2026/04/13

2026年度 大学入学共通テスト 数学 ~過去問研究から傾向・対策を知る~

 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、「知識・技能の活用」や「学習の過程の重視」という問題作成方針に沿って作られています。複数の文章・資料・図表を読み取り、教科書で学んだ知識と結びつけて解答を導く力や、得た情報を組み合わせて多面的に考える力が広く求められます。2026年度入試の共通テストでは、物理が過去最低の平均点を記録し、情報Ⅰも難化するなど科目間の変動が見られ、受験生には出題形式の変化に動じない冷静な対応力が求められました。本記事では、今年度の出題傾向と科目別の特徴を整理し、今後の学習にどう生かすかをわかりやすく解説します。

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英語 国語 理科①(物理・化学) 理科②(生物・地学) 地理・歴史 公民 情報Ⅰ

INDEX

1.数学Ⅰ,数学A

2.数学Ⅱ,数学B,数学C

1.数学Ⅰ,数学A 試験時間70分 満点100

問題構成(過去2年間)

2025年度と同様に全問必答となっている。解答数も2025年度と変わっていない。

2025年度と比較すると文章量、計算量ともにやや減少している。

・共通テスト特有の誘導問題を解かせた後に、異なる設定で同じ考え方を用いる問題が多く出題されている。誘導の意図を理解し、その手順を適切に活用しないと高得点は難しいため、全体的にやや難易度が上がっているといえる。

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2026年度 大問別問題分析

【1】[1]集合と命題 《解答数:5 配点:10点 難易度:標準》

集合と命題からの出題であり、集合の要素を正の公約数によって定める問題である。頻出であった数と式の範囲からの出題がなく、受験生は少なからず戸惑いがあったであろう。集合の要素の定義がやや分かりづらいが、具体例から考えると比較的理解しやすい。順番に解き進めていくことが最後の問題を解くための誘導になっており、うまく流れにのることができた受験生は比較的解きやすかったと思われる。

[2]図形と計量 《解答数:8 配点:20点 難易度:やや難》

対角の和が180°である四角形の面積と、それを利用して円と3本の接線によって作られる三角形の辺の長さを求める問題である。中盤までは丁寧な誘導がついているが、最後の問題は一から誘導に沿って解きなおす必要があり、計算が複雑かつ図の状況も異なるため、得点に差がついたと思われる。

【2】[1]二次関数 《解答数:6 配点:15点 難易度:標準》

二次関数の定義域付きの最大値・最小値を考察する問題である。与えられている条件が見慣れない形式のため、取り組みにくい問題であるといえる。定義域付きの二次関数が、どのような値で最大値・最小値をとるかを理解しているかが問われる。

[2]データの分析 《解答数:5 配点:15点 難易度:標準》

東京オリンピック男子1500m自由形の予選で計測されたタイムのデータに関する問題である。散布図、箱ひげ図の読み取りや相関係数、四分位範囲などのデータの値を求める問題など、標準的な難易度の問題がほとんどである。また、外れ値の決め方から四分位範囲を求めるという目新しい問題も出題されている。

【3】図形の性質 《解答数:7 配点:20点 難易度:標準》

 三角錐の体積を求める問題で、空間図形において特定の平面に着目し、方べきの定理やメネラウスの定理などを用いることがポイントになる。中盤までの誘導は丁寧であるため、誘導の考え方に沿って解き進められるかどうかで差がついたと考えられる。

【4】確率 《解答数:8 配点:20点 難易度:標準》

リーグ戦形式で3人、または4人が対戦し、優勝者に選ばれる確率を計算する問題である。4人の場合が少し考えにくいが、設問ごとに場合分けされているため、状況を整理しながら一つずつ丁寧に処理をしていく必要がある。ほかの3人の対戦結果のパターンを漏れなく数え上げるところがやや複雑である。

●大問別時間配分・解答順序

【1】20分→【2】20分→【3】12分→【4】13分【見直し】5分

入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

定理や用語、ならびに基本的な解法を身につけ、教科書の例題および練習問題を確実に解けるようにすることが重要になる。その際、以下の問題集や参考書を用いるのが効果的である。

・各種教科書および教科書傍用問題集(高2)

・『チャート式 解法と演習 数学+A(黄チャート)』(数研出版)(高2~高3夏)

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

苦手分野や定着していない解法・公式の習得に加え、共通テスト特有の誘導に従った解答に慣れる必要がある。また制限時間内に解く練習を進めるにあたって、大問ごとにどのくらい時間をかけるのか、どの順番で解くのかといった戦略を練った上で、当日を迎えられるようにする。以下の問題集や参考書を用いるのが効果的。

・『チャート式 大学入学共通テスト対策数学A+C』(数研出版)

・『共通テスト総合問題集 数学+A』(河合出版)

・共通テスト過去問

出題分野(過去10年間)

・図形の性質の基本的な定理とデータの分析の散布図、ヒストグラムは必ず出題されている。

・2次関数のグラフや正弦定理・余弦定理も出題率が非常に高い。

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2.数学Ⅱ,数学B,数学C 試験時間70分 満点100

問題構成(過去2年間)

2025年度と比較すると、ページ数・解答数ともにやや増加しているため、必要な情報のみを読み取って解答する能力が重要になる。

2026年度では、例年出題されていた「指数関数・対数関数」が出題されず、代わって「図形と方程式」に関する大問が出題された。

・丁寧な誘導問題が多く、計算量も比較的少なめであるため取り組みやすい問題も多いが、あまり出題されることのなかった円についての問題や、平面上の曲線と複素数平面の融合問題なども出題されており、全体としては例年並みの難易度といえる。

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2026年度 大問別問題分析

【1】図形と方程式 《解答数:7 配点:15点 難易度:やや易》

2円の位置関係と不等式の表す領域を求める問題である。計算量が少なく比較的取り組みやすい問題といえる。終盤の領域の問題はやや難しいが、誘導が丁寧であるため図形と不等式が表す領域との対応関係をつかみながら完答を目指したい。

【2】三角関数 《解答数:8 配点:15点 難易度:標準》

三角関数の「和を積になおす公式」を用いて、与えられた関数の最大値を求める問題である。中盤までは丁寧な誘導が付いているため、あまり時間をかけずに完答したい。後半でも同じ方針を用いるが、公式に慣れていないと設問の誘導の意図に気づきにくい問題である。

【3】微分法・積分法 《解答数:11 配点:22点 難易度:標準》

微分法・積分法の計算と、グラフに表した際の理解度が問われる問題である。特に3次関数の積分計算が本試験で問われたのは初めてである。終盤で条件が増えるにつれて条件を満たすグラフが絞られていく問題は、導関数の値と関数の増減の関係を理解しているかどうかが問われている。

【4】数列 《解答数:8 配点:16点 難易度:やや難》

誘導に従って階差数列の和を求める問題である。中盤までは丁寧な誘導が付いているため正解したい。最後の問題は誘導と同じ発想を自分で用いたうえで計算しなければならない。完答するには時間と正確な計算力が必要な問題といえる。

【5】統計的な推測 《解答数:8 配点:16点 難易度:やや易》

正規分布・二項分布と仮説検定についての理解度を求められる問題であり、全体を通して丁寧な誘導が付いている。仮説検定では母比率の推定の問題が出題され、抽出された標本の大きさによって仮説検定の結果がどのように変化するかが問われる、比較的理解しやすい問題である。

【6】平面ベクトル 《解答数:8 配点:16点 難易度:やや易》

ベクトル方程式によって定められる点Pに関する問題である。前半は誘導に従って式変形をすることで解答できるため、あまり時間をかけずに完答したい。後半の点の存在する範囲については、ベクトル方程式の係数がもつ意味を理解していると容易に解くことができる。

【7】複素数平面・平面上の曲線 《解答数:9 配点:16点 難易度:やや易》

複素数平面上の点が描く図形に関する問題であり、その軌跡が楕円となる2分野の融合問題である。複素数平面の極形式による処理と媒介変数表示、二次曲線の方程式の係数のもつ意味などの理解が問われる。誘導が丁寧であるため、解く方針は立てやすい。

●大問別時間配分・解答順序

[Ⅰ]【1】10分→【2】10分→【3】15分→【4】10分→【5】10分→【6】10分→【見直し】5分

[Ⅱ]【1】10分→【2】10分→【3】15分→【4】10分→【6】10分→【7】10分→【見直し】5分

[Ⅲ]【1】10分→【2】10分→【3】15分→【4】10分→【5】10分→【7】10分→【見直し】5分

[Ⅳ]【1】10分→【2】10分→【3】15分→【5】10分→【6】10分→【7】10分→【見直し】5分

入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

基本的な解法及び計算力を身につける一方で、与えられた状況を見極められるようになる必要がある。数学IAも必要となるため、計画的に進めなくてはならない。その際、以下の問題集や参考書を用いるのが効果的である。

・各種教科書及び教科書傍用問題集

・『チャート式 解法と演習 数学Ⅱ+B、数学C(黄チャート)』(数研出版)

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

苦手分野や定着していない解法・公式の習得に加え、共通テスト特有の誘導に従った解答に慣れる必要がある。また制限時間内に解く練習を進めるにあたって、大問ごとにどのくらい時間をかけるのか、どの順番で解くのかといった戦略を練った上で、当日を迎えられるようにする。以下の問題集や参考書を用いるのが効果的。

・共通テスト過去問

・『共通テスト総合問題集 数学Ⅱ,数学B,数学C』(河合出版)

出題分野(過去10年間)

・微積分の極値・最大最小、面積や、統計的な推測の確率分布、二項分布,正規分布は必ず出題されている。

2026年度は出題されていないが、指数・対数の計算も頻出である。

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いかがでしたでしょうか。

2026年度入試の共通テストでは、2026年度で2年目を迎えた情報Ⅰの平均点は56.59点と、前年より12点以上下降しました。また2年連続で難化した物理が過去最低の平均点を記録する一方で、化学が易化するなど、科目間の変動が見られました。こうした難化の背景には、単なる難易度だけでなく、出題傾向の変化に戸惑って手が止まり、時間不足に陥るといったメンタル面の影響も無視できません。例えば数学Ⅰの大問1では、従来のような「数と式」分野ではなく、文章量の多い「集合」の問題が出題されるなど、出題パターンに変化がありました。ただし、今年度の問題も基本的な知識を問う内容であり、落ち着いて取り組めば十分対応できるはずです。

対策としては、標準的な知識の習得は大前提ですが、特定の解法パターンへの依存は禁物です。パターンが変わる可能性を常に意識し、イレギュラーな出題形式にも動じない「本質的な理解」と「知識を使いこなす力」を日頃の学習から養っておくことが、共通テスト攻略の鍵となります。

本科目だけでなく他科目も参考にして、多くの合格を勝ち取りましょう。

他科目はこちら
英語 国語 理科①(物理・化学) 理科②(生物・地学) 地理・歴史 公民 情報Ⅰ

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>