2026/04/13

2026年度 大学入学共通テスト 生物・地学 ~過去問研究から傾向・対策を知る~

 大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、「知識・技能の活用」や「学習の過程の重視」という問題作成方針に沿って作られています。複数の文章・資料・図表を読み取り、教科書で学んだ知識と結びつけて解答を導く力や、得た情報を組み合わせて多面的に考える力が広く求められます。2026年度入試の共通テストでは、物理が過去最低の平均点を記録し、情報Ⅰも難化するなど科目間の変動が見られ、受験生には出題形式の変化に動じない冷静な対応力が求められました。本記事では、今年度の出題傾向と科目別の特徴を整理し、今後の学習にどう生かすかをわかりやすく解説します。

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英語 数学 国語 理科①(物理・化学) 地理・歴史 公民 情報Ⅰ

INDEX

1.生物基礎

2.生物

3.地学基礎

1.生物基礎 試験時間 60分(他の基礎科目1科目と合わせての試験時間) 満点50点

問題構成(過去2年間)

・大問数は3問、設問数は15問、解答数は16問である。2025年度と比べて設問数・解答数ともに1問減っている。

・出題形式は正誤判断、実験結果の考察が中心である。2025年度と比べると知識問題の割合が減り、考察問題の割合が増えているため、その点を意識した対策が必要である。全体的な難易度は、2025年度と比較して易化している。

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2026年度 大問別問題分析

【1】[A]細胞、代謝 [B]DNA複製、遺伝情報 《解答数:5 配点:16点 難易度:標準》

[A]では、細胞、代謝に関する問題が出題されている。問1は知識問題なのであまり時間をかけずに解答し、問2・問3の考察問題に時間を割きたい。

[B]では、DNA複製、遺伝情報に関する知識問題、計算問題が出題されている。問4・問5ともに正確な知識が必要であるが標準レベルの問題なので正解したい。

【2】[A]自律神経、ホルモン [B]免疫 《解答数:6 配点:18点 難易度:やや易》

[A]では、自律神経やホルモンに関する問題が出題されている。問1・問2は基本的な難易度の知識問題であるため確実に正解したい。問3は実験結果から考察する問題であるため時間を要する。

[B]では、免疫に関する問題が出題されている。問4・問5は基本的な難易度の知識問題であるため、あまり時間をかけずに解答したい。問6は考察問題であるが正確な知識も要求される問題である。

【3】[A]植生と遷移 [B]生態系 《解答数:5 配点:16点 難易度:やや易》

[A]は、植生と遷移に関する問題。問1・問3は基礎的な難易度の知識問題であるため、短時間での完答を目指したい。問2は提示されている図表が多いため、情報を整理する力が問われる。

[B]は、生態系に関する問題。問4は知識問題であるため確実に正解したい。問5は考察問題であり、「生態系のバランスと保全」という出題率の低い分野からの出題である。2つの実験の結果から丁寧に読み解いていく必要があり、この問題に時間をかける余裕を持てるかが高得点のカギとなるといえる。

●大問別時間配分・解答順序

【1】9分→【2】8分→【3】8分→【見直し】5分

入試対策(学習のポイント・入試直前までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

解答に必要な知識は教科書の範囲内に限られるため、教科書の知識と理解が身についていれば解けるように問題が作られている。まずは教科書に載っていることを体系的に身につけることから始める。『高校新演習スタンダード生物基礎』(日本教材出版)を用いて、学校の授業と並行して予習・復習し、学校の傍用問題集などを用いて既習範囲を復習して対策する。

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

知識を「使える知識」にするため、基本~標準レベルの問題集で演習を重ねたい。教科書内容を理解したつもりでも、実際に解くと答えられないことは多い。教科書と違う切り口で問われることも多く、その都度「知識をどう使うか」を考えることで定着が進む。『マーク式基礎問題集 生物基礎』(河合出版)は分野別に演習し、抜けている公式の確認と知識の定着を図る。さらに、『共通テスト総合問題集 生物基礎』(河合出版)で全分野をまとめて演習し、苦手単元や出題形式を洗い出しながら入試問題に慣れていきたい。

出題分野(過去10年間)

・細胞とエネルギー、遺伝情報とDNA、免疫などが特に頻出。

2026年度も、2025年度と同じく出題範囲に極端な偏りはなく、「生物と遺伝子」、「生物の体内環境の維持」、「生物の多様性と生態系」の3分野からまんべんなく出題されている。

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2.生物 試験時間60分 満点100点

問題構成(過去2年間)

2025年度は大問5が[A][B]の2部構成であったが、2026年度は1部構成である。そのため、解答数は各大問5問ずつに均等に配分されている。なお、全体の解答数に変化はなく、25問である。

・全体としてはやや易化した印象である。ただし、複数の実験とその結果を踏まえて考察させる、共通テスト特有の思考力を問う設問は引き続き出題されている。

・特定の単元に偏ることなく、幅広い分野から出題されている。会話文に基づいた問題など目新しい形式の問題は出題されていない。

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2026年度 大問別問題分析

【1】人類の進化、遺伝情報の発現《解答数:5 配点:20点 難易度:標準》

人類の進化から発展して遺伝情報の発現について考える問題である。電気泳動の結果やアミノ酸配列の推測問題があり、情報を整理する力が必要な問題となっている。問4のようなアミノ酸配列の考察問題を解くためには、遺伝情報の発現や組み換えについて理解している必要がある。

【2】生命現象とタンパク質《解答数:5 配点:20点 難易度:標準》

生命現象とタンパク質について考える問題である。問2・問3では見慣れない実験が行われていて一見難しそうに感じるが、実験の条件を整理しながらグラフと照らし合わせることで解くことができる。

【3】発生と遺伝子発現調節《解答数:5 配点:20点 難易度:やや難》

ショウジョウバエの発生と発現調節について考える問題である。発生と発現調節について仕組みをしっかりと理解したうえで実験結果から考察する力が必要とされるため、やや難しくなっている。

【4】動物の行動、植物の環境応答《解答数:5 配点:20点 難易度:やや易》

動物の行動と植物の環境応答について考える問題である。実験考察問題ではあるが、知識問題に近い形式であるため、比較的易しくなっている。問2を解くためには、植物ホルモンの特徴を理解している必要がある。

【5】人間活動と生態系の保全、炭素・窒素同化《解答数:5  配点:20点 難易度:標準》

人間活動と生態系の保全から発展して、炭素同化・窒素同化について考える問題である。植物に関する問題でよくみられる、グラフの読み取り問題が中心になっている。特に問3・問4では、問題文の情報を正しく整理しながら選択肢を吟味する力が必要となる。

●大問別時間配分・解答順序

【1】12分→【2】10分→【3】12分→【4】10分→【5】11分→【見直し】5分

入試対策(学習ポイント・入試本番までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

初見の考察問題が出題されても、解答に必要な知識は教科書の範囲内に限られるため、教科書知識が定着していれば解けるように作られている。まずは教科書に載っている事項を体系的に身につけたい。入試の考察問題は用語の丸暗記では対応できないものが多いため、用語の意味だけでなく、内容を自分の言葉で説明できるレベルまで基礎を固めておくことが理想である。『高校新演習スタンダード生物』(日本教材出版)などを用いて学校の授業と並行して予習・復習を進め、学校の傍用問題集で既習範囲を復習していくとよい。

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

学校の定期テストは知識問題の割合が高い傾向にあるため、考察力を要する入試問題とのギャップを埋める必要がある。そのため、『生物重要問題集』(数研出版)などを用いて標準・応用レベルの問題に取り組んでいくとよい。夏以降も演習を継続しながら、抜けている知識や公式の確認・定着を同時に進める。秋以降は、共通テストや志望校の過去問、対策問題集に取り組み、出題傾向への対応力を高めていくとよい。

出題分野(過去10年間)

・植物の環境応答と、進化の仕組みは、過去10回中9回出題されている。

・動物の配偶子形成と受精のみ過去10年で一度も出題がないが、それらを除くと全単元網羅的に出題されているため、分野を問わず満遍なく学習する必要がある。

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3.地学基礎 試験時間 60分(他の基礎科目1科目と合わせての試験時間) 満点50点

問題構成(過去2年間)

・大問数は4問、設問数は15問で、2025年度と同じである。ただし、2026年度は大問2AB2部構成になっている。

2026年度は2025年度に比べて知識問題が減少し、計算問題のような思考力が問われる問題が複数出題されている。

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2026年度 大問別問題分析

【1】[A]地球の構造と地震[B]火山と岩石[C]生物の大量絶滅と地質構造 《解答数:6 配点:20点 難易度:やや難》

 基本的な知識問題が多く出題されているため、確実に正解したい。ただし、[A]の問2の「地震の発生時刻」を求める設問のように、思考力を要する問題も含まれる。したがって、知識問題は手早く解答し、思考問題に十分な時間を割けるようにしたい。さらに[C]の問5では、白亜紀の隕石衝突による大量絶滅の証拠を問う内容であり、難度の高い設問も出題されている。

【2】[A]大気 [B]海洋 《解答数:3 配点:10点 難易度:標準》

[A]では、天気図や大気の循環に関する問題が出題されている。計算はないが、思考力で差がつく問題であるため、天気や大気循環のメカニズムを理解しておくことで高得点につながる。

[B]では、海域ごとの酸素飽和度の違いがテーマとなっている。文章やグラフなど、与えられた情報をもとに問題を解くということに慣れておきたい。

【3】[A]宇宙と太陽 [B]太陽系 《解答数:3 配点:10点 難易度:やや易》

[A]では、宇宙がいつ、どのように誕生したかという知識が問われている。一方[B]では、実際とは異なる太陽系の状況を想定したうえで、宇宙で起こる現象について考える問題が出題されている。このような出題は珍しく、問題集にもあまり載っていない出題パターンである。見慣れない問題が出題されても冷静に対応できるよう、知識だけでなく理解まで含めて補強しておきたい。

【4】自然災害 《解答数:3 配点:10点 難易度:やや易》

津波や土石流など日本で起こりうる自然災害がテーマであり、問2のような計算問題も出題される。問3では、会話文の穴埋め形式で知識が問われている。花崗岩が風化すると土石流が起きやすくなるといった性質など、造岩鉱物や二酸化ケイ素量といった基本事項だけでなく、もう一段踏み込んだ特徴もおさえておきたい。

●大問別時間配分・解答順序

【1】10分→【2】5分→【3】5分→【4】5分→【見直し】5分

入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

■学習プラン(高2~高3夏)

科学的な探究に必要な能力が問われるとはいえ、基礎知識がなければ考察することができないため、まずは知識の定着を重視したい。できれば高3の1学期までに知識の総整理を終わらせる。あわせて、学校の傍用問題集などを用いて実験・図・資料にできるだけ多く触れ、自分なりの解答プロセスを確立しておくことが望ましい。

■学習プラン(高3夏以降~入試直前)

思考力を問う問題への対策として、共通テストの過去問のみならず、模試やセンター試験の過去問にも触れておきたい。試験本番でも焦らずに解答できる状態を目指す。まずは、『マーク式基礎問題集 地学基礎』(河合出版)で分野別に演習し、抜けている公式の確認と知識の定着を図る。さらに、『共通テスト総合問題集 地学基礎』(河合出版)で全分野をまとめて演習し、苦手単元や出題形式を洗い出しながら入試問題に慣れていきたい。

出題分野(過去5年間)

・「地層と地質構造・化石」の単元からは、毎年必ず出題されている。

・地震、火山、日本の気象・災害といった、日本の自然環境に関する分野からの出題が目立つ。

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いかがでしたでしょうか。

2026年度入試の共通テストでは、2026年度で2年目を迎えた情報Ⅰの平均点は56.59点と、前年より12点以上下降しました。また2年連続で難化した物理が過去最低の平均点を記録する一方で、化学が易化するなど、科目間の変動が見られました。こうした難化の背景には、単なる難易度だけでなく、出題傾向の変化に戸惑って手が止まり、時間不足に陥るといったメンタル面の影響も無視できません。例えば数学Ⅰの大問1では、従来のような「数と式」分野ではなく、文章量の多い「集合」の問題が出題されるなど、出題パターンに変化がありました。ただし、今年度の問題も基本的な知識を問う内容であり、落ち着いて取り組めば十分対応できるはずです。

対策としては、標準的な知識の習得は大前提ですが、特定の解法パターンへの依存は禁物です。パターンが変わる可能性を常に意識し、イレギュラーな出題形式にも動じない「本質的な理解」と「知識を使いこなす力」を日頃の学習から養っておくことが、共通テスト攻略の鍵となります。

本科目だけでなく他科目も参考にして、多くの合格を勝ち取りましょう。

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英語 数学 国語 理科①(物理・化学) 地理・歴史 公民 情報Ⅰ

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>