2025/08/01
2025年度関西8大学大研究~科目別分析~【同志社大学】
関西8大学大研究 科目別分析は、関関同立・産近甲龍の各大学入試において、その傾向を知ることで「これからどう対策をしていけばよいか」を正しく理解してもらうことを主目的としています。今後の大学入試対策をより効果的・効率的なものにするために、過去5年間の出題傾向表や2025年度の大問別問題分析、そして高校3年生における入試対策を3つの時期に分類して掲載しています。
他大学のページはこちら
関西大学 関西学院大学 立命館大学 京都産業大学 近畿大学 甲南大学 龍谷大学
INDEX |
1.英語 試験時間100分 満点200点 総語数2800語 目標0 解答方式:マーク・記述併用方式
※用語説明※
WPM="Words Per Minute"(1分間あたりの語数⇒英語を読む速度)
各試験の目標WPMは、「試験時間に対する総語数」をもとに偏差値や試験時間に対する語数の詰まり具合などの係数をかけて算出しており、あくまで内容まで理解して読み切るために必要な速度を表しています。
全体概観
- 長文2題・会話文1題
- 長文問題は難問ぞろい
- 和文英訳の対策は必須
英語は長文問題2題と会話文問題1題の計3題構成であり、問題数は標準的であるものの、取り扱われる文章のテーマや設問内容は総じて難易度が高い。長文問題では、学術的なテーマを扱った出題が多く、受験日程によって問題数に若干の違いは見られるが、出題形式は同意語の選択、下線部の内容説明、語句整序、本文の内容一致、英文和訳などが中心であり、まれにそれ以外の形式も出題される。中でも語句整序、英文和訳、内容一致問題は、いずれも難問が出題されている。一方、会話文問題では1問和文英訳が課される。長文問題と比較すれば得点しやすい傾向にあるが、確実に得点するためには和文英訳に対する十分な対策が欠かせない。
2025年度 大問別問題分析(分析対象日:2025年2月5日)
【Ⅰ】長文問題
(A:空所補充 / B・C:下線部の同意表現 / D:語句整序 / E:本文の内容一致 / F:和訳)
《解答数:19問 予想配点:A~C 各3点 / D 7点 / E 各6点 / F 13点、計83点》
ポイント:内容一致の選択肢は先に読む
テーマ:誤解のメカニズム 語数:約750語
例年通りの出題形式。特にD~Fの問題は難易度が高い。Eの内容一致の問題は、8つの選択肢の中から3つを選ぶ形式の問題。本文を読む前に選択肢を一読しておき、どこに注意しながら読むかを確認しておくこと。Fの和訳の問題は例年【Ⅰ】と【Ⅱ】のどちらかで出題され、日程により異なる。
【Ⅱ】長文問題(A・D:空所補充 / B・C:下線部の同意表現 / E:本文全体の内容一致)
《解答数:19問 予想配点:A~C 各3点 / D 7点 / E 各6点、計67点》
ポイント:英訳・語句整序は文構造に着目
テーマ:適切な休暇の重要性 語数:約800語
和訳の問題が出題されないことを除いてⅠと同じ出題形式。2月5日の問題では「休暇」という身近な題材がテーマであったが、日程によっては科学や社会学など、より学術的なテーマの文章から出題されることもある。例年、単語の言い換え問題が出題されるため、類語の暗記が必須。
【Ⅲ】会話文(A:文の空所補充 / B:和文英訳)
《解答数:9問 予想配点:A 各4点 / B 18点、計50点》
ポイント:会話の流れを正しくつかむ
テーマ:缶詰食品についての講義 語数:約550語
問題形式は例年通りで、8箇所の空所に入る適切な文を10個の選択肢から選ぶ形式の問題と和文英訳の問題が1問出題される。会話文の空所補充では、空所の前後と自然につながるかという点が重要。会話表現特有のイディオムを問う知識問題が出題されることはほとんどなく、会話の流れを正しくつかむ読解力が試される。和文英訳の問題では、語彙力と正しい英文を書くためのライティングの力が試される。2月5日の問題では「あの講義はなかなか勉強になったし、思っていた以上に興味深かった。」の部分を英訳する問題が出題されている。「なかなか」や「思っていた以上に」の部分を自分の知っている語彙の中でいかに表現するかが鍵となる。また、過去の問題では仮定法や関係詞を用いる表現がたびたび出題されている。
大問別時間配分・解答順序
【Ⅲ】(15分)→【Ⅰ】(40分)→【Ⅱ】(40分)→<見直し>(5分)
入試対策
① 語彙力など基礎力の強化
長文問題で使われる語の中にはかなり難解なものも含まれる。そのため夏までの期間は、語彙力の強化をできるだけ早い時期から始めて他の受験生に差をつけること。また、長文問題では下線部と同じ意味の語を問う問題が出題されるため、単語を覚えるのと同時に類語も暗記することで実践的な受験対策も兼ねた基礎力を養うことができる。この時期は速く読むことに固執することなく1文1文の構造を確認しながら文章を読む練習を重ねること。
② 多読・精読・和文英訳対策
秋以降はできるだけたくさんの長文問題を解き、実践的な読解力の向上を図ること。時間内に正確に読むためには多読を徹底的に行うこと。語句整序や英文和訳の問題では複雑な文構造を持つ英文を正しく理解できるかがポイント。そのためには難解な英文を大雑把に理解するのではなく、文構造を確認しながら読む精読が重要。この多読と精読の両方を並行して行うことで、難解な文章を読むための基礎作りをする。また同時に会話文で出題される和文英訳の対策も行うこと。こちらは問題の性質上別解がいくつか存在するため自己採点が難しい。自分が作った英文に文法的な誤りがないかどうかのチェックは、必ず他の人に確認してもらうこと。この時期に過去問演習を何回か行い、時間内にすべての問題を解き終えることができるかの確認も行っておくこと。
③ 過去問で出題傾向の確認
入試直前には過去問演習を徹底的に行い、本番での時間配分も含め問題のパターンに慣れておくこと。特に長文の内容理解を問う設問については、正答できた場合でも、誤った選択肢がどのように作られているかを分析するために、必ず解答の解説部分を熟読すること。また、学術的なテーマの長文問題で演習を繰り返し、読解力とともに背景知識をつけておくことも有効である。
2.数学(理系) 試験時間100分 満点200点 解答方式:記述式
全体概観
- 「場合の数・確率」「微分法」「積分法」の出題が多い
- 誘導に従って誘導の意図をくみ取る
- 高度な計算能力が必要
メインとなる出題範囲は数学Ⅲ・Cである。一方、数学Ⅰ・A、Ⅱ・Bの範囲からも出題があり、特に「場合の数・確率」や「数列」は5年連続で出題されている。これらは数学Ⅲの「極限」での誘導問題として扱われることもある。
出題形式は記述式が中心であり、高度な問題理解力に加えて、論理的な記述による解答作成力が問われる。また、試験時間に対して問題数や計算量が多いため、時間配分に注意して取り組む必要がある。問題によっては解く順番を柔軟に変える判断力も求められる。
2025年度 大問別問題分析(分析対象日:2025年2月4日)
【Ⅰ】(1)場合の数・確率(空所補充)(2)空間ベクトル(空所補充)
《解答数:10問 予想配点:各5点、計50点》
ポイント:小問の穴埋め問題
空所補充の問題が出題されている。(1)ではさいころを投げ、袋から玉を取り出す試行を繰り返すという、条件付き確率に関する問題が出題されている。問われている事象の確率を求める際に場合分けを行う必要があり、やや時間がかかる問題である。難易度は標準。(2)では接する2つの球を題材とした空間ベクトルに関する問題が出題されている。2つの球が内接するとき、球面の半径は最大となることに気づけるかがポイント。難易度は標準。
【Ⅱ】数列(記述)《解答数:4問 予想配点:各(1)(2)各10点 (3)(4)各15点、計50点》
ポイント:漸化式から一般項を導出
隣接3項間の漸化式と連立漸化式を題材とした数列に関する問題が出題されている。数列の問題では一般項の導出が必須であるため、問題演習を重ね、与えられた漸化式から一般項を導出することができる力を身につけておくとよい。(4)では数学的帰納法を用いることで解くことができるが、完答できた受験生は合格者の中でも一握りであると考えられる。難易度は難。
【Ⅲ】三角関数・微分法・積分法(記述)《解答数:3問 予想配点:(1)(2)各15点 (3)20点、計50点》
ポイント:積分区間に注意
三角関数を含む微分法・積分法に関する問題が出題されている。(1)は典型的な定積分の問題であり確実に正解したい。(2)は与えられた条件から連立方程式を立てることで答えを導き出すことができる。の範囲に注意したい。(3)は曲線と3つの直線で囲まれた2つの部分をある直線の周りに1回転させてできる立体の体積を求める問題で、2つの積分区間を正しく設定できるかがポイント。難易度は標準。
【Ⅳ】微分法・積分法・関数の極限(記述)
《解答数:5問 予想配点:(1)5点 (2)(3)(4)各10点 (5)15点、計50点》
ポイント:微分・積分の計算を正確に
関数の極限や微分法・積分法に関する問題が出題されている。(1)は級数を含む関数を微分する問題。(2)は不等式の証明を行う問題であり、(1)で得られた結果を用いることで解くことができる。(3)は証明を含むある項の係数を求める問題。証明には数学的帰納法を用いる必要がある。(4)、(5)は定積分を含む関数の極限に関する問題。はさみうちの原理を用いることで解答することができる。難易度は難。
大問別時間配分・解答順序
【Ⅰ】(20分)→【Ⅱ】(22分)→【Ⅲ】(23分)→【Ⅳ】(25分)→<見直し>(10分)
入試対策
① 計算処理能力を養う
教科書や傍用問題集を用いて、夏までに各単元の基礎事項と一般的な解法パターンを一通り押さえたい。頻出単元である「場合の数・確率」、「ベクトル」、「複素数平面」や「微分法・積分法(Ⅲ)」は重点的に取り組み、理解を深めておく。特に計算問題は素早く正確に解けるように訓練したい。また数学Ⅲ・Cは学校によっては修了していないため、予習するなど早めの対策が好ましい。
② 記述対策を入念に
9月頃から標準・発展問題を中心とした演習にシフトしていく。『チャート式 基礎からの数学(数研出版)』などを用いて記述形式の対策をしていくとよい。記述の添削を積極的に学校や塾の先生に頼んで、解答の書き方が正しいかどうかをチェックしてもらうとよい。また別解があれば、その方法でも解けるよう、1つの問題に対して幅広いアプローチができるようにしておきたい。11月頃から過去問に触れ、苦手単元の克服をしていく。時間配分も意識して問題集を反復演習していきたい。
③ 不安な単元を解消していく
直前期間では、過去問で間違えた問題の2回目、3回目を解いていく。その際に解答の記述に不安がある箇所は必ず確認しておく。また他大学の入試問題から類題を探し、単元や誘導形式などに慣れていきたい。
3.国語 試験時間75分 満点150点 解答方式:記述式
全体概観
- 他教科と比べると難易度は低い
- 記述問題は確実に得点できるように
- 問題数が少なく、一問当たりの配点が大きい
現代文1題、古文1題の計2題構成で、小問数は13問となっている。問題形式や難易度は例年通りであり、現代文・古文ともに標準的な難易度の文章および設問が中心である。現代文と古文の両方で記述問題が出題されるが、解答の方向性を誤ると大きく減点されるため注意が必要である。特に、本文の文章量が非常に多い一方で、記述には限られた文字数での要約が求められるため、過去問演習を通じて重要な情報を取捨選択し、簡潔にまとめる力を養っておくことが重要である。また、国語は他教科に比べて全体の難易度が低く設定されていることが多く、一問あたりの配点が大きいため、記号問題はできるだけ正確に解答し、得点源としたい。
2025年度 大問別問題分析(分析対象日:2025年2月5日)
【一】評論文(記述)
《解答数:7問 予想配点:(一) ~(四)各9点 (五)各8点 (六)30点、計90点》
ポイント:筆者の主張をつかむ
山守伸也「日本人は日記とどう向き合ってきたか」より出題。
日記の持つ機能や性質について、他のメディアとの比較や歴史的な変遷から論じた文章。身近な題材とシンプルな論理展開によって、非常に読みやすい。文章全体における筆者の主張を正しく理解できていれば、解答することは難しくない。選択問題は誤答が明らかであり、悩む余地が少ないため、同レベルの私立大学や共通テストに比べ、難易度が低いといえる。感覚的に読むのではなく、歴史的な事実とそこから考察できる筆者の主張を区別して把握することが求められる。特に、他のメディアとの比較や歴史的な変遷がなぜ述べられているのかという点に注目し、筆者の主張を見逃さないようにしたい。設問別に見ると、問一から問四はいずれも傍線部に関連する問題であり、問五は本文全体の内容に合致するものを選ぶ問題である。選択問題は一つひとつの選択肢を細かく区切って読むことで、正誤判定がしやすくなる。問六は筆者の主張を四十字でまとめる記述問題であるが、文字数が少ないため、筆者の主張を理解したうえで重要な箇所のみを抽出、要約することが必要になる。
【二】古文(記述)
《解答数:6問 予想配点:(一) 各4点(二)~(四)各6点(五)4点(六)各5点(七)20点、計60点》
ポイント:文法を手がかりに展開を掴む
『今昔物語集』より出題。
頼信と頼光の家来である貞道、そして駿河国の男を中心とした因果応報的な説話。文章量は2024年度よりやや増加しており、読解の難易度も上がっている。登場人物が多いため、それぞれがどのような関係であるかを読み取りにくい。助動詞や敬語に注意し、誰が主語であるかを判別しながら読むことが求められる。ただし、珍しい単語は少なく、標準的な語彙で文章の大意を把握できる。また、こちらも選択問題は誤答が明らかであり、悩む余地が少ないため、同レベルの私立大学や共通テストに比べ、難易度が低いといえる。特に、頼信の命じたことに対して懐疑的だった貞道が、命じられたことを実行するに至った経緯については詳細に理解しておきたい。設問別に見ると、問二~問四はいずれも傍線部の解釈や説明をする問題である。選択肢を読んで違いを考えるのではなく、区切ったものを文法的に正誤判断することで、速く正確に解くことができる。問七は貞道の心情の変化を三十字でまとめる記述問題であるが、単純に日本語訳しないよう注意したい。文字数が少ないため、文章の展開を理解したうえで必要な情報のみを抽出し、再構成することが求められる。
大問別時間配分・解答順序
【一】(43分)→【二】(27分)→<見直し>(5分)
入試対策
① 読解の前提となる知識の定着
現代文は頻出語句・慣用表現の知識、古文は文法・句法の知識と単語帳1冊分の単語・古典常識の知識を、遅くとも夏休み中には定着させておきたい。また、読解問題で注意すべきポイントもこの時期の演習を通しておさえておく。国語は他の科目に比べて難易度は低いため、古い年度の過去問に挑戦し、現状の実力を測ってみてもよい。
② 記述対策は特に重点的に
9月以降は、苦手な分野の克服や問題形式への順応に力を入れる。また、記述問題への対策を遅くともこの時期には始めておきたい。まずは国公立も含めた他大学の類題なども活用し、記述問題の解法を習得する。
③ 過去問演習で形式に慣れる
12月以降の過去問演習は、時間配分にも注意し、これまで身につけたものをアウトプットできているか確認していく。もちろん、弱点や知識の抜けている部分が見つかった場合、随時補強していく。秋以降、過去問演習と同時進行で進めてきた記述問題対策の演習では、解答のポイントをうまく見つけられるようになってきたのならば、字数制限も本番に近づけ、解答に必要な情報をまとめる力を養うことに重点を置いていきたい。
いかがでしたでしょうか。
今回は英語・数学・国語の3教科の入試問題分析やその対策方法を紹介しましたが、フリーステップ教育技術研究所では、関西8大学の最新入試問題に関して前期日程の問題をすべて分析しています。これにより「大学受験に強い」を実現させています。なお、他教科・科目の分析や対策方法は、「WAY TO GO! 関西8大学大研究Special(開成教育グループ)」に掲載されています。詳しくは最寄りのフリーステップの教室へお問い合わせください。
他大学・教科・科目の分析も参考にして、多くの合格を勝ち取りましょう。
他大学(英語・数学・国語)のページはこちら
関西大学 関西学院大学 立命館大学 京都産業大学 近畿大学 甲南大学 龍谷大学
~ちがいは、成果。 『点数アップと大学受験に強い』個別指導~
*入試に必要な全教科対応 *志望校合格に向けた学習プラン *志望校別に合格までの目標を設定 |
<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>