2025/05/26

2025年度大学入学共通テスト科目別分析~過去問研究から傾向・対策を知る~【国語編】

 大学入学共通テスト 科目別分析は、大学入学共通テストの対策について、「何から始めて、どう進めるのか」を正しく理解してもらうことを主目的としています。今後の共通テスト対策をより効果的・効率的なものにするために、2024年度と2025年度の問題構成の比較や、2025年度の大問別問題分析、そして高校2年生からの入試対策を掲載しています。

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国語 試験時間90分 満点200

問題構成(過去2年間)

●試験時間は従来80分であったが、90分に延長された。また、従来出題されていた評論、小説、古文、漢文に加え、大問3に「実用的文章」が新たに追加された。これによって、大問数が4から5に、設問数は23から25に増加し、解答数は2024年度と変わらず38問である。大問数、設問数は増えたものの、ほとんどの設問の選択肢の数が5から4に減っており、大問の増加による負担の軽減がみられる。

●依然として問題に対する制限時間は多くの受験生にとって余裕のあるものではなかったことが予想される。時間配分には引き続き十分に注意していきたい。

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2025年度 本試験問題分析

1】<評論>「観光は『見る』ことである/ない――『観光のまなざし』をめぐって」(高岡文章)
《解答数:10 配点:45点 難易度:やや難》
 複数の文章を関連付けて解く問題から、一つの文章を読み解く形式に戻り、また生徒の会話形式の問題もなくなり、センター試験第一問の形式とよく似たシンプル且つオーソドックスな問題形式であった。文章の分量は例年並み。内容には社会論、文化論的な要素があり、やや硬めの文章のため、読みづらさを感じた受験生もいたのではないだろうか。筆者の主張と文章の展開を正確に読み解くことが重要である。

2】<小説>「繭の遊戯」(蜂飼耳) 《解答数:7 配点:45点 難易度:標準》
 文章の分量自体は増加しているものの、評論文と同様、一つの文章を読み解く形式で出題されている。語句の意味を問う問題もなく、選択肢の数も減り、心情や表現技法について問うシンプルな問題形式であった。ただし、傍線部周辺に答えの手掛かりとなる描写が少なく、正解を絞るのは容易ではなかっただろう。文章全体の主旨をとらえ、人物の心情の変化を正確に読み取ることが重要である。

3】<実用的文章> 《解答数:5 配点:20点 難易度:標準》
【資料Ⅰ】 『外来語に関する意識調査(全国調査)』(国立国語研究所)
【資料Ⅱ】 『分かりやすく伝える外来語言い換え手引き』(国立国語研究所「外来語」委員会編)
【資料Ⅲ】 『放送研究と調査』(NHK放送文化研究所)(202212月号)
 【文章】に対する加筆や修正に関する問題がほとんどであり、この形式は2022年に大学入試センターが発表した試作問題の第B問に似通ったものであるが、試作問題に比べるとより形式が整理され、解きやすい問題になっている。ただし、図表・資料の読み取りに慣れていない受験生にとっては時間を要するものになったであろう。まずは【文章】のテーマと問題提起を把握し、また図表や資料が何を表すものかを確認し、そのうえで問題を解くためにその図表や資料をどのように用いるかを判断する力が求められる。

4】<古文> 《解答数:7 配点:45点 難易度:やや易》
【文章Ⅰ】 『在明の別』
【文章Ⅱ】 『源氏物語』若菜下の巻
 出題された二つの文章はいずれも平安時代の作り物語である。文の分量は例年と変わらず、設問数・マーク数・選択肢の数いずれも例年と比べて減っているものの、文章自体は容易なものではないため、リード文や人物関係図をしっかり読んでおく必要がある。問一の語句の意味を問う問題は基礎的なものばかりで、いずれも単語帳に載っている重要語句であるため、確実に正解したいものである。問三は、二つの物語文を比較検討している生徒の会話形式の問題であり、【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】の内容の共通点と相違点を読み取ることを意識しながら、それぞれの本文での該当箇所の解釈を確実にしていきたい。

5】<漢文> 《解答数:7 配点:45点 難易度:やや易》
【文章Ⅰ】『論語』、『論語繹解』(皆川淇園)
【文章Ⅱ】『学資談』(田中履堂)
 二つの漢文を組み合わせた問題で、いずれの漢文も江戸時代の漢学者によって書かれた評論である。設問の形式は例年通りで、選択肢の数は減少している。紛らわしい選択肢は例年よりも減っているように思われるが、その一方で基礎知識や暗記事項だけで解ける問題も減っているように見受けられた。しかし、見慣れない形式の問題も文脈を理解できていれば解けるものが多い。単なる基礎的な知識の習得だけでなく、文の主旨理解も求められる問題となっている。

●大問別時間配分・解答順序

 【120分→【220分→【315分→【415分→【515分→【見直し】5

入試対策(学習のポイント・入試本場までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)
 まず現代文の漢字や重要語彙、古文の単語や文法、漢文の句法といった基本知識は高3の夏休みまでに固めておきたい。単語帳や参考書の知識を詰め込むだけではなく、多くの文章に触れてその中の生きた表現に注意を向けていくことが大切。その意味で内容理解に重点を置いた読解演習もこの時期に行っておきたい。わからない部分を放置せず、読解演習を通して生きた国語力を身に付けていくことがこの時期は最も重要である。これらの点を意識しつつ、現代文・古文・漢文のいずれも、遅くとも高3の夏休みが終わる頃までに、少なくとも各1冊、基礎~中堅私大入試レベル以上の読解問題集は解き終わらせておく。

新課程問題として「実用的文章」が出題されたが、今後の出題傾向が定まったとは言えない。対策として、引き続き試作問題や、各模擬試験、予想問題などで様々なパターンの実用的文章の問題に触れ、対応できる幅を広げておくことが大切である。

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)
 高3の夏休みが終わる頃から共通テストを想定した問題演習に進んでいく。国語は旧センター試験を踏襲した形式の出題が多いので、旧センター試験の過去問演習も積極的に行いたい。同時に、新傾向である「1つの大問で複数の出典を伴う形式」の問題演習もできるだけ多く行う。この時期の演習は時間配分にも注意する。演習を通して「速く正確に」解く方法を確立させる。

出典一覧(過去10年)

現代文

 現代文は、従来と変わらず評論と小説が一題ずつ出題され、センター試験のような単一の文章の読解であった。

新たに導入された大問3は、正確に資料や図表を読み取る力が求められる。

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古文

 古文は、出題頻度の高い作り物語が出題された。語句の意味に加え、センター試験ではよく見られたが近年出題されていなかった敬意の方向を単独で問う問題も出題された。

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漢文

 漢文は、出題頻度の高かった漢詩の出題はなかった。語句の意味、内容の解釈、傍線部の理由説明、書き下し文と返り点の組み合わせなど、問題形式は例年通り。

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 いかがでしたでしょうか。大学入学共通テストは国公立大学受験生にとっての一次試験というだけではありません。私立大学受験生にとっても非常に有用で、共通テスト利用・併用入試制度を利用して受験パターンを組むことで、合格の可能性が大きくなります。本科目だけでなく他科目も参考にして、多くの合格を勝ち取りましょう。

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<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>