2025/08/01

2025年度関西8大学大研究~科目別分析~【近畿大学】

関西8大学大研究 科目別分析は、関関同立・産近甲龍の各大学入試において、その傾向を知ることで「これからどう対策をしていけばよいか」を正しく理解してもらうことを主目的としています。今後の大学入試対策をより効果的・効率的なものにするために、過去5年間の出題傾向表や2025年度の大問別問題分析、そして高校3年生における入試対策を3つの時期に分類して掲載しています。

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INDEX

1.英語
2.数学(理系)
3.国語

1.英語 試験時間60分 満点100点 総語数2100語 目標5 解答方式:マークセンス方式

※用語説明※

WPM="Words Per Minute"(1分間あたりの語数⇒英語を読む速度)

各試験の目標WPMは、「試験時間に対する総語数」をもとに偏差値や試験時間に対する語数の詰まり具合などの係数をかけて算出しており、あくまで内容まで理解して読み切るために必要な速度を表しています。

全体概観

  • 時間配分に注意
  • 後半のⅥ・Ⅶは高得点
  • 長文問題は内容一致中心

試験時間60分、大問7題(40問)の構成。問題数に対する時間設定が、他の大学に比べて短いため、じっくりと考える余裕がない。時間配分に注意し、各大問を計画的に解くことが重要。

【Ⅵ】の語句整序、【Ⅶ】の長文総合問題は1問あたりの得点が他の問題よりも高く設定されている。

長文総合読解は、例年通り、内容一致の問題のみ。各段落の内容・下線部の内容・本文全体の内容一致が出題。内容一致問題では言い換え表現が問われるため、該当箇所を素早く見つける能力が問われる。

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2025年度 大問別問題分析(分析対象日:2025年1月25日)

【Ⅰ】会話問題(空所補充問題)《解答数:6問 予想配点:各2点、計12点》

ポイント:空所の前後の文に注目

 [A][B]から160~190語程度の会話文が2題出題。会話の内容は日常的なもので、会話で用いられるイディオムや慣用表現の知識を問う問題は出題されない。空所の前後の文脈を正しく掴むことで空所にもっとも自然な内容を判断する能力が試される。

【Ⅱ】空所補充選択《解答数:6問 予想配点:各2点、計12点》

ポイント:適切な品詞を見抜く能力

テーマ:ピラミッドの謎 語数:約180語

160~200語程度の英文中にある6つの空所に入る語を選択肢から選ぶ問題。文構造から適切な品詞を判断する能力が重要である。選択肢の中には複数の品詞の働きをする語が含まれることに注意が必要である。選択肢の語の多くは英検準2~2級程度だが、まれに難解な語も出題される。

【Ⅲ】文法・語法問題(空所補充選択)《解答数:8問 予想配点:各2点、計16点》

ポイント:品詞・文脈から判断

1月25日の問題では「動詞句」、「進行形を含む受動態」、「副詞」、「動詞の語法」、「時制」、「語彙(熟語)」、「関係副詞」「受動態を含む不定詞」に関する問題が出題されている。どの問題も複合的な知識が問われる難問である。態、準動詞、仮定法、時制およびその複合的な問題といった動詞の語形変化に関する問題が例年多く出題される。

【Ⅳ】同意表現問題(選択)《解答数:4問 予想配点:各2点、計8点》

【Ⅴ】定義指定語問題(選択)《解答数:5問 予想配点:各2点、計10点》

ポイント:選択肢・ヒント文から推測

【Ⅳ】英検準1級レベルのイディオム・語彙が出題される。イディオムの知識のみで答えを判断することは非常に困難。文脈からイディオムの意味を推測する能力が重要である。

【Ⅴ】二つのヒント文を読み、適切な語を空所に入れる問題。語彙力の強化は必須。早い段階から単語を覚えたい。

【Ⅵ】語句整序問題(選択)《解答数:8問 予想配点:各2点、計16点》

ポイント:後置修飾・倒置は必須

1月25日では(A)not A to Bの構文(B)否定の倒置(C)完了不定詞(D)too A to Bの構文に関する問題が出題されており、例年、否定や省略を含む問題がたびたび出題されている。また、構文の知識を問われる問題が多く出題されている。過去の問題を演習することで傾向をつかんでおくこと。

【Ⅶ】長文総合問題(選択)《解答数:8問 予想配点:問1~6各3点 問7各4点、計26点》

ポイント:文章の内容理解が試される

テーマ:ハーディングフェーレ 語数:約400語

ある楽器に関する文章からの出題である。段落の内容について正しいもの、または正しくないものを選ぶ問題(5問)、下線部の内容理解(1問)、全体の内容理解を問う問題(7つの選択肢から2つを選択)が出題されている。

大問別時間配分・解答順序

【Ⅰ】(4分)→【Ⅱ】(5分)→【Ⅲ】(5分)→【Ⅳ】(5分)→【Ⅴ】(4分)→【Ⅵ】(8分)→【Ⅶ】(24分)→<見直し>(5分)

  • 入試対策

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① 夏休みまでは苦手分野克服

語彙の知識、文法の理解、長文や会話文の読解力と総合的な英語の能力を問う問題がバランスよく出題される。『システム英単語(駿台文庫)』第3章まで、『NextStage(桐原書店)』は最後まで解いて暗記する。一度過去問を演習し、大問ごとの得点率を出し、特に得点率が低い大問に関係する学習を中心に行う。

② 秋以降は過去問の演習

大問7題の問題構成に対して試験時間が非常に短く、事前の時間配分対策が他大学以上に重要である。過去問を使って繰り返し大問ごとにかかった時間を計りながら対策を行う。時間配分では特に【Ⅰ】、【Ⅱ】、【Ⅶ】の読解問題でどれだけ効率よく問題を解くことができるかがポイントである。

③ 直前期はⅢ・Ⅵ・Ⅶ中心

入試直前期は②に引き続き時間を計って問題演習を行う。時間内に全ての問題を解き終えられない場合は、確実に解ける問題を優先する。並行して【Ⅲ】(16点)【Ⅵ】(16点)【Ⅶ】(26点)といった高得点の大問を重点的に学習する。特に【Ⅶ】の問題は、全文の内容理解を問う問題のため、時間内に速く正確に読むための練習は必須である。本文よりも先に問題文に目を通し、何が問われるかを確認することで効率よく問題を解く。

2.数学 試験時間60分 満点100点 解答方式:マークセンス方式

全体概観

  • 計算量が多いため時間配分に注意
  • 基本~標準問題が中心
  • [Ⅲ]は数学Ⅲから出題され、2025年度は微分法・積分法

大問3題、小問13問出題され、解答方式はマークセンス方式である。どの問題も計算量が非常に多いため時間配分に気をつけて解きたい。

問題レベルは基本~標準問題が中心である。各大問の始めの問題は基本問題が多く、誘導問題の出題が多い。また、大問Iはほかの大問と比較して解きやすいため、この大問で完答を目指し、得点源としたい。

大問IIIは、数学IIIからの出題となっており、微分法・積分法から出題されている。学校の進度により数学IIIの習熟度が異なるため、夏休みからは本格的な演習に取り組みたい。

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2025年度 大問別問題分析(分析対象日:2025年1月25日)

【Ⅰ】A:データの分析(空所補充)《解答数:19問 予想配点:ア、イ:各2点[4点]・ウ、エオ、カ、キク、ケ、コサ、シス、セソ、タチ:各3点[27点]ツテ:4点[4点]、計35点》

ポイント:基本的な用語を理解する

数学Iのデータの分析からの出題。中央値や平均値、分散、四分位範囲、相関係数などが問われている。データの分析の出題頻度はそれほどまで高くはないが、どの問題もこれらの用語の意味と計算方法を理解しておけば、容易に解くことができるため完答を目指し、得点源としたい大問である。難易度は易。

【Ⅱ】平面ベクトル(空所補充)《解答数:20問 予想配点:アイ、ウエ:各3点[6点] オカキク、ケコサ、シス、:各4点[12点] セソタチ、ツテト:各6点[12点]、計30点》

ポイント:存在範囲を図示する

数学Cのベクトルの範囲からの出題。余弦定理を用いて辺の長さを求めたり、三角形の面積を求めたりする問題が出題されている。また、存在範囲の面積を求める問題も出題されており、与えられている範囲を図示して求める面積を把握できるかがポイントとなる。入試問題集などを通して演習量を確保する必要がある。難易度は標準~やや難。

【Ⅲ】微分法・積分法(空所補充)《解答数:23問 予想配点:アイウ、エオ:各2点[4点] カキクケコ、サシスセ、ソタチツ、テト:各4点[16点]

ナ、ニ、ヌ:各5点[15点]、計35点》

ポイント:微分・積分の総合問題

数学IIIの微分法・積分法の範囲からの出題。微分、解の個数、面積、接線の本数など多岐にわたって出題されている。(3)のような問題は、2次関数や三角関数の分野でもよく見かける問題であり、簡易的なグラフを用いるとスムーズに解き進めることができる。また、接線の本数を求める問題も入試において頻出問題であるため、問題集を用いるなどしてマスターしておきたい。難易度は標準~やや難。

大問別時間配分・解答順序

【Ⅰ】(12分)→【Ⅱ】(20分)→【Ⅲ】(20分)→<見直し>(8分)

入試対策

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① 全単元の網羅を目指す

教科書内容の問題を確実に正答できる力をこの時期に身につけておきたい。定義や公式の導出から理解していくことが望ましい。また素早く解けるように、間違えた箇所は必ず確認して反復するべき。数学ⅢCが夏までに終わらない学校も多いが、できるだけ早めに全単元を網羅したい。次に『チャート式 解法と演習(数研出版)」などの参考書を用いて標準、発展問題を解いていく。その際に公式を利用したり、具体的な試行や実験をしたりして未知の問題に対応できる訓練も積んでいく。

② 時間配分の練習をする

過去問を用いて演習を重ねておく。特に気を付けたいことは計算ミス。どうして計算ミスが起こったかの原因を探るべき。初めは時間配分も意識してほしいが、解くべき問題を解ききることを優先したい。復習する際は、時間内に収められるようにしていく。頻出単元の演習も同時に行うと効率がよい。

③ 様々な知識や解法を確認する

過去問の演習の中で解けなかった問題をもとに、苦手単元を克服し、その問題の類題などを用いて再確認していく。素早く正確に解くことを目標に、周辺知識や様々な解法も検討しながら、幅広いアプローチの仕方も身につけていきたい。

3.国語 試験時間60分 満点100点 解答方式:マークセンス方式

全体概観

  • 現代文では抽象的な題材を扱う評論文からの出題
  • 古文では基本的な単語、文法、知識で読解が可能
  • 語彙を問う設問が含まれる

2024年度と同様に、【一】【三】現代文、【二】古文の3題構成である。設問数は29問で変化なし。

現代文は【一】【三】ともに評論である。【一】の方が文章量は多く、読解の難易度も高い。例年抽象的な内容が取り扱われているため、過去問で対策を行い、抽象的な内容読解に慣れていくことが必要である。

古文は、傍線部についての説明、現代語訳、和歌の内容読解、文法など多様な設問が出題されているため、幅広い対策が必要となる。しかし基本的な知識を身につけている場合、安定して得点できる出題内容になっている。

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2025年度 大問別問題分析(分析対象日:2025年1月25日)

【一】評論文(選択)《解答数:13問 予想配点:問一 各2点 問三、六 各3点 問二、四~五、七~九 各4点、計40点》

ポイント:筆者の用いる用語を理解する

田中純『死者たちの都市へ』からの出題。

人の死後における墓の在り方の変容から、埋葬行為に着目して論じられており、読解の難易度は高い。

設問のほとんどは傍線部についての内容説明、内容一致となるため、本文との整合性を判断する必要がある。しかし、聞き慣れない多様な用語が本文中には頻出しているため、本文においての意味を掴むのが難しい。抽象度が高い評論文などの演習を行い、多様な語彙が頻出する問題の読解を行うことで対策につながる。

【二】古文(選択)《解答数:8問 予想配点:問一、三 各3点 問二、四~八 各4点、計30点》

ポイント:基本的な知識を幅広く蓄える

『三宝絵』からの出題。

仏教説話集であり、若くに出家した行基菩薩についての説話が語られる。文章の読解において、難易度は高くなく、基本的な古文知識を理解しておけば得点することができる設問である。内容一致の他、主語一致の設問が出題されているため、対策しておきたい。

【三】評論文(選択)《解答数:8問 予想配点:問一、三 各3点 問二、四~八 各4点、計30点》

ポイント:筆者の主張を整理する

養老孟司『ものがわかるということ』からの出題。

真の教養とは何か、また学問をすることとは何かということについて論じられており、文章量は2024年度よりも少なく、内容においても、読解の難易度は標準。設問は傍線部についての内容説明が大半であり、【一】と同様に本文との整合性を判断する必要がある。教養と学問という2つの主題が述べられているため、それぞれにおける筆者の主張を整理することが必要である。複数の主題が含まれる文章の問題演習を行うことも心がけたい。

大問別時間配分・解答順序

【一】(24分)→【二】(11分)→【三】(22分)→<見直し>(3分)

入試対策

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① 知識の定着

基本的に公募推薦と同様で、夏休み以降は60分以内に解けるよう時間管理をしつつ、マークセンス方式の演習を繰り返しておきたい。理解しにくい話題も多いため、『読解を深める現代文単語 評論・小説(桐原書店)』などで知識をつけておく。また、近年の傾向対策として、文学史の勉強を忘れずに行うこと。

② 過去問演習で形式に慣れる

過去10年ほど公募・一般、学部の区別なく出題傾向は同じであるため、9月以降は過去問を使って演習をしておきたい。入試直前まで同様である。現代文では必ず本文の主題をとらえながら問題を読み進めていく。

③ 読解の精度を上げる

12月以降は、2015年度以降の過去問で演習をしておきたい。出題数が減少し、一問一問の選択肢が紛らわしくなっている。近畿大学は公募推薦、一般前期、一般後期を通して入試傾向が変わらないため、全ての過去問を演習に使うとよい。現代文の文章の読解に慣れる練習、古典文学史の練習としては、龍谷大学の過去問もよい。古文は京都産業大学の過去問でも練習になるが、近畿大学は他大学に比べ、古典評論が出やすいため、和歌の基礎知識、読解方法を身につけておきたい。

いかがでしたでしょうか。

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