやや易化している。
・2026年度は、ダンスコンテストの衣装決めや座禅のワークショップ、図書館のイベントなどの日常的なテーマから、マインドワンダリングに関する記事やスポーツとテクノロジーに関する意見と資料といった学術的なテーマまで、2025年度と同様に多様な話題から出題されている。
・これまでの学習で積み上げてきた知識のみを問うのではなく、それを思考力・判断力・表現力とともに応用する力が求められる。また、短時間で大量の英語を読む速読力、情報を正確かつ効率的に整理・処理する情報処理能力が必要である。これらの力を養うため、早い時期からさまざまなテーマ・形式の英文や資料に触れて実践的な問題に取り組む必要がある。
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2026年度 大問別問題分析
【1】読解問題(テキストメッセージ)[270語程度] 《解答数:3 配点:6点 難易度:やや易》
題材は、ダンスコンテストの衣装決めに関する、クラブメンバー4人の相談が行われているテキストメッセージ。次の日に行うことを推測する問題や、決定した衣装を選択するイラスト問題が出題されている。各メンバーの意見やそれに対する賛否を注意深く読み取る必要がある。
【2】読解問題(調査結果・コメント)[460語程度] 《解答数:4 配点:12点 難易度:やや易》
題材は、あるイギリスの大学におけるキャンパス寮の満足度調査に関するウェブサイト。調査結果に加えて、2人の住人によるコメントも出題されている。事実と意見を区別する問題では、調査結果に基づいて述べられている客観的事実と大学側の主観的な希望を区別することが重要。調査結果についての問題では、数値の言い換えや各項目における前回の調査と比較した増減などを整理しながら解くこと。
【3】読解問題(物語文)[400語程度] 《解答数:6 配点:9点 難易度:標準》
題材は、座禅のワークショップ中に経験したことについての物語。筆者がワークショップに参加した理由や、ワークショップを通して理解したことについて問われている。出来事を時系列に沿って並び替える問題も出題されており、本文の流れに沿って展開を整理することが必要。
【4】読解問題(ニュースレター草稿・コメント)[560語程度] 《解答数:4 配点:12点 難易度:標準》
題材は、英語クラブの生徒が書いたエコウィークの活動に関するニュースレターの草稿と、それに対するクラブ顧問のコメント。本文の適切な位置に指定の文章を入れる問題や、顧問の指摘に合わせて草稿に変更を加える問題などが出題されている。指摘が抽象的ではあるが、論理展開を意識すると消去法で解答することができる。普段から文章全体の論理展開を意識した読解を心がけることが重要。
【5】読解問題(チラシ・フォーム・Eメール)[800語程度] 《解答数:6 配点:16点 難易度:標準》
題材は、イギリスの図書館が主催するイベントに関するチラシと、学生によって記入された本を推薦するためのフォーム、そしてそれに対する図書館からのEメールである。チラシに記載されているイベント情報の正確な理解が問われる問題や、推薦された4冊の本の特徴と共通点から解答を選択する問題が出題されている。設問文からどの資料を参照すべきかを判断するものであるが、問3と問4は複数の資料を参照する必要がある。複数の資料からなる問題は文章量が多くなるため、設問文を先読みし、効率的に読み進めるとよい。
【6】読解問題(物語文・物語の概要)[950語程度] 《解答数:8 配点:12点 難易度:やや難》
題材は、おにぎり屋を営む店主とそこの常連である剣道部に所属する中学生の主人公の物語。登場人物の設定を読み取る問題や、物語で直接言及されていないことを推測する問題が出題されている。出来事を時系列に沿って並べる問題も出題されているが、本文の序盤・終盤以外は、時系列の流れは大きく前後することなく進んでいる。時間と場面を整理しながら読む必要がある。
【7】読解問題(記事・プレゼンスライド)[990語程度] 《解答数:6 配点:16点 難易度:標準》
題材は、マインドワンダリングに関する記事とそれに関する発表のスライド原案。スライドの空所を補う問題や、マインドワンダリングの利点を得るコツとそれに該当する生徒を選択する問題が出題されている。スライドのテーマと各段落の内容を照らし合わせて解答する形式であるため、それぞれの段落の要点をおさえながら読むことが重要。
【8】読解問題(意見文・エッセイ概要・図表資料)[1140語程度] 《解答数:7 配点:17点 難易度:やや難》
スポーツとテクノロジーに関する複数の意見や資料に基づき、3つの段階を踏んでエッセイの概要を作成する問題。2025年度と同様の形式である。意見の要約を選択する問題や、異なる5人の意見の賛否を整理する問題が出題されている。最後には、指定された立場から2つの資料をもとにエッセイの概要を作成する問題が出題されている。問題様式が多様で文章量も多いため、解答に必要な情報を設問文から特定しておくことが必要である。
●大問別時間配分・解答順序
【1】4分→【2】6分→【3】6分→【4】8分→【5】11分→【6】11分→【7】14分→【8】15分→【見直し】5分
入試対策(学習のポイント・入試本場までのスケジュール)
■学習プラン(高2~高3夏)
長文対策では精読力を養うことが重要。文法・語法、語彙の知識を強化し確実にすることで精読力を上げる。基礎知識を身につけながら構文学習を徹底して行う。文構造を素早く正確に把握できるようになればおのずと速読力も向上するため、高2までに取り組んでおきたい。さらに高2ではCEFR A2~B1(英検R準2~2級相当)レベルの力をつけることを目標にし、長文だけでなく、さまざまな種類の英文に触れておきたい。高3の1学期までにはCEFR B1(英検R2級相当)レベルの力をつけることが目標。ここでは速読力向上のため、英文を短時間で素早く正確に読む練習をしておく。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
■学習プラン(高3夏以降~入試直前)
過去問・試行調査・設問形式別問題集で演習し、スキャニング(キーワードを使って拾い読みする方法)とスキミング(文章の概要を大まかに把握する方法)を使い分けて読む練習をする。いずれも基本的な読解力があることが前提。精読力が不十分であれば構文学習をやり直す。共通テストの過去問はもちろんのこと模試の活用が非常に重要。解きっぱなしにせず、解説をしっかり読み、解法の手順を理解しながら丁寧に復習して、本番の試験に臨むこと。
出典テーマ一覧(過去10年)
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2.英語(リスニング) 試験時間60分 満点100点
問題構成(過去2年間)
・2026年度の大問数は6、小問数は37で問題数・配点ともに2025年度から変化なし。また、読み上げられる英文の総語数もほぼ同じだが、2025年度と比べて難化している。
・2025年度との最大の相違点は、より深い理解が問われる点である。すなわち、読み上げ文の細かい内容について問う問題や言い換え表現を選択させる問題、直接的な言及が無いものを消去法的に選択させる問題、さらには複数の小問を横断して読み上げ文の内容を問う問題などが出題されており、全ての大問で確実に正解するには極めて正確な読み上げ文の理解が必要になる。
・第1・2問は音声が2回流れるため難易度は低いが、第3問以降は音声が1回しか流れなくなる。特に、第5問の難易度は顕著に高く、第3・6問もそれに次ぐ難易度となっている。また、英米系のネイティブスピーカーのみならず、英語を母語としないノンネイティブスピーカーによる読み上げがある点も聞き取りの難易度を高めている。
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2026年度 大問別問題分析
【1】[A]短い英文(英文から選択)[1問につき10~15語] 《解答数:4 配点:16点 難易度:易 読み上げ回数:2回》
[B]短い英文(イラストから選択)[1問につき10~15語] 《解答数:4 配点:12点 難易度:易 読み上げ回数:2回》
短い発話が読み上げられ、その内容に一致する英文やイラストを選択する問題。語数の少なさと2回読み上げられる点から難易度は低い。Aでは言い換えが行われることが多いため、一つの単語ではなく発話の内容を根拠に選択するよう注意したい。Bでは文法を正しく捉えなければ誤った選択をしやすいため、主語(S)と補語(C)や目的語(O)に注意したい。
【2】短い対話の内容一致(イラストから選択)[1問につき37語程度] 《解答数:3 配点:12点 難易度:やや易 読み上げ回数:2回》
短い対話と質問が読み上げられ、それに適したイラストを選択する問題。語数が少なく2回読み上げられるものの、質問を適切に理解できなければ誤った選択をしてしまうため、第1問よりは難易度が高い。主な注意点は第1問のBと同様であるが、こちらは質問によって解答が変わる可能性があるため、その点も聞き逃さないよう注意したい。
【3】短い対話(語句/英文から選択)[1問につき50語程度] 《解答数:6 配点:18点 難易度:やや難 読み上げ回数:1回》
短い対話が読み上げられ、記載されている質問に適した英文を選択する問題。語数がやや多くなり、読み上げが1回になることに加え、より詳細な理解を求める問題が見られるため、難易度はやや高い。第3問では対話によって登場人物の認識や行動が変わるケースが散見され、ある一文の内容だけでは正解できないことが多い。さらに、明言されていない選択肢を消去法的に選ぶ問題もあり、確実に正解することは容易ではない。問題が読み上げられる前に質問を確認し、焦点となりそうな話題を推測して臨みたい。
【4】[A]グラフや表の内容を問う問題[170語程度] 《解答数:8 配点:8点 難易度:標準 読み上げ回数:1回》
[B]条件に合う内容を選ぶ問題[180語程度] 《解答数:1 配点:4点 難易度:標準 読み上げ回数:1回》
ある程度の長さの発話が読み上げられ、それをもとにイラストの並べ替え、表の穴埋めを行う問題。語数は多いものの、内容は単純であるため、難易度は標準的。第4問はそれまでに比べると大幅に語数が増えているが、複雑な処理が問われているわけではなく、Aであれば順序、Bであればそれぞれの対応に注目すればよい。純粋に聞き取る力を問われるため、基礎力を向上させたい。
【5】ワークシートの完成/内容一致[370語程度] 《解答数:7 配点:16点 難易度:難 読み上げ回数:1回》
非常に長い発話(講義形式)が読み上げられ、それをもとにワークシートの穴埋めなどを行う。語数の多さや内容、問題形式の複雑さがあるため、難易度は非常に高い。第5問は大学での講義という形式が取られているため、テーマがそれまでより格段に難しく、ワークシートの内容もすぐには理解できないものとなっている。さらに、その内容をもとに新たな対話を聞き、講義の内容に一致するか、図表から何が読み取れるかを問う問題もある。そのため、リスニングのスキルだけではなく、リーディングのスキルも問われる大問であるといえる。問題が読み上げられる前にワークシートと選択肢を確認し、何に解答するのか、どのような選択肢があるのかを正確に把握したい。また、その後の問題でも内容が問われるため、問題への解答と内容の理解を同時に処理することにも慣れておきたい。
【6】[A]長い対話の内容一致[170語程度] 《解答数:2 配点:6点 難易度:やや難 読み上げ回数:1回》
[B]長い対話の内容一致[210語程度] 《解答数:2 配点:8点 難易度:やや難 読み上げ回数:1回》
ある程度の長さの対話が読み上げられ、それをもとに記載されている質問に適した英文や図表を選択する問題。語数が多く、問題形式がやや複雑であるため、難易度はやや高い。第6問は対話による登場人物の認識の変化が顕著であり、その点について問う問題が多い。ただし、対話の内容は日常的なものであるため、選択肢は選びやすい。問題が読み上げられる前に質問と図表を確認し、焦点となりそうな話題を推測して臨みたい。
入試対策(学習のポイント・入試本場までのスケジュール)
■学習プラン(高2~高3夏)
英語を正しく聞き取ることができない理由には以下のようなものがある。これらを克服することが重要になってくる。
- 語彙力の不足
- 単語本来の発音を知らない
- 音の変化を知らない
- 聞き取った英語を瞬時に訳せない
③の音の変化とは、「リエゾン」と呼ばれる単語と単語がつながって別の音に変化する現象のことである。例えば、"I want you"が実際には「アイワンチュー」のように聞こえる。④については、実際には聞き取る能力の不足ではなく、速読能力が不足していることが原因である。リスニングでは流れてくる英語の意味を瞬時に理解するための速読力も同時に養う必要がある。
■学習プラン(高3夏以降~入試直前)
流れる英語の後に続いて発音するシャドウイングや、書き取りをするディクテーションが重要である。また、後半の問題になると情報量が増えるため、英語を聞き取りながらメモをとる練習も必要。また、長時間英語を聞き取るための集中力を持続させることに慣れておく必要もある。1回分の模擬問題を演習する際には、途中で休憩を挟まず、本番を想定して一気に解く練習を積んでおくことが重要である。
出題テーマ一覧(過去10年間)
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いかがでしたでしょうか。
2026年度入試の共通テストでは、2026年度で2年目を迎えた情報Ⅰの平均点は56.59点と、前年より12点以上下降しました。また2年連続で難化した物理が過去最低の平均点を記録する一方で、化学が易化するなど、科目間の変動が見られました。こうした難化の背景には、単なる難易度だけでなく、出題傾向の変化に戸惑って手が止まり、時間不足に陥るといったメンタル面の影響も無視できません。例えば数学Ⅰの大問1では、従来のような「数と式」分野ではなく、文章量の多い「集合」の問題が出題されるなど、出題パターンに変化がありました。ただし、今年度の問題も基本的な知識を問う内容であり、落ち着いて取り組めば十分対応できるはずです。
対策としては、標準的な知識の習得は大前提ですが、特定の解法パターンへの依存は禁物です。パターンが変わる可能性を常に意識し、イレギュラーな出題形式にも動じない「本質的な理解」と「知識を使いこなす力」を日頃の学習から養っておくことが、共通テスト攻略の鍵となります。
本科目だけでなく他科目も参考にして、多くの合格を勝ち取りましょう。
他科目はこちら
数学 国語 理科①(物理・化学) 理科②(生物・地学) 地理・歴史 公民 情報Ⅰ
<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>