2026/04/13

2026年度 大学入学共通テスト 地理・歴史 ~過去問研究から傾向・対策を知る~

 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、「知識・技能の活用」や「学習の過程の重視」という問題作成方針に沿って作られています。複数の文章・資料・図表を読み取り、教科書で学んだ知識と結びつけて解答を導く力や、得た情報を組み合わせて多面的に考える力が広く求められます。2026年度入試の共通テストでは、物理が過去最低の平均点を記録し、情報Ⅰも難化するなど科目間の変動が見られ、受験生には出題形式の変化に動じない冷静な対応力が求められました。本記事では、今年度の出題傾向と科目別の特徴を整理し、今後の学習にどう生かすかをわかりやすく解説します。

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英語 数学 国語 理科①(物理・化学) 理科②(生物・地学) 公民 情報Ⅰ

INDEX

1.地理総合,地理探究

2.歴史総合,日本史探究

3.歴史総合,世界史探究

1.地理総合,地理探究 試験時間60分 満点100

問題構成(過去2年間)

2025年度と形式・解答数は同じで、大問数6、解答数30であった。

・地理総合、地理探究のほぼ全分野から満遍なく出題されている。基礎的な知識を前提に、統計表やグラフなどの資料を読み取り、それらを組み合わせて考える形式の問題で構成されている。設問あたりの資料の数は多いが、2025年度と比べて比較的読み取りやすいものが多いため、全体的にやや易化しているといえる。

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2026年度 大問別問題分析

【1】[地理総合]乾燥・半乾燥地域の生活文化の多様性 《解答数:4 配点:13点 難易度:やや易》

自然環境・生活文化・産業などの単元に結びつける形での出題で、さまざまな知識を求められる総合的な大問である。比較的平易な問題が並ぶ。問4で問われているのは、ヤギの飼育頭数の「増加」の要因であることに注意したい。

【2】[地理総合]津軽平野とその周辺地域の地域調査 《解答数:4 配点:12点 難易度:やや易》

複数の資料から情報を読み取る必要があり、判読・考察や組合せ問題への対応などに手間がかかるものの、落ち着いて取り組めば難易度は高くない。資料から解答を導き出せるため、ぜひ得点源にしたい。

【3】[地理探究]世界の自然環境と自然災害 《解答数:6 配点:21点 難易度:やや難》

どの設問もスムーズに正解に到達することは難しく、全体としてやや難しい大問である。問5では、地形や気候、人口などのさまざまな知識を用いて総合的に判断することが必要である。

【4】[地理探究]衣料品類の生産,流通,再利用・再資源化 《解答数:5 配点:17点 難易度:標準》

衣料品の原料繊維生産、日本や世界のアパレル産業、流通、再資源化などを題材に多面的に出題されている。問4では凡例の判別とグラフの判別を連動させて確認し、取り違えないよう注意したい。

【5】[地理探究]人口と都市 《解答数:6 配点:20点 難易度:標準》

人口・都市に関する統計データの判別を中心とした大問。どの設問も標準的な難易度である。問3の人口の自然増加率と人口ピラミッドの関係は頻出。先進国と発展途上国においてどのような差異が生まれるかをおさえておきたい。

【6】[地理探究]ドナウ川,ナイル川,メコン川の流域 《解答数:5 配点:17点 難易度:標準》

「河川流域の地誌」は難関私大で頻出のテーマであるが、本大問は標準的かつ総合的な内容で構成されている。寺院建築の特徴やヨーロッパの地域別工業化の現状、地域統合の政策など、一定の知識も必要となる。

●大問別時間配分・解答順序

【1】6分→【2】6分→【3】12分→【4】10分→【5】11分→【6】10分→【見直し】5

入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

教科書範囲の自然・資源・産業・生活文化・地誌など、各分野について知識を習得しておきたい。さらに、学校の教科書・地図帳や市販の共通テスト対策の参考書を活用して、高3の夏までに全範囲の学習を完了しておくとよい。

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

資料や図表の増加に伴い読み取りに時間がかかる問題が多くなっているため、資料を素早く正確に読み取る力を鍛えていく必要がある。地理的事象の因果関係や背景は、図表に整理してまとめると理解が深まる。学習時には地図帳を常に手元に置き、位置関係や地域的な特色を確認するよう心がけておきたい。

演習では、まず『マーク式基礎問題集 地理総合・地理探究』(河合出版)を分野ごとに解き、あいまいな用語や知識を整理して定着させる。次に『共通テスト総合問題集 地理総合・地理探究』(河合出版)で全分野を通して演習し、苦手分野を洗い出しながら共通テスト特有の出題形式に次第になれるとよい。

出題分野(過去10年間 ※地理総合は2025年度のみ)

・地理総合,地理探究のほぼ全分野から満遍なく出題されている。

・地形、気候、工業、都市・村落の関係などは過去10年間すべてで出題されている。また、人口、自然環境なども頻出である。いずれの分野も、知識としての暗記のみでは高得点を狙えない。

・地誌学分野について、2026年度は3つの国際河川の流域についての地誌が出題されている。また、2022年度以降は日本を対象とした地域調査(地誌)が1題出題される傾向が続いている。

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2.歴史総合,日本史探究 試験時間60分 満点100点

問題構成(過去2年間)

・大問は全6問。大問全体の出題傾向は2025年度と同じく、大問1は歴史総合、大問2は古代~近代のテーマ史、大問3~6はそれぞれ古代、中世、近世、近現代から出題されている。内容をまとめたノート・図表・資料など出題形式が多様で、情報を正確に読み取り、整理する力が求められる。

・大問1は歴史総合の分野で、日本史探究の知識だけでは解き切れない問題である。時代背景や文章中の情報を組み合わせて解く必要がある。

・解答を組み合わせて答える問題が多いため、部分的な理解では得点につながりにくい。また、2025年度には出題されていなかった完答問題も出題されている。

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2026年度 大問別問題分析

【1】[歴史総合]災害の歴史 《解答数:8 配点:25点 難易度:標準》

歴史上の災害とその後の対応についての問題が出題されている。パネルや表、グラフなどから読み取れる様々な情報を適切に処理する力が求められる。情報の読み取りの比重は大きいが、求められる知識は時代背景に関するものも含めて全体的にほぼ基本レベルといえる。

【2】[日本史探究]網漁に着目した古代~近代史 《解答数:5 配点:15点 難易度:標準》

縄文・鎌倉・江戸など、各時代の「網漁」に関連する内容から出題。図とノートを正確に対応させて読み取る力が必要となる。問2は情報量が多いが、落ち着いて読み込めば解ける問題である。

【3】[日本史探究]資料から見る古代の出来事《解答数:6 配点:15点 難易度:標準》

伴大納言絵巻に関する設問が中心。古代の知識と資料の内容を組み合わせて解く問題であり、時代の特徴や人物の知識が必要。完答型問題が出題されており、選択肢が多く紛らわしいものもあるため対策が重要となる。

【4】[日本史探究]中世における女性と政治《解答数:5 配点:15点 難易度:標準》

中世の女性の活躍に着目した大問。それぞれの人物が関わった出来事や時代の特徴から判断できる選択肢も多い。今回取り上げられている北条政子や日野富子は出題されやすい人物であるため、対策しておきたい。また、テーマを通して「時代を超えた変化」にも目を向けるとよい。

【5】[日本史探究]近世の城郭《解答数:5 配点:15点 難易度:標準》

城郭を中心に、関連する文化や政策に関する問題が出題されている。問4では城郭の概念図を扱うが、城下町などの基本知識があれば対応できる。文化分野は、文化とその時代の特徴を結びつけて覚えると解きやすい。

【6】[日本史探究]近現代の日本の政治《解答数:5 配点:15点 難易度:標準》

近現代の政治分野についての大問。近現代の政治的知識が必要であり、時代整序などの難易度の高い問題も出題されている。ただ用語を暗記するだけでなく、時代の流れもしっかり把握しておきたい。

●大問別時間配分・解答順序

【1】8分→【2】8分→【3】8分→【4】8分→【5】8分→【6】8分→【見直し】12

入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

学校の授業の進捗状況に関係なく、遅くとも高3の夏休みまでには高校範囲の基礎知識を一通り固めておきたい。また、史資料や図表の読み取りにも早い時期から慣れておく必要があるため、それらを用いた問題演習も知識固めと並行して進めていく。なお、日本史と古文は相互に関連性が強い。文献資料を読み誤らない程度の古文読解力も身につけておきたい。

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

高3の夏休みから10月頃にかけては、問題演習を通して知識面で不安のある時代や分野をなくすことを優先する。思考力重視の共通テストも、そのほとんどは教科書レベルの知識を前提にした問題であるため、知識固めはおろそかにしないこと。共通テスト形式の問題演習やセンター試験の過去問演習は、知識固めに目処がついた段階で10月頃から開始すればよい。日本史はセンター試験の問題形式が共通テストにもかなり踏襲されているため、過去問演習は積極的に行っておくべき。特に資料や図表の情報を読み取る力は、過去問に限らずできるだけ多くの問題に触れて磨いておきたい。

また、「歴史総合」では世界史の近現代史もあわせて学ぶ必要があるため、地域や時代をまたいで比較し、関連づけて考える視点を日頃から意識しておくとよい。

出題分野(過去10年間 ※歴史総合は2025・2026年度のみ)

2026年度は江戸時代後半から明治時代にかけては出題されていないが、その他の時代は満遍なく出題されている。

・出題範囲の広い江戸時代は毎年多様な側面から出題されているが、経済の分野はほぼ毎年出題されている。

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3.歴史総合,世界史探究 試験時間60分 満点100

問題構成(過去2年間)

・大問数は5問で、設問数・解答数ともに2025年度から変化はない。【1】が歴史総合、それ以外の大問が世界史探究の範囲から出題されている。

2025年度と比べると出題分野は狭められており、1つの分野から複数の問題が出題されるようになっている。

・知識がなくても資料を読み取るだけで解ける設問があり、取り組みやすい問題は増えている。一方で、出題頻度の低い知識を要する設問も含まれるため、難易度は2025年度と同程度か、それ以上である。

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2026年度 大問別問題分析

【1】[歴史総合]近現代における都市の変容 《解答数:8 配点:25点 難易度:やや易》

[A]パリと東京の変容 [B]植民地化されたアジアの都市

 都市の変容に着目した内容である。ノートや地図などの資料を読むだけで判断でき、知識が不要の問題がいくつかある。また、なじみが薄い知識を含む問題が出題されているが、基本的な知識があれば消去法で答えを絞れる問題が多いため、難易度は低めになっている。

【2】[世界史探究]世界史上における様々な法とその運用 《解答数:7 配点:21点 難易度:標準》

[A]中国唐代の法 [B]中世ヨーロッパの慣習法 [C]世界史の中の法廷

様々な時代、地域の法に着目した内容である。知識を問う問題と、会話や資料を読むことで判断できる問題が各パートでセットになっており、難易度としてはそれほど高くない。

【3】[世界史探究]歴史に触れるきっかけや伝える手段 《解答数:6 配点:18点 難易度:やや難》

[A]フランス革命を描いたマンガ [B]歴史を伝える手段 [C]アルマティの女性兵士像

歴史をテーマにした文芸、美術作品などについての大問である。用語の暗記だけでなくその詳しい内容まで理解しておく必要がある問題も含まれるため、注意が必要である。また、問2のオランプ=ド=グージュは昨今の世界史の入試問題で扱われる機会が多くなっている。

【4】[世界史探究]「帝国」のあり方 《解答数:6 配点18点 難易度:標準》

[A]ローマ帝国 [B]ムガル帝国 [C]スペイン南米植民地とアメリカ合衆国

様々な時代・地域の帝国に着目した内容である。用語の意味を理解したうえで判断させる問題や、帝国の版図を問う問題もあり、少し難易度が高く感じられるが、必要な知識は出題頻度が高いものから中程度のものが中心である。

【5】[世界史探究]税制度と社会変容 《解答数:5 配点18点 難易度:標準》

 様々な時代・地域の税制度に着目した内容である。必要な知識は出題頻度の高いものが中心で、資料から読み取れる情報と知識を組み合わせて答える力が求められる。問5では、大問全体の流れを正しく把握できているか、また資料を的確に読めているかが問われている。

●大問別時間配分・解答順序

【1】13分→【2】11分→【3】9分→【4】9分→【5】8分→【見直し】10

入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

学校の授業の進捗状況に関係なく、遅くとも高3の夏休みまでには高校範囲の基礎知識を一通り固めておきたい。また、史資料や図表に触れ、その内容を読み取りながら考える機会を増やすことも重要である。授業や学習の中でその機会を増やすだけでなく、ニュースや日常で目に触れる事柄の中で関心を持ったものについて、関連する史資料や図表を自分で調べてみるのも有効である。

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

高3の夏休みから10月頃にかけては、問題演習を通して教科書レベルの知識の定着の確認を行う。教材には「世界史探究 詳説世界史ノート」(山川出版社)および「高校新演習スタンダード 世界史探究上・下」(日本教材出版)」の演習問題を用いる。間違えた問題は、必ず教科書に戻って内容を復習すること。共通テストは思考力を重視しているとはいえ、多くの設問は教科書レベルの知識を前提としている。そのため、知識面で不安のある時代や分野を無くすことを優先する。

11月からは共通テスト用の対策問題集や過去問を中心に取り組む。アウトプットの力を高めることはもちろん、共通テスト特有の資料や図表等の情報読み取る形式の問題にも慣れておくようにする。

出題分野(過去10年間 ※歴史総合は2025・2026年度のみ)

・歴史総合の出題分野は2025年度とほとんど変わらず、出題分野に偏りがある。

・世界史探究では、アヘン戦争以前の中国史や帝国主義による植民地支配、第二次世界大戦関連の問題が出題されやすい傾向にある。一方で、イギリス革命や1718世紀のヨーロッパ文化、20世紀の文化は過去10年で一度も出題されていない。

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いかがでしたでしょうか。

2026年度入試の共通テストでは、2026年度で2年目を迎えた情報Ⅰの平均点は56.59点と、前年より12点以上下降しました。また2年連続で難化した物理が過去最低の平均点を記録する一方で、化学が易化するなど、科目間の変動が見られました。こうした難化の背景には、単なる難易度だけでなく、出題傾向の変化に戸惑って手が止まり、時間不足に陥るといったメンタル面の影響も無視できません。例えば数学Ⅰの大問1では、従来のような「数と式」分野ではなく、文章量の多い「集合」の問題が出題されるなど、出題パターンに変化がありました。ただし、今年度の問題も基本的な知識を問う内容であり、落ち着いて取り組めば十分対応できるはずです。

対策としては、標準的な知識の習得は大前提ですが、特定の解法パターンへの依存は禁物です。パターンが変わる可能性を常に意識し、イレギュラーな出題形式にも動じない「本質的な理解」と「知識を使いこなす力」を日頃の学習から養っておくことが、共通テスト攻略の鍵となります。

本科目だけでなく他科目も参考にして、多くの合格を勝ち取りましょう。

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<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>